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更新日:2020.09.11グルメラボ

名店が教える「スペシャリテの秘密」|【kiki harajuku(キキ ハラジュク)】の『ミラノ風カツレツ マンゴーとトマトのソース』

一度食べたら忘れられない。何度食べても驚くほどおいしい。そう思わせるあの店のスペシャリテには、きっとつくり方に秘密があるはず。そうだ。その秘密、直接シェフに聞いてみよう。

【kiki harajuku】の『ミラノ風カツレツ マンゴーとトマトのソース』

フルーツと野菜の魅力を
掛け算のおいしさで表現

「フランス料理の古典の中には、鴨にオレンジ、フォアグラにラズベリーというように、果物を添えた料理がたくさんあります。果実は、ほかの食材と合わせた時に相乗効果を発揮することが多いのです。フランスでそれらを食し、学ぶなかで必然性があることがよくわかり、大好きになりました」と野田さんは言う。

    使用する食材。中央は鶏胸肉。左下から時計まわりに、小麦粉、卵液、パン粉、 グラナパダーノパウダー、パセリ、グレープシードオイル、ディジョンマスタード、アップルマンゴー、トマト、白ワインビネガー、玉ねぎ、にんにく

    使用する食材。中央は鶏胸肉。左下から時計まわりに、小麦粉、卵液、パン粉、 グラナパダーノパウダー、パセリ、グレープシードオイル、ディジョンマスタード、アップルマンゴー、トマト、白ワインビネガー、玉ねぎ、にんにく

帰国後、料理の試作を重ねるうちに、フルーツを使った料理に楽しさを見い出し、積極的に取り入れていくなかでどんどん魅了されていったそうだ。このカツレツもそんな思いから生まれた。上品な鶏胸肉がトマトとマンゴーのソースでインパクトのあるご馳走に早変わりする。

実際に食すると、トマト、マンゴー二つの素材が、足し算ではなく、掛け算のおいしさになっていることがわかる。実は、両者のまとめ役になっているのは、玉ねぎのすりおろしだという。

「通常のピネグレットで使用する玉ねぎの量よりも多めに加えているのですが、それが功を奏し、深みを与えています。また、日本の果物は生食が基本の繊細な味わいなので、なるべく熱を加えずに供することも大切。そんなことを考えながら、日々、果実の可能性を探っています」

マンゴーは甘みの強いアップルマンゴーをチョイス

ソースをつくる際、マンゴーの甘みが強いもののほうが、トマトと合わせたときの効果が高くなる。フィリピンマンゴーよりは、アップルマンゴーのほうがベターだが、一番大切なのは熟れ具合。指で触ってややへこむくらいがほどよい。

野田 雄紀さん

野田 雄紀さん

「日本の果物の質は、世界的に見ても高い。もっと料理に生かしていきたいですね」

『ミラノ風カツレツ マンゴーとトマトのソース』のつくり方

フレッシュなマンゴーとトマトをソースに

年間を通しての定番というチキンカツ。トマトと旬の果物のソースで、季節感を演出。マンゴーの甘酸っぱさで夏の華やぎを。

材料(一人分)

〈カツレツ〉
・鶏胸肉 40g
・塩 適量
・薄力粉 適量
・卵 適量
・牛乳 適量
・パン粉 適量
・揚げ油 適量
・グラナパダーノパウダー 適量

〈マンゴーとトマトのソース〉
・アップルマンゴー(角切り) 25g 
・トマト(角切り) 25g 
・塩 少々
・ディジョンマスタード 0.5g 
・玉ねぎ 1g(すりおろし)
・白ワインビネガー 4g
・グレープシードオイル 5g
・パセリみじん切り 適量

つくり方

❶鶏胸肉は肉叩きでパンチして平らにする。

❷叩いた鶏肉に塩をして水気を拭き取り、薄力粉をまぶし、卵と水を合わせた卵液にくぐらせ、パン粉を付ける。

❸マンゴーとトマトのソースをつくる。材料すべてボウルに入れ混ぜ合わせる。

❹フライパンで油を温め、温まってきたら鶏を揚げ焼きにする。

❺油をペーパーで切って皿に盛り、上にグラナパダーノ、マンゴーとトマトのソースをのせパセリをかける。

『ミラノ風カツレツ マンゴーとトマトのソース』の3つのポイント

Point ①

鶏胸肉は、均一に肉叩きで薄く叩く

  • 叩くのと同時に、針でパンチングが入る器具で丹念に叩く。肉は薄く広がると同時に細かい穴があき、味がしみやすくなり、咀嚼したときの、歯切れが良くなる。

Point ②

鶏肉がかぶるくらいの油で揚げ焼きを

  • 少なめの油のほうが、肉が曲がらず、きれいに仕上がる。温度は低めの130~140度から揚げ始めると焦げずに揚がる。常に鍋をゆすって、油の温度を均一にすることも大切。

Point ③

トマトとマンゴーの甘さを引き立てる玉ねぎを忘れずに

  • 通常のビネグレットに比べて玉ねぎの割合を多くすることで、トマトとマンゴーの甘酸っぱさの中に深みが出る。添えものとしてではなく、ソースとしての役目を担うようになる。

いかがでしたでしょうか。【kiki harajuku】のミラノ風カツレツ マンゴーとトマトのソースを、ぜひご自宅で再現してみてください。

教えてくれたのは 野田雄紀さん

  • 1983年生まれ。22歳で渡仏。魚介レストランや昔ながらのビストロを経て、当時三つ星の名店「タイユヴァン」で研鑽をつむ。帰国後、神楽坂の一つ星【ルグドゥノム・ブション・リヨネ】でスーシェフを務め、2011年に【kiki harajuku】を開店。

この記事を作った人

撮影/久間昌史 取材・文/小松宏子

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