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更新日:2017.10.07デート・会食 グルメラボ

サルヴァトーレ・フェラガモ氏に聞く。超一流ワイナリーのスピリッツ

「サルヴァトーレ・フェラガモ」のファミリーが所有する「イル・ボッロ」は超一流のモノ造りのスピリッツとセンスを継承したワイナリー。モダンイタリアン【ファロ資生堂】のシェフソムリエ・本多康志氏と3代目サルヴァトーレ・フェラガモ氏にその魅力を迫ります。

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 イタリアの老舗メゾン「サルヴァトーレ・フェラガモ」のファミリーが所有する、約1000haの村「イル・ボッロ」は、超一流ブランドならではのモノ造りのスピリッツとセンスが受け継がれたワイナリーだった。今回、このワイナリーを経営する3代目サルヴァトーレ・フェラガモ氏の来日によって、銀座を代表するモダン・イタリアン【ファロ資生堂】のシェフソムリエ・本多康志氏との対談が実現しました。

フェラガモ家が村ごと購入し復活させた、高級リゾート「イル・ボッロ」

    中世の佇まいを残す、イル・ボッロ村

本多(以下、本) :「IL BORRO(イル・ボッロ)」は、ワインの名前であり、ワイナリーの名前でもあり、ひとつの大きな村の名前でもありますよね? 

サルヴァトーレ・フェラガモ(以下、フ) :そうです。イタリア・トスカーナ地方のキャンティ・クラシコ地区近くにある中世の佇まいを残す村で、1993年に、私の父である現社長フェルッチオ・フェラガモが村ごと購入し、トスカーナの生活が楽しめる高級リゾートとして復活させました。中世の城も残る約1000haの敷地には、贅沢な宿泊施設やレストランを備え、蜂蜜やオリーブオイルなどの名産品も生産しているのですが、もともとワイナリーがあった土地だから買い上げたほど、ワイン造りはイル・ボッロ事業の中心に位置づけられています。私は98年からイル・ボッロ村の経営に携わるようになり、99年にフラッグシップワインである「イル・ボッロ」をリリースしました。

    サルヴァトーレ・フェラガモ氏

本:メルロが中心のしっかりとしたストラクチャーで、華やかでモダンな味わいながら、どこか温かみがあるワインですね。2000年に初めて「イル・ボッロ」を飲んだとき、サルヴァトーレ・フェラガモという超一流の老舗メゾンが、格式やエレガントさを維持しつつ、当時のボルドー中心のスーパータスカンのブームもきちんとおさえていることに驚きました。【ファロ資生堂】では、伝統的なイタリア料理を踏まえながらも、洗練を重ねるモダン・イタリアンをご用意しているので、共通する部分を感じました。

超一流と謳われるフェラガモ家のワイナリー「イル・ボッロ」

    本多 康志氏

本:“ブランドを大切にし、エレガントでありつつ、進化を続ける”ワイナリーの印象は、「サルヴァトーレ・フェラガモ」のモノ造りの姿勢とも通ずる気がします。

フ:まさしく、その通りです。我々は、「サルヴァトーレ・フェラガモ」の靴を楽しんでいただくことも、「イル・ボッロ」のワインを楽しんでいただくことも、ライフスタイルの一部であり、“生活をより豊かにする”という部分でリンクすると考えています。ですから、靴を買うお客様にもワインを買うお客様にも、同じこだわりを届けたい。例えば、「イル・ボッロ」の広大なワイナリーではブドウを手で摘み、クオリティを維持するため、温度をコントロールしながらワイナリーへ運び、新樽で18か月、瓶内で6か月熟成します。メルロ50%、カベルネ・ソーヴィニヨン35%、シラー10%、プティ・ヴェルド5%などの多彩なボルドー品種を用いるのですが、ブドウに合った樽を選び、そのブドウ1種に対して、4種類のミディアムローストの樽を使い分けることで、ブレンドの幅を広げます。

    2004年に完成した醸造所の熟成庫には700個のバリック(樽)がずらり

フ:また、ここはメルローが良く育つ土壌、あちらはシラーが良く育つ土壌……と、イル・ボッロ村にはさまざまなタイプの土壌が広がっていることも特徴で、その土壌ごとに育ったブドウを合わせて使うことで、このラベルにも描かれている美しいイル・ボッロ村を表現しています。単一品種ではつくり得ない「イル・ボッロ」こそ、この村のフラッグシップワインなのです。

    「IL BORRO(イル・ボッロ)」

本:まさにワイナリーも職人気質なモノ作りを徹底していて、靴職人と同じこだわりを受け継いでいますね。

フ:そうですね。ブランドと同じく、伝統は守りつつ、常に時代にあった進化を遂げるワイナリーでありたいとも考えています。

老舗ワイナリーが進化を続け、新しく造りだしたワインとは?

    2012年からオーガニック栽培を実施し、土壌も進化し続けている

フ:私どものワイナリーでは、「ブドウ栽培を完璧に行って、初めて最高のワインが生まれる」という信念のもと、2012年より、化学的な薬品をできるだけ使用せずに、土壌そのものに活力を与えて強くして作物を育てるオーガニック栽培を開始しています。
ひとつ、面白いお話をしましょう。牛の角をくり抜いたなかに馬や牛の排泄物を詰め、土の中に埋めて約60日間熟成後に取り出すと、パウダー状の肥料になります。これを水と混ぜて畑に撒くことで、その畑はさまざまな病気に対して強くなることがわかりました。土壌が改善されることで、ブドウ本来の味がより反映されるようになり、こういったオーガニックな方法は、繰り返すことで、ブドウの木自体が強くなるのが見てとれます。そうして何年にもわたる研究と情熱の賜物として誕生したイル・ボッロ初のオーガニック認証ワインが、「2015年ボッリジアーノ」です。

  • 2015年ボッリジアーノ(イタリア トスカーナ) 3,800円(4,104円 税込)
    [品種:メルロ40%、シラー35%、サンジョヴェーゼ25%]
    輸入元 エノテカ株式会社

本:新鮮なチェリーなどの赤果実に加え、かすかに生姜や白コショウのスパイシーな香りが魅力的なワインだと思います。「イル・ボッロ」という伝統あるワイナリーが、未来に畑を残していくサスティナブルな農法を率先して取り入れていることは、文化的な影響も大きいですし、イタリアワインの発展にもつながりますね。

    品質保持のために導入された、最新のブドウ選別コンベア

フ:ブドウの品質を選別できる最新のベルトコンベアも導入しました。この機械に、良いブドウの色合いや大きさなどの情報をインプットしておくと、その条件に合わないブドウを自動で判断し、空気銃のような速さでスパッ、スパッと弾かれていくシステムです。これにより、不完全なブドウやダメージのある房が取り除かれ、雑味のないワインに仕上がるのです。品質至上主義を徹底したことで生まれた、サンジョヴェーゼ種100%のイル・ボッロ初のロゼワイン「2016年ロゼ・デル・ボッロ」も、オーガニック認証を取得しています。

  • 2016年ロゼ・デル・ボッロ(イタリア トスカーナ) 2,500円(2,700円 税込)
    [品種:サンジョヴェーゼ100%]
    輸入元 エノテカ株式会社

本:花やフレッシュなベリーのアロマに、きれいな酸味と果実味が調和したドライな味わいで、サンジョヴェーゼの美しい魅力が存分に表現されていますね。

フ:また、こうした様々なチャレンジの中で我々は、サンジョヴェーゼのピュアさを表現する為に最も適した醗酵容器がアンフォラであるとの答えにたどり着き、新商品「2015年ペトルーナ」のワイン造りを開始しています。標高350mの畑で収穫されたサンジョヴェーゼを100%使用し、アンフォラ(素焼きの壺)のみで熟成させて造られたイル・ボッロこだわりの新商品です。

  • 2015年ペトルーナ(イタリア トスカーナ) 6,800円(7,344円 税込)
    [品種:サンジョヴェーゼ100%]
    輸入元 エノテカ株式会社

本:元来、ワイン造りは、素焼きの甕”アンフォラ”を地中に埋め込み、そこでブドウを房ごと醸したのがルーツとも言われており、ワイン造りの原点回帰の意味合いも感じますね。スッキリと美しい酸味と赤系果実の豊かな果実味に、きめ細かなタンニンがバランス良く調和し、エレガンスを感じる優れたフルボディだと思います。

前菜からメインまで、一杯ごとに変化も楽しめるワインと

    『京都産 鴨胸肉のロースト ビーツソース 柚子胡椒風味』

フ:【ファロ資生堂】では、「イル・ボッロ」をどんな料理と一緒に楽しめますか?

本:「イル・ボッロ」は、しなやかなタンニンと芳醇な果実味が特徴なので、岩手県産の短角牛や、仔羊、鴨肉など、あまり脂っぽくない繊細な柔らかさをもつお肉がおすすめですね。また、デキャンタージュすることによって、グラスの中で香りなどが発展していくタイプ。メインのお肉だけでなく、前菜からボトル1本を通して、一杯ごとに変化も楽しめるワインだと思います。今回「イル・ボッロ」のためにシェフが考案したお皿は、赤がコンセプトカラー。京都産の鴨は、メルローベースの柔らかさとジューシーさ、熟したベリーのニュアンスと相性良く、ビーツソースの爽やかな甘さが鴨肉の甘さを引き立たせる一品です。ペースト状に添えられた栗のムースも味のアクセントに。このビーツの濃い味に代表されるように、【ファロ資生堂】では、厳選した産地直送の野菜をはじめ、シェフが毎朝、築地に出向いて仕入れる魚など、季節感も踏まえ、食材にはとことんこだわっています。食もワインも、土地をより反映したモノにスポットがあたってきている傾向にありますね。

PROFILE

サルヴァトーレ・フェラガモ氏

サルヴァトーレ フェラガモ ファミリーの一員であり、創業者である偉大な祖父の名前を受け継いだサルヴァトーレ・フェラガモ氏。ニューヨーク大学でMBAを取得し、また、フェラガモでのビジネス経験やカリフォルニアやボルドーで習得したワイン造りのノウハウを生かし、現在イル・ボッロ・ワイナリーの経営にあたる。

本多 康志氏

1974年 群馬県生まれ。新宿調理師専門学校卒業。2000年、資生堂パーラー入社。2009年、日欧商事主催「第3 回JETCUP イタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール」にて優勝。現在、ファロ資生堂にてシェフソムリエを務める。

<取材協力>

【ファロ資生堂】
銀座中央通りに面する「東京銀座資生堂ビル」の10階に位置する。日本の上質な食材を活かし、伝統的なイタリア料理を踏まえながらも、洗練を重ねたモダンイタリアン。ミシュランガイド東京にて星を9年連続獲得。

 

この記事を作った人

取材・文/藤井存希(フリーライター)

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