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更新日:2019.06.09連載

「なぜ私が失敗しないのか、教えます」|鮨屋は閉店後がおもしろい。女将の深夜スイーツとぼやきvol.2

函館の名店【鮨処 ひろ季】。地物ネタで握る鮨はもちろん、それ以上に話題を集めているのが女将・緋田和美さんが深夜につくるパティシエ顔負けのデザート。この連載では、そんな女将が披露する珠玉のスイーツをご紹介しつつ、軽妙なトークで鮨屋の裏話やこぼれ話をお届けします。今日は『エンガディナー』です。鮨屋で出てくるスイーツとは思えないでしょ!

医者を見る目も養うもの

    いつも着物姿でスイーツをつくります。大音量の音楽をかけて(笑)

 実はこの取材の5日前に手術したんですよ。腹膜炎付きの盲腸で、破裂寸前だったんです。それもお医者さんの診断ミスで、最初はただの盲腸だって言われて。でも私、分かったの。このお医者さん技術ないなってピンときたから、医者のお客さんに聞き回って、この人だ!って思う先生を指名したの。日本人ってセカンドオピニオンを「悪いな」と思うでしょう。

 でも後悔するより良くない?チャンスは自分で掴むもの。勘は養うもの。だから私、小さい頃から失敗したことがないんですよ。

 結局2人目のお医者さんが正しい診断をしてくれて、適切な手術をしてくれたからよかった。ただの盲腸だと思って切られていたらまた痛くなるところでした。

悪いおみくじを引いたら「この神社ダメだわ」

 失敗する人って、「失敗する」と思っているからダメなんです。私は自分で選んだものが失敗しそうでも、ねじ曲げてでも成功させる(笑)。おみくじでよくない結果が出たら、「この神社もうダメだわ」って。そもそも「運」というものを信じないですけどね。

 でも「運」は波に乗ることはあります。悪いことって連発して起こるでしょう。私も2週間ぐらいの間に5個も6個も嫌なことがあったりします。でもそれってチャンスなんです。悪い時はそれ以上下がることはない。そして、悪いことがあったらその分だけいいことが起こります。沈めば沈むほど、次にすごくいいことが待ってるの。だから私は悪いことが起こったら、もっと来いや!って思う。だって大チャンスだから。そして良いことって、必ず予兆があります。その風を黙って感じることが大事ですね。

 あとチャンスというのは1回しか来ない。昔、スピーチを頼まれて「無理です」って断ったことがある。でもそのことを何年もずーっと後悔しました。あの時やっていれば、あの人よりもうまくできたかもしれない。たとえうまくいかなくても、次うまくやるための経験値になったのに。だから、来たチャンスは失敗する・しないを考えずに受けた方がいいんです。

マイナスなことを考えそうになったら思考停止

    エンガディナーはスイスの伝統菓子。バターたっぷりで食べ応え満点です

 私の頭、マイナスなこと考えそうになると思考停止するようにできているんです。台風とか震災とか心配しない。なった時考えればいいし、ならなかったら不安が無駄でしょう。そこまで最悪な状況って人生に一回あるかないかだと思うし。

 手術の話だけれど、実は入院中も抜け出して美術館のダリ展に6時間行ったり、手術の次の日に退院してお店出ていたりしました。痛みなんて気分の問題だから。お客さんに関係ないでしょう。そうすると痛みも本当に感じなくなるんです。

嫌われていても気づかないのが難点

    エンガディナーは寒い地方でエネルギーを蓄えるために生まれたお菓子だそう

 プラス思考で羨ましいねって言われるんですが、実はプラス思考のせいで困ることが多々あります。それは「自分が相手に嫌われていることに気付かない」ことなんです!

 笑い事じゃありません。私、飲食業界や日本酒業界にけっこう敵が多いんですが、相手に避けられていても、「私のこと好きだから恥ずかしがってるんだ〜」って本気で思っちゃうんです。相手がそそくさと離れて行こうとしても、「何で逃げるのー!?」って追いかけてビックリされちゃう。

 それに気付いたのは35歳ぐらいの時です。大将に「あの人、女将のこと苦手だよね」って言われて、「えっそうなの!?」って衝撃を受けました。

 プラス思考っていうか、図々しいんですかね、私。ポジティブすぎて困ります。でもネガティブで困るよりポジティブで困る方がいい人生だと思うので、快進撃を続けます。

緋田 和美(あけた かずみ)

 22歳で【鮨処 ひろ季】の女将になり、大将の緋田広樹さんとともに15年間店を切り盛り。名誉唎酒師、酒匠と日本酒における最高峰の資格を保有。深夜、閉店後に大音量のBGMをかけてスイーツをつくるのが趣味。

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この記事を作った人

猫田しげる

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