ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2020.09.26グルメラボ

名店が教える「スペシャリテの秘密」|【ボッテガ】の『トリッパ、ギアラ、小腸の煮込み』

一度食べたら忘れられない。何度食べても驚くほどおいしい。そう思わせるあの店のスペシャリテには、きっとつくり方に秘密があるはず。そうだ。その秘密、直接シェフに聞いてみよう。

ボッテガのトリッパ

独自の方法で完成した
上モツの旨みを凝縮したトリッパ

プリプリの脂身が口中で甘くとろける小腸にむっちり肉厚のトリッパ、そして食感も独特なギアラ、と存在感たっぷりの内臓が醍醐味のイタリア版モツ煮込み。それが、広尾【ボッテガ】の『トリッパ、ギアラ、小腸の煮込み』だ。笹川尚平シェフのスペシャリテでもあるこの逸品。原型は、トスカーナ州での修業時代に食べた白いトリッパの煮込みだという。

    左下の皿が下ゆでした(手前から)ハチノス、ギアラ、小腸。右皿は、香味野菜のにんじん、玉ねぎ、セロリ。チーズは、スカモルツァアフミカートとペコリーノロマーノ

    左下の皿が下ゆでした(手前から)ハチノス、ギアラ、小腸。右皿は、香味野菜のにんじん、玉ねぎ、セロリ。チーズは、スカモルツァアフミカートとペコリーノロマーノ

「現地ではトマト煮込みが定番ですが、白い方が素材の味が感じられてうまかった。自分がやるなら白い煮込みにしようと決めていましたね」と笹川シェフ。小腸とギアラを加えたのは、個性ある内臓類を一皿に盛り込みたかったからとのこと。

ポイントはゆで汁。モツ類を下ゆでし、ゆで汁は捨てずに活用するのが笹川流だ。「煮込み料理は、一度素材から出た旨みを再度素材に戻すことでうまくなる。それなら、旨みが抽出されたゆで汁を捨てる手は無いと思った」のだとか。

オーブンで焼き煮込むのはその旨みを封じ込め、同時に香ばしさもプラスするため。一方、小腸は食感を残すべく別立てにして煮込み、仕上げには、チーズを忍ばせて味の変化を楽しませる。最後まで飽きずに食べてほしいと願う気持ちが、また食べたくなる秘訣なのだ。

具材の小腸は別鍋で煮て、プリッとした食感ととろける脂の感覚を大切に

小腸は、煮込む時間も約1時間半とトリッパやギアラに比べて短め。それも、煮込みすぎてせっかくの脂を溶かしすぎないようにするためだ。玉ねぎ、にんじん、セロリの香味野菜のほか、笹川シェフはほかの料理で使ったポロネギの残りやディル、セルフィーユの茎などを入れているそうだ。ゆであがったらボールにあけ、氷に当てて素早く冷やし一口大に切って保存。注文の都度、トリッパとギアラの煮込みに合わせて仕上げている。

笹川尚平さん

笹川尚平さん

「モツは、鮮度が何より。うちでは、毎週火曜日と木曜日に入荷。手早く下ごしらえします」

『トリッパ、ギアラ、小腸の煮込み』のつくり方

ゆっくりと時間をかけて丁寧に仕込む上質なモツは鮮度が命

鮮度抜群の内臓類の臭みは皆無。その旨みを生かすべく下ゆで汁も活用し、小腸はその脂のプリプリ感を残すため別ゆでするなど、細やかな配慮が味の秘訣だ。

材料(30~35人前)

「ギアラとトリッパの仕込みⒶ」
・ギアラ 3kg
・トリッパ 2kg
・水 適宜
・香味野菜 (セロリ2本、玉ねぎ 1個、にんじん1本 各ざく切り)
・塩 大さじ4
・黒こしょう(粒) 大さじ

「ソフリットⒷ」
・セロリ 6本
・玉ねぎ 6個
・にんじん 3本
・にんにくみじん切り 大さじ3
・ドライセージ 大さじ3
・ドライローズマリー 大さじ2
・ドライローリエ 10枚
・オリーブオイル 100cc
・白ワイン 1.5ℓ

「小腸仕込みⒸ」
・小腸 2kg
・セロリ (ざく切り) 1本
・玉ねぎ(ざく切り) 1/3個
・にんじん (ざく切り) 1/3本
・ポロネギ(ざく切り) *あれば 青い部分など適宜
・ディルとセルフィーユの茎 適宜
・水 適宜

「仕上げ用」
・季節の野菜を煮込んだもの 大さじ1杯
・オリーブオイル 適量
・黒こしょう 適量
・スカモルツァ アフミカートチーズ(刻む) 大さじ1
・ペコリーノロマーノチーズ(すりおろす) 大さじ2
・イタリアンパセリ(刻む) 適量

つくり方

❶ ギアラとトリッパを下ゆでする。Ⓐの材料をすべて鍋に入れ、具全体がひたひたになるまで水を入れ、火にかける。中火で、アクを取りながら2時間半~3時間ほど下ゆで。

❷ 煮込んでいる間に、別鍋でソフリットを作る。Ⓑの材料の野菜をすべて粗みじん切りにする。

❸ 鍋にオリーブオイルを熱し、Ⓑのにんにくを炒める。香りがたったら2 の野菜を一気に入れ、中火で炒める。しんなりしたら、ハーブ類を加えて炒める。白ワインを入れてアルコールを飛ばし、さらに15分~20分ほどゆっくり炒める。

❹ ①のトリッパとギアラを短冊状にカットする。ゆで汁はとっておく。

❺ ③に④のモツ類を入れる。ざっくりと混ぜ合わせなじませたら、4 のゆで汁をたっぷり入れてぐつぐつするまで火をかける。

❻ ⑤を鍋ごと180℃のオーブンにいれ、約3時間焼き煮込む。途中、表面に浮いてきた脂が色づいてきたら取り出して全体を回すようにざっくりとかき混ぜ、また、オーブンに戻す。この作業を3時間の間に4~5回繰り返す。ここまでは前日の作業。

❼ 具材となる小腸を別鍋で煮る。Ⓒの小腸と野菜類、ハーブを鍋に入れ、ひたひたになるまで水を入れて中火にかけ、1時間半から2時間煮込む。

❽ ⑦の小腸が煮あがったら、ポウルに取り氷に当てて冷ます。冷めたら食べよい大きさにカットする。

❾ 小鍋に⑥の煮込みをレードル2杯分と⑧の小腸をカットしたもの5~6片を入れ、 野菜の煮込み、黒こしょう適量を加え火にかける。

❿ 器にスカモルツァアを入れ、その上から9 を盛り付ける。その上からオリーブオイル、黒胡椒、ペコリーノロマーノをかけ、仕上げにイタリアンパセリ少々をふる。

『トリッパ、ギアラ、小腸の煮込み』の3つのポイント

Point ①

香味野菜をゆっくりいためて旨みのもとをつくる

  • 香味野菜と共に下ゆでするだけでなく、ゆで上がったトリッパとギアラを香味野菜で作るソフリットソースとさらに合わせるのも旨さの秘訣。この時、香味野菜を炒めすぎて、野菜の甘みが出ないように気をつけたい。

Point ②

モツは湯でこぼさない!ゆで汁も鍋に戻してモツの旨みを肉に戻す

  • モツを下ゆでした煮汁は、臭みが出るため通常なら捨ててしまうところだが、新鮮なモツを使う【ボッテガ】では、あえてこのゆで汁を再利用。モツの旨みの出た煮汁で煮込むことで、その旨みを再度モツに戻すわけだ。

Point ③

食べる直前に小腸と野菜の煮込みを加えて食感と旨みをアップ

  • 仕上げの味のポイントの1つが玉ねぎや黒キャベツ、じゃがいも、ブロッコリーなど季節の野菜10種あまりでつくる野菜の煮込み。味の変化を演出すると共に、くどくなりがちなモツの脂感をさっぱりとさせてくれる。

いかがでしたでしょうか。【ボッテガ】のトリッパ、ギアラ、小腸の煮込みを、ぜひご自宅で再現してみてください。

教えてくれたのは 笹川尚平さん

  • 1976年生まれ、富山出身。イタリアで修業後、【アロマフレスカ】の原田慎次シェフに師事。【カーザヴィニタリア】で11年間シェフを務めた後、独立。2017年、広尾に【ボッテガ】をオープンする。2018年ミシュランの星を獲得する。

この記事を作った人

撮影/久間昌史 取材・文/森脇慶子

この記事に関連するエリア・タグ

人気のタグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(10/16~10/22)

エリアから探す