更新日:2019.01.25旅グルメ グルメラボ
これぞ江戸庶民の「粋」! 池波正太郎が愛した【神田まつや】で蕎麦を食べる
【まつや】で出すものは何でもうまい。それでいて、蕎麦屋の本道を踏み外していない。と池波正太郎は『むかしの味』(新潮文庫)で書いている。蕎麦粉からわさびなどの薬味まで全てにこだわり尽くす神田の名店で酒を飲みながら、蕎麦を啜ってみないか?
池波正太郎のお気に入りの散歩コースが、神田連雀町と呼ばれていた界隈。東京都心だが戦災をまぬがれたため、蕎麦や鳥鍋の老舗が今も数軒残るエリアだ。
その途中に、明治17年に創業し、関東大震災後に建てた建物を今も大事に使う【神田まつや】がある。テーブル席のみの店内はいつ行ってもにぎわっていて、知らぬもの同士が隣り合い、次第に打ち解けるという下町情緒が色濃く感じられる。蕎麦打ち場が奥にあり、店内を見渡すと昭和初期からあるというレジや柱時計、とちの木の古いこね鉢など、昔をしのばせるものにも事欠かない。
蕎麦の香りの歴史が香ってくる佇まい
大正末期に建てられた店舗は、昔の蕎麦屋の雰囲気そのもの。
4代目となる小高孝之さんは、父である3代目の登志さんから江戸伝統の蕎麦打ち技術やつゆのとり方を習得し、正統派の味を継承。その上、蕎麦粉やネギ、ワサビなどの素材の研究にも余念がなく、より安全でおいしいものを追求している。
「蕎麦の色をきれいに出すことは簡単なのですが、香りを出すのが難しい。だから、うちは製粉所から毎朝ひき立ての蕎麦粉を届けてもらい、手打ちの蕎麦を守り通しています」
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箱に描かれた挿絵は、池波正太郎が店に残した忘れ形見。お土産用手打ち生そば(3人前)2,150円、(6人前)4,100円。
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蕎麦粉を使った料理の原形である、そばがき1,050円。風味豊かでお腹にたまり、酒の肴としても好まれている。
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ネギなどの薬味も、吟味して選び抜いたものを使用。
池波正太郎がこの店を訪れたのは、昼時を避けた午後遅めの時刻。日本酒と一緒にそばがきやもりそばを注文した。池波正太郎はまた、蕎麦好きの間で邪道とされていたカレー南蛮でさえ、この店のものはうまいとほめている。そして、【神田まつや】には昔の味がちゃんと残っていて、昔の味のする店は働いている人たちが決まって親切なのだと『むかしの味』(新潮文庫)に記している。
昭和の味のみならず心をも残した【神田まつや】、今もその雰囲気を求める人が数多く訪れている。
この記事を作った人
MEN'S Precious編集部
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
『MEN'S Precious2009年春夏号』文士が愛した寿司屋と蕎麦屋より
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