銀座の名店で13年経験を積んだシェフが、地元に開いた暖かいイタリアン|【CALAMARI】北浦和
2022年12月、都心から少し離れた住宅街の一角に、期待のイタリアンがオープンした。店主の寺元さんは、ミシュラン常連店で都内最高峰ともいえるレストラン【アロマフレスカ】で13年も腕を振るった実力派。そんな寺元さんが地元に戻り、リーズナブルな価格で提供する料理は、今日も北浦和の人々のお腹と心を暖かく満たしている。
JR北浦和駅より徒歩4分。住宅街の一角でナチュラルモダンな外装が目を引きます
寺元さんが次の舞台に選んだのは、自身が幼少期を過ごした埼玉県の浦和区。寺元さんは、高校卒業後すぐホテルのダイニングで働き始めたのちに専門学校へ入学し、改めて料理を学んだあとに渡伊。北イタリアのピエモンテ州やリグーリア州の星付きレストランで経験を積みます。
カウンター席が中心の店内でありながら、4人がけのテーブル席も設える
帰国してから13年もの長い月日を過ごした【アロマフレスカ】では前菜からデザートまで各部門を経験し、最後の7年は要となるメインディッシュを担当。腕を見込まれ、市場での仕入れからお店のことを幅広く任されるなかで、料理だけでなく「お店をつくっている」感覚が、苦労はありながらもとても好きで楽しかったのだそう。
デザイナーは入れず家具なども含め寺元さん自身でセレクト。1からつくりあげる過程を楽しむ姿勢が垣間見える
そんな寺元さんが40歳を目前に独立。店名の【CALAMARI(カラマーリ)】とはイタリア語で「イカ」の意味を持ち、一般的にはイカのフリットやパスタの名前として知られますが、日本語の「絡まり」と似た響きや語感のよさが気にいっているのだそう。「食べに行くお店」よりかは、仕事帰りにふらっと寄れたり、電車に乗らずに行ける地元に愛されるお店をつくりたかったと言います。
「メインを担当していましたが、前菜やデザートをつくるのも好きだった」と寺元さん
コース(5,000円)も用意していますが、基本はアラカルトが中心。1週間に1~2品ずつ変えているメニューは季節感があり、いつ訪れても新しい楽しみが待っています。
「料理で大切にしているのは産地よりも“鮮度”です。産地を選んで遠くから運んでくる食材よりも、近くで採れた新鮮な食材が一番おいしいと思うので、その日仕入れた食材はその日のうちに使い切るようにしています。この小さいお店で一人でやっているからこそ出来ることかもしれませんね」
『鮮魚のカルパッチョ 夏野菜添え』1,700円
ほとんどのお客さんが注文するほど人気があるというカルパッチョは、使う食材や味付けは変えながら通年で用意しています。今の時期はビネガーで締めたシマアジをメインに、グレープフルーツ、きゅうり、ミニトマト、カイワレをイタリアのハーブソース「サルサヴェルデ」で仕立てています。ディルやイタリアンパセリの爽やかな印象が残るワインが進む一品。
『冷たいトウモロコシのスープ トリュフ風味』600円
夏らしい前菜をもうひとつ。フレッシュで甘みの強いスープに焼いたパンチェッタが香ばしく、ちょうどいい塩味と上品なトリュフがアクセントになっています。ロゼワインに合わせるのがオススメ。
『剣先イカのタリオリーニ カラスミ添え』2,400円
パスタはお店で手打ちしていて、ソースによってロング・ショート合わせて2~3種類用意しています。柔らかい剣先イカは甘みがありプリプリの食感が病みつきで、九条ネギとカラスミもたっぷり。
「メニューはどれもおつまみみたいに楽しんでほしくて、味のインパクトとワインに合わせたときの相性を大切にしています」
『和牛ロースト』5,200円
最近メニューに入れたばかりだと言う和牛は茨城県産で、部位はカイノミを使用。付け合わせには夏を感じさせる万願寺とうがらしを添えています。ポーションが大きめでたっぷり楽しめるのですが、不思議と重たさはなくペロりと食べてしまえます。
「いろいろ楽しんでいただきたいので、軽く感じられるよう味付けを考えています。また、おひとりで来られるお客様も多いのでメニューは大体、半量でお出しすることもできます」
『ココナッツのセミフレッド マンゴーとパッションフルーツのソース』700円
デザートには毎月内容を変えながらセミフレッドを2種類用意。「単純に好きなんですよね」と寺元さん。これはココナッツをベースにドライパイナップルを合わせ、ソースにはフレッシュのパッションフルーツとマンゴーピューレ、レモンを使用し、ナッツの食感がアクセントになっています。
ドリンクはワインを中心にビール、チューハイ、ノンアルコールも豊富に取りそろえる
ワインは産地を問わず、寺元さん自身が飲んでおいしいと思ったものをセレクト。「デザートワインやアイスワインを置いているお店って意外と少ないのですが、実はとてもおいしいんですよね」と、デザートと一緒に食後酒もぜひ楽しんでほしいのだそう。
ランチ営業は金、土のみ。前日までの要予約で2,500円のコースを楽しめます
名店仕込みの腕がなす、カジュアルながらも本格的なイタリア料理。地元の人にとっては北浦和で暮らす楽しみがひとつ増えると言っても過言ではないかもしれません。飾らず親しみやすいお人柄の寺元さんに会いにくるお客さんが多いのも頷ける、県外からも足を運びたいお店ができました。
撮影/佐藤顕子 取材・文/宿坊アカリ
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