更新日:2017.04.19食トレンド デート・会食 旅グルメ 連載
台北【MUME】~【noma】をクラブ風に解釈<ヒトサラ編集長の編集後記 第8回 台北美食紀行 その②>
客がいったん引けた後、シェフのリッチー・リンさんと、バーカウンターで話をしました。カナダ国籍、香港育ちのシェフがなぜ台湾なのか、と問うと、やはりここの食材の魅力だと。
最先端の台北ビストロノミー
店名を台湾の国花、梅の花からとったといわれる【MUME】。
お洒落な大安区四維路、大通りから一本入った路地にあって、灯りをおとしたエントランスは、レストランというより、お洒落なバーかクラブかといった趣です。
ドアを開けると、アップテンポなクラブミュージックがかかっていて、入るとすぐにバーカウンターがあります。
エントランスから中を見ると
店内は、間接照明のやや怪しげな空気を醸す空間で、ロープで吊るされた裸電球が印象的です。音楽に加えて人が動いたり話したりする姿が目につき、賑やかです。
レストランよりカジュアルな、ビストロと美食のガストロノミーを合わせたビストロノミー。90年代のフランスでポピュラーになり、さまざまな形態で発展進化していますが、【MUME】は、最先端の台北ビストロノミーと紹介されています。
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メニューはアラカルトで
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シェフのリッチー・リン(Richie Lin)さん
テーブルクロスはなく、カトラリーも各テーブルにまとめて置かれています。紙に印刷されたメニューが出てきて、アラカルトで選ぶよう言われます。
英語で書かれたお酒のメニューと食事のメニューがあって、スターターから順に「SNACKS」、「SMALLER」、「BIGGER」、「SWEETER」に分かれています。それぞれがリーズナブルな値段で、フロアを行き来する若いスタッフもみな親切です。欧米人率が高く、日本語は基本的に通じないようです。
この【MUME】を仕切るのは、カナダ国籍、香港育ちのオーナーシェフ、リッチー・リン(Richie Lin)さん。コペンハーゲンの【noma】やオーストラリア・シドニーの【Quay】、香港の【NUR】で研鑽を積んだ人で、台湾の食材に興味を持つ中でここをオープンさせるに至ったとか。
北欧モダンの影響を受けながら台湾のエッセンスをそこに同化させる。それが今、台北のとんがった人たちに受けているというのです。
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ベビーポテトのフライ
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天然酵母の自家製パン
「SNACKS」から『フレッシュ・シャックト・オイスター』、『ベビー・ポテト』、『レバー・ブリュレ』をまず頼んでみました。驚きました。もう少し簡単なものを想像したのですが、いきなり、すごいお洒落なのです。カジュアルな服を高級服以上に鯔背に着こなすスタイルをもった人のようです。
『フレッシュ・シャックト・オイスター』は、牡蠣ときゅうりのシャーベットで、一緒にすくって食べます。ゆずの少しスパイシーな風味が付いてます。食感が楽しいです。
『レバー・ブリュレ』は、鶏のレバーペーストの表面がクレーム・ブリュレ状に焼かれています。表面はカリカリと甘く、中はしっとりしています。
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クレーム・ブリュレのような『レバー・ブリュレ』
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花やハーブで飾られた甘い『照り焼きポーク・リブ』
ベビー・ポテトはフライにしてあり、塩がふってあります。古ぼけた紙袋のようなところから転がり出てきた演出です。ポテトが温かく味わい深く、塩加減が旨く、サワーソースをつけるとリッチな味わいに変わります。
チリの白ワイン、カベルネフラン種のものを合わせます。
やや酸っぱめの風味の天然酵母の自家製パンは、伝統的な製法で作られているそうです。それに添えられている黒ビールのバター、スモークした牛脂のバターなど、どれも一味違う美味しさです。
看板メニューのワギュー・タルタル
「SMALLER」から選んだのはワギュー・タルタル。【MUME】を一躍有名にした看板メニューと言われています。まさに梅のイメージ、そのうえに開く花々のイメージ。従来のタルタルの概念を変えてくれるような一品です。混ぜるのがもったいない。このままスプーンですくって食べます。上がパリッと、下が柔らかくフレッシュな感じ。この外がパリッ、なかがフワッというのは多くの料理で美味しい定番のようです。セロリ、大根、玉ねぎなど細かく刻まれた歯ごたえのいい野菜とフレッシュな牛肉のコンビネーションも素晴らしい。
ただ、話を聞いてみると、和牛ではなく、オージービーフのタルタルでした。アルゼンチンの赤、ピノノワールを合わせます。
「BIGGER」からはBBQポーク・リブを頂きます。これも先ほどのポテトと同じく、古い紙袋に包んであって、手で食べてもいいい感じです。味噌が塗ってあって、照り焼きになっています。花やハーブで飾られた甘い照り焼きポーク・リブ。子供っぽい味かもしれませんが、優しさに満ちています。
今年はポルトガルに行くんだ、という話をしたら、それではこれで、とポルトガルの赤ワインを合わせてくれました。
「SWEETER」からはパッション・フルーツを使ったデザート。それと、最後にお茶をいただきました。
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ポルトガルの赤ワインは戦国武将も飲んだとか
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デザートはパッション・フルーツ
客がいったん引けた後、シェフのリッチー・リンさんと、バーカウンターで話をしました。カナダ国籍、香港育ちのシェフがなぜ台湾なのか、と問うと、やはりここの食材の魅力だと。リッチーさんは食材の9割を台湾内でまかなっていると言います。とすれば、もはやこれは、新しい時代の新しい台湾料理なのかもしれません。
神保町【傳】の長谷川さんとコラボしたときの話を嬉しそうに語ります。シェフもスタッフも、なんだかとても未来志向だと思いました。
【MUME(ムメ)】
住所:台北市四維路28號
電話:(02)2700-0901
営業時間:18:00~24:00
定休日:月曜日
この記事を作った人
小西克博(ヒトサラ編集長)
北極から南極まで世界を旅してきた編集者、紀行作家。
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