辺境に名店あり vol.1:長野県茅野市【信州マタギ亭】
日本の隅々には隠れた名店がたくさんあります。わざわざ行きたい、そんな珠玉の名店を各地に訪ねます。
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日本の隅々には、美味しいものがいっぱい
【信州マタギ亭】の『イノシシ鍋』は絶品
希少な辺境の食文化を残すには
例えば『ミシュラン・グルメガイド』は、タイヤメーカーのプロモーションとして、地方に車で行く人を増やすために始まったのは、よく知られるところ。そもそも、紹介すべき名店がフランスの各地にあったのは事実ですが、いや、日本も負けていないはず。経済の成長過程で見失われていった名店、あるいは、あえて辺境の地を選び、チャレンジしようとしている気鋭の料理人の店。長い道のりを辿りついたからこそ、満足感を得られる絶品。そんな知られざる名店を、あらためて辿っていきたいと思います。
【信州マタギ亭】の前菜もろもろ。長野名物『蜂の子』や山菜の佃煮など。ほっこり
辺境の地でこそ味わいたものと言えば、例えば「ジビエ」。いや、日本的に「山肉」と呼びたいと思います。一昨年ごろ、一気に話題となったその山肉ですが、一時期、山奥に住んでいた経験がある私からすれば、非常に身近な食材でした。よく熊や鹿、猪などの肉を近所の方から分けてもらっていたのです。苦手な方から「臭みが…」という話をよく聞きますが、良い状態の山肉を食べ慣れると、牛や豚よりもクセがない、そのことを経験から知っていたわけです。
肉にしろ魚にしろ野菜にしろ、美味しいものもあれば、そうでないものもあるのは当然のことです。状態の悪い美味しくないものを食べ、嫌いになっていしまうのはもったいないというのが個人的な気持ちです。
『イノシシ鍋』が名物、心の名店【信州マタギ亭】
メインの『イノシシ鍋』。これで1人前
そんな山肉を食べられるお店で、真っ先に紹介したい、心の名店が長野にあります。諏訪湖から車で約30分の山間の地に佇む【信州マタギ亭】がそれです。
メニューはコースのみで4000~5000円。特に『イノシシ鍋』が有名ですが、鹿のジャーキーなどリピーターに愛される逸品や、ときに幻の食材と呼ばれる『岩茸』が出てくることもあります。また、旦那さんが打つ、〆のうどんもほっこりする温かな美味しさ。
地元ならではの希少な食材を、地元ならではの伝統的かつ家庭的な調理法で仕上げられ、どれもが絶品。方向は違うとはいえ、都内の名店の渾身のコースを食べることに匹敵する満足を感じてしまうのは、私だけではないと思います。絶対。
希少な食文化は消えるのか、継承されるのか
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地域の食材を生かした鉄板メニュー『山菜の天ぷら』。季節によって内容が変わります
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持ち帰りたいという希望も多い(でも、限定の品)という『鹿のジャーキー』
冒頭に「真っ先に紹介したい」と書きましたが、それには理由があります。そう、ご夫婦が高齢のため、いつまで猟を続けられるかわからないのです。毎年うかがうたびに「今年までかもしれないし、来年までもかもしれないし」という話をお聞きしています。日本の山間部の伝統を残し、なおかつこんな美味しいものが食べられなくなるのは残念なことですが、後継者がいないので、致し方ありません。
私たちにできることと言えば、営業が続いているうちに、一回でも多く伺うこと。この貴重な味を身体の中に染み付かせた方が増えれば増えるほど、この味が継承され、どこかでまた芽が出る可能性も高くなるような気がします。
この記事を作った人
撮影・取材・文/杉浦 裕
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