日本でまだ知られていない「新台湾グルメ」|台湾の「三杯(サンベイ)」をご存知ですか?
「台湾グルメ」と聞いて思い浮かぶのは、小籠包や夜市の屋台、タピオカという方が多いのでは? まだ日本ではあまり知られていないのですが、台湾には昔から「三杯(サンベイ)」という“合わせ調味料”を使った料理が数多くあるのです。“サンベイ”とは一体何なのか? さっそく台湾を訪れてみました。
日本人の舌に合う料理がたくさん! 様々な食文化が交錯する「台湾」
日本からわずか4時間弱。台北 101をはじめとする都会的な建物や、九份(きゅうふん)のようなノスタルジックな風景が混在し、観光地としても魅力的な台湾ですが、日本人が訪れる目的の上位に来るのが「台湾グルメ」なのです。
台北の中心地からバスやタクシーなどで約1時間30分。九份は、提灯に灯りがともる夕方から夜に訪れるのがオススメです
台湾は、歴史的・民族的経緯から上海、四川、北京、広東など様々なタイプの中華料理に加え、日本の食文化からの影響も強く受けています。そのため、味付けや食生活も似通ったところがあり、日本人の舌に合う料理が多いことが魅力なのでしょう。
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地下5階、地上101階建てのショッピングモール「台北101」
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屋台のB級グルメは観光客に大人気。夜遅くまで地元の方や観光客で賑わっています
“三杯”と書いて“サンベイ”と読む。日本人にも馴染みのある台湾独自の味つけ
「台湾グルメ」の中に、台湾内ではポピュラーなのに日本ではあまり知られていない「三杯」という合わせ調味料があります。これは、米酒・醤油・胡麻油を同割で合わせたタレに、九層塔(台湾バジル)や唐辛子を加えたもので、「三杯」で鶏を煮た『三杯鶏(サンベイドリ)』やイカを煮た『三杯中卷(サンベイナカマキ)』など、様々な食材に使われています。
三杯料理の中で最もポピュラーなのが、鶏肉を使った『三杯鶏』
気になるその味は、日本の“甘辛煮”を少しピリ辛にしたような感じ。米酒とほんのり甘みのある黒豆醤油で煮込まれた濃厚さと、胡麻油の香ばしさが立つ中にすーっと通るバジルの爽やかさが加わり、なんとも深みのある味わいなのです。
エリンギを「三杯」で炒めた『三杯杏鮑菇(サンベイエリンギ)』。奥までしっかりと味が染み込んでいます
美味しさの秘訣は、「九層塔(台湾バジル)」と「黒豆醤油」にあり!
「三杯」の魅力は、バジルのもつ爽快感と黒豆醤油の濃厚な味わいにあります。
台湾料理で頻繁に使われる「九層塔(台湾バジル)」は、西洋のスイートバジルと比べて葉が小さく、やや渋みがあり、香りも強め。三杯料理の他にも唐揚げの香りづけにも使用され、炒めたり油で揚げることで独特の香りを放ち、料理に風味を添えます。
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台中・雲林にあるバジル畑。実際に訪れてバジルを収穫。摘み立てのバジルは特に香りが濃くてフレッシュ
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収穫後は畑の真ん中でランチ。バジルの香りが漂う中でのランチはとっても贅沢な体験でした!!
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また、「三杯」で使用する醤油も日本のものとは異なります。
日本の醤油は大豆ベースなのに対し、台湾は黒豆がベースの「黒豆醤油」。その醸造方法も異なります。日本は大豆と脱脂大豆などを蒸し、炒めた小麦を麹菌に入れて3日間かけて麹をつくりますが、「黒豆醤油」は小麦を使用せず、蒸した黒豆を麹と食塩の中に入れて、4〜6か月ほど醸造します。その味は、日本の醤油に比べて豆の香りが深く、甘くて濃厚で余韻が長く残るのが特徴です。
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台北・雲林県にある老舗醤油工場【丸荘(マルソウ)醤油】。百年の醸造技術と契約栽培の国産黒豆を、古法に従って180日間手作業で醸造します
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工場内で醸造中の醤油を一口。生の醤油は濃厚で、納豆のような香りが。通常の塩分濃度が16度に対し、こちらは18度とやや高め
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そんな台湾独自の食材を用いた「三杯」。日本の台湾料理店でも食べられるのですが、より身近に感じてもらうために「三杯」を使った料理のつくり方を教えてもらいました!
本場・台湾のシェフ直伝!!『三杯鶏』のレシピ
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材料(4〜5人分)
鶏もも 500g
黒豆醤油(大豆醤油も可) 100ml
米酒(料理酒) 100ml
胡麻油 100ml
ニンニク 1〜2玉
ショウガ 10〜20スライス
九層塔(西洋バジルも可) 1〜2掴み
長ネギ 1本
唐辛子 4〜5片
料理酒(下味用) 適宜
つくり方
まずは、食材の下準備をします。ニンニクは皮を剥き、生姜は薄く縦にスライス、長ネギは3cm幅にカットし、唐辛子はタネを取っておきます。
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❶鶏肉の下ごしらえをする
鶏肉は二口大にカット。醤油や酒で下味をつけ、鶏肉の約4倍の量の油で揚げる。7割ほど火が通ったら、火から上げます -
❷鍋が温まったら、胡麻油を入れる
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❸生姜をじっくりと揚げる
胡麻油に生姜を加え、香りが移るように弱火で飴色になるまでじっくりと揚げます -
❹ニンニクを加えて炒める
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❺鶏肉、醤油、料理酒を加える
❶の鶏肉を入れ、醤油と料理酒を加えてさらに炒めます -
❻唐辛子と長ネギを加える
肉にソースが絡んできたら、唐辛子と長ネギを加え、さらに炒めます
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❼バジルを加えて蒸す
ネギがしんなりしてきたらバジルを加え、蓋をして煮詰めます -
❽完成!
写真のように焦げ目がつくくらいじっくりと煮詰めれば、より味わい深く仕上がります。
この「三杯」は、胡麻油や醤油など、日本の家庭でも馴染みのある味に台湾バジルが加わることで、親しみやすい中にも台湾独特の個性が感じられるもの。それが鶏肉の他にもイカやエリンギ、白身魚、タケノコなど様々な食材に利用可能なので、日本の食材でも気軽につくれるのは魅力的ですよね。
そんな、まだまだ日本では知られていない「三杯」。台湾へ行って食べるも良し、日本の台湾料理店で食べるも良し、家でつくってみても良し。新たな台湾グルメに是非触れてみてください!
取材協力:看見台湾基金会(iSee Taiwan Foundation)
公式HP:http://www.iseetaiwan.org/en/Index.aspx
取材・文/嶋亜希子(ヒトサラ編集部)
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