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更新日:2017.05.27旅グルメ 連載

辺境に名店あり vol.2:岐阜県瑞浪市【柳家】

日本の隅々には隠れた名店がたくさんあります。わざわざ行きたい、そんな珠玉の名店を各地に訪ねます。

【柳家】の鮎のここがすごい

6月は、鮎漁解禁の季節です

    強火の遠火で、丁寧に火が入れられる【柳家】の鮎

 6月になると、食いしん坊のあなたの心は躍りませんか。なぜ? そう、独特の香気が垂涎の鮎漁が全国で解禁されるから。日本人と鮎の付き合いは古く、「鮎」という漢字はすでに奈良時代から使われていたと言います。
 都市部でも、6月半ばをすぎると、様々なジャンルの店で鮎を食べることができますが、これまで食べてきた鮎の中で、もっとも印象に残っている店は、岐阜県瑞浪市にある【柳家】の鮎です。

口コミグルメサイトで常に全国ベスト3をキープする名店は意外な場所に

  • 陶町猿爪のはずれ、里山を背にした場所に位置します

  • 店内は炉端のみ。4名以上での利用になります

 名古屋駅から中央線で1時間弱の瑞浪駅。さらに、そこから車で20分の場所に、この【柳家】はあります。決して、恵まれた立地にあるわけでもないのに、口コミサイトでは、常に全国ベスト3に入り続けている名店です。
 冬~春のジビエで知られていますが、秋の松茸やキノコなど、季節感あふれる山の幸を楽しめます。
 そして、夏は何と言っても鮎が目玉です。

その透き通った鮎の味に驚愕

 まず、驚くのは焼く前のその鮎の色。新鮮な鮎というと、黄色の斑点が特徴だと思っていたのですが、【柳家】で使うそれには斑点はなく、ガンメタリックとも言えるカラーが身を覆います(冒頭の写真参照)。驚く私の顔を見て、「うちのは、下処理に特徴があるんですよ」とご主人の山田さんは笑います。
「黄色い斑点は、そもそも鮎は保護色だからです。けれども、うちでは釣った直後のものは使いません。生簀で数日置くことによって、体の中の汚物を出してから、お客様に提供しています」

    炭火でじっくり焼かれることにより、余計な水分が落ち、旨みが残る『鮎の塩焼き』

 ご主人が丁寧に炭火で焼いた鮎を食べて、また驚きます。先ほどの下処理の効果をすぐに実感。鮎特有の香気は残しつつも、全体の印象としては、まさに「透き通った味」なのです。こんな鮎は、それまでに食べたことはありませんでした。

絶品の鮎に想う、食にとっての地の利とは

 これまた絶品の天然鰻、それを白米とともに堪能した最後に、締めは『鮎雑炊』。もう言うことはありません。
 いや、ありました。改めてになりますが、こんな鮎は他で食べたことはありません。
 一般的に食材に関しては、新鮮さが最大の売りになってるフシがありますが、現在の発達した輸送網のなかで、新鮮な食材を手に入れるのはそれほど難しいことではないかもしれません。
 でも、生簀を使って臭みを抜くというように、それができる設備を持っている飲食店は都市部にはそうそうないでしょう。ご主人は、「田舎ですから」と笑いますが、この鮎を口にした後では、そういった施設を無理なく持てる田舎であることは、美味しさにとって非常に重要なことのように思えます。
 食にとっての地の利とは、まさにこういうことを言うのではないでしょうか。

 

この記事を作った人

撮影・取材・文/杉浦 裕

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