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更新日:2018.04.05グルメラボ

SNSで問い合わせが殺到する、鮨屋の女将が深夜につくるスイーツとは

美食の街・函館。その中心部五稜郭に、道外からもファンが訪れる有名店【鮨処 ひろ季】があります。ここの女将がSNSにUPする“あるもの”の写真に「いいね!」が殺到。寿司の美味しさはもちろんですが、それ以上に話題を集めている女将の「真夜中の顔」とは……?

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若き大将と女将が築き上げた不動の地位

    鮨10カン2,700円(税抜)~。アワビ、カニを使った一品料理も

 お店は大将の緋田広樹さんが2003年オープン。高校卒業後から函館の老舗鮨店などで修業し、29歳で独立。「若いと舐められるからどの寿司屋よりもいいものを仕入れて、文句は言わせない」と職人魂は半端ではありません。

  • 「生産者の声を聞く」が信条

  • 昆布は南茅部産を吟味

 マグロは戸井など近海産で、流行りの“熟成”ではなく、新鮮なものを提供。ウニはその時期最も美味しい海から直送、シャコも道南では手に入らない秋シャコを石狩から取り寄せます。アワビは生、おみやげ用の加工品など料理に合わせて違う産地のものを使用。
 
 どの食材も「市場の話を鵜呑みにせず、つくった人に話を聞きに行くこと」を信条とし、女性はタブーとされているマグロ漁船に女将の和美さんと一緒に乗るなど、“現地調査”を大切にしています。「そうすると、世間で言われている常識がいかにつくり話かがわかる」と和美さんは話します。

深夜に女将の趣味が炸裂するというが……

    和服をキリッと着こなす和美さん

 さて、その和美さんですが、22歳の若さで女将になり、15年経った今では貫禄十分。気配りは細やかながら肝の据わった豪胆な性格で、言うべきことは言い、お客さんの悩み相談もバッサバッサと斬っていく軽快なトークで人望を集めています。

 舌の肥えた旅行客に医者に政治家に……と毎日訪れる多様な業種のお客を上手にさばいて閉店後はクッタクタ……のはずですが、和美さん、閉店後の深夜0時頃から、急にイキイキと瞳を輝かせ、厨房で“あること”を始めるのです。

それが、“大音量のBGMでスイーツづくり”

    ようやく思うように完成したという『八朔(はっさく)のレアチーズケーキ』

 もともとスイーツを見るのも食べるのも好きだったという和美さん。「コース料理でデザートがしょぼかったらテンション下がりますよね。寿司屋の甘味も同じ」。負けず嫌いで何事も突き詰めないと気が済まない性格から、「ケーキ屋に負けないくらい美味しいデザートじゃないと出す意味はない」とキッパリ。

 最初に極めたのはパンナコッタで、もともとつくっていた『フレジエ』のレシピを応用して材料の黄金比を見出したそうです。ほかにもマカロン、シュークリーム、ロールケーキなど続々と独自の黄金レシピをものにしていきます。

    左は『とちおとめのフレジエ』。ロールケーキもお手のもの

 素材もいいものを使い、納得のいく味と見た目のものができなければ5回でも6回でもつくり直す。「材料がもったいない、って妥協してしまったら、それこそ人生もったいないでしょ」。何度も試作して夜が明けることもしばしばですが「寝ても覚めても次につくるスイーツのことを考えている」のだとか。

 ある日は、2ヶ月しか収穫期がない八朔を使い、下のタルト生地は全粒粉でほろ苦く仕上げた『八朔のレアチーズケーキ』。またある日は、イチゴの量の多さに二度見するほど真っ赤な『とちおとめのフレジエ』。ときには日本酒講座でお酒と楽しむためのパンを焼くことも。今やレパートリーは100を超えます。

  • デザイン学校に通っていた経験から、色彩センスもいい

  • 菓子パン、食事パン、キッシュなどのレパートリーも豊富

    どれも独学とは思えない完成度の高さ

 もちろん、スイーツはお店でいただくことが可能。「何が一番美味しかったですかと聞いて、『ケーキ』と答える女性がいますよ。寿司って言ってよ! と思うんですけどね(笑)」と和美さん。もちろん、美味しい寿司の後の極上スイーツだから一層幸福な締めくくりとなるわけです。

実は日本酒もプロフェッショナルだった!

    季節の魚に合わせて日本酒を提案

 実は和美さんはスイーツだけではなく、日本酒のエキスパートでもあります。日本酒学講師、名誉唎酒師、酒匠と日本酒における最高峰の資格を保有し、実は【鮨処 ひろ季】も「日本酒に特化した鮨屋」と枕詞をつけているほど。「冬の白子にはクリーム系とよく合う『大七』の生酛造りがいい」「秋の北海道産のボタンエビには『新政』が合う」など、時期や産地によって魚とお酒のマリアージュを提案します。

    台湾でも日本酒と和食のコラボイベントを開催

 休日には全国の酒蔵を訪ね、頑固で有名な蔵元にもアポなしで突撃し今では仲良しになったり、麹菌の第一人者に話を聞きに行ったり。また台湾で日本酒を紹介するイベントを開き、新聞社でも日本酒の講師を務め……と、一体どこにそんなバイタリティーがあるのか、圧倒されてしまいます。「最近はドラムも始めました」というから驚きです。

鮨屋は閉店後がおもしろい……!?

    お店はカウンター、個室、座敷を備える

 深夜には「スイーツをつくりながらこっそりお気に入りの日本酒を楽しむ」ことも楽しみの一つで、ついでに、その日のできごとや寿司屋の裏話、お客さんのマナーについてのなど、「本音」を話したくなるのもこのひととき。

    “日本酒に合うスイーツ”を意識しているのだそう

「グルメを気取る客にしてやった意地悪の数々」(!)や、「政治家のギリギリ話せるネタ」、「寿司屋で好かれる客、嫌われる客」など、聞いてみると興味深い小ネタのオンパレード……。
 
 そんな女将の“深夜のスイーツとお酒とぼやき”、今回は書ききれないのでこれから随時お届けしていきます!

この記事を作った人

取材・文/猫田 しげる

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