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更新日:2018.11.09旅グルメ

文豪・檀一雄がわざわざ足を運んだ長野の名店。江戸時代より続く戸隠蕎麦【大久保の茶屋】

無頼の文豪、檀一雄。奔放な私生活と共に、美食を愛した伊達男であった。著書『わが百味真髄』(中公文庫)で取り上げている長野・戸隠に店を構える【大久保の茶屋】は本物の蕎麦を味わいたくなったら、わざわざ足を運ぶべき名店だ。

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自伝的小説『火宅の人』を著し、最後の無頼派と呼ばれた小説家、檀一雄。彼は一方で、徹底して食を追求し、土地ごとの美味を求めて国内はもとより海外にまで足をのばしたほどの食通としても知られている。

そんな旅を記録した『わが百味真髄』(中公文庫)には、新そばを求めて信州を訪れたくだりがある。行った先は戸隠。標高1000mを超える高原は、霧下蕎麦の名産地である。蕎麦に最適の環境は、年間の平均気温が低く、昼夜の温度差が激しい高冷地。さらに、蕎麦の実が育つころに霧が多く発生する“霧下”の蕎麦は最高品質を表すものだ。

皇族も訪れる職人気質な峠の蕎麦屋

香り豊かな戸隠の蕎麦はざるが一番

    『ざる』750円。5つの束にした「ぼっち盛り」食べやすさと見た目の美しさを両立。

そんな戸隠で、本物の新そばを味わおうと思ったら、畑から取れた実をその場でひいて打つのが一番だが、そうはいかない。そこで、【大久保の茶屋】に行くほかないと檀は記している。【大久保の茶屋】は創業が文化2(1805)年。店の前の道が善光寺から越後に抜ける街道であったことから、旅人を接待する茶店を開始。以来、200年を超える老舗を守っているのが7代目の西善秀さん。

「戸隠では戦前まで主食は蕎麦。一時期、その蕎麦の生産量も減っていましたが、最近は安定してきたようです。おかげでいい蕎麦がいつでも出せるようになりました」

  • 入口付近の囲炉裏の席が山里に来たことを実感させる。

  • 大人数を収容できる広い店内も、新そばの季節には満席に。

歴史を物語る茅葺きの建物には皇族方も訪れ、首都圏から蕎麦を目当てに来る人も少なくない。そんな有名店でありながら、西さんはうまい蕎麦を出すこと以外に興味はないといった様子。それは、腕を磨くことに気持ちが向いているからこそ。昨今失われつつある職人気質が戸隠の蕎麦の伝統を守り続けているのだ。

【大久保の茶屋】

住所:長野県長野市戸隠豊岡2764
電話:026-254-2062
営業:開店10:00、閉店は17:00~17:30頃(冬季は16:00~17:00頃)
※蕎麦がなくなり次第閉店の場合あり
定休:3月中頃~11月は無休、12月は火曜、1・2月は火・水曜、3月は中頃まで火曜休
アクセス:JR長野駅から戸隠キャンプ場行きバスで約50分
※価格は税込

http://www.ookubonotyaya.jp/

この記事を作った人

MEN'S Precious編集部

名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。

PHOTO : 小西康夫

※『MEN'S Precious』2009年春夏号、文士が愛した寿司屋と蕎麦屋より

記事元:Men's Precious

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