「ドンブラボー」がピザの専門店をオープン|国領【クレイジーピザ】のピザは未経験の味がする
都心から離れた場所にありながら常に満席を誇るイタリアン「Don Bravo(ドンブラボー)」が、2020年6月1日にピザの専門店【Crazy Pizza(クレイジーピザ)】をオープンしました。どんなピザがラインナップされているのか、さっそくレポートします!
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『マルゲリータ』も『マリナーラ』も【クレイジーピザ】はひと味違う
ピザとのペアリング、オススメはほうじ茶コーラ!?
夕方は子どもたちの時間。キッズピザがなんと100円!!
ピザは1/4カットとホールを提供。テイクアウトも可能
新聞販売所の跡地を改装。席数は10席ほど
シェフの平雅一さんが手がける【ドンブラボー】は、単価が1万5,000円ほどの高級イタリアン。フーディーたちが足しげく通い、郊外の名店とうたわれています。対して、姉妹店として出店したのはカジュアルなピザ専門店。【ドンブラボー】のエッセンスが詰まったピザをカジュアルにいただけるなんて、これは行くしかありません!
店内のピザ窯で焼いています
【クレイジーピザ】で提供するのは、シンプルにピザとドリンクのみ。『マルゲリータ』や『マリナーラ』など5種類のピザと日替わり1種類を、1/4カットからホールまで出しています。イートインもテイクアウトも可能です。
【ドンブラボー】でもピザが絶品と評される理由のひとつは、ピザ生地のおいしさ。国産の全粒粉にホエーとタマネギ水を加えた生地は、小麦の香りが豊かでもちもちの食感です。ヨーグルトからおこした自家製天然酵母をメインに使って発酵させています。
それでは早速、ピザの定番の顔ぶれが【クレイジーピザ】の手にかかるとどう変身するのか、ご紹介していきましょう。
モッツァレラが爆量『クレイジーマルゲリータ』
『クレイジーマルゲリータ』ホール 3,200円、1/4カット 900円(税抜)
イチオシのピザ『クレイジーマルゲリータ』に使われるのは、トマトソースにバジリコにモッツァレラと、マルゲリータの基本的な食材。ただしモッツァレラの量は「爆量」で、通常の3倍の量を使っているのだとか。
「これだけモッツァレラを使ったピザは、【ドンブラボー】のコースの最後に出すには重いので【クレイジーピザ】ならではのピザです」と平さん。そう、【ドンブラボー】ではピザをコースの終盤の一皿として提供するため、他の料理とのバランスが重要です。【クレイジーピザ】では、コースではできなかったパンチのきいたピザを出しています。
しかし、フレッシュなトマトの酸味と生地の軽い口当たりのおかげか、爆量のモッツァレラも軽々と食べられてしまいます。
王道イタリアンピザがアジアンに!『マリナーラ』
『マリナーラ』ホール 2,000円、1/4カット 600円(税抜)
「ビジュアルはマリナーラだけど、味はアジアン」というのがウリの『マリナーラ』。トマトソースやニンニクなどの材料は一般的なものと変わりませんが、オレガノのかわりにレモンバジルを使い、上にはパクチーがどっさりのっています。口のなかはハーブの風味でいっぱいに。
子どもの食べ物と侮るなかれ!『マヨコーン』
『マヨコーン』ホール 3,200円、1/4カット 900円(税抜)
『マヨコーン』のピザを頼んで、「山椒はかけていいですか?」と聞かれたことはあまりないのではないでしょうか。
つぶつぶが残ったペースト状のとうもろこし、オーガニックのマヨネーズとモッツァレラ、サルシッチャを生地にのせて焼き、仕上げに自家製の焼肉のソースをかけて、山椒をきかせています。
「みんなが知っているマヨコ―ンはジャンクな印象があるかもしれませんが、それをレストランレベルにしました。子どものピザとは言わせない味です」と平さん。ただ、山椒が苦手な子どもも多いため、持ち帰り時は冒頭のように有無を聞いているのだそうです。
一番気を遣うのは、やはり焼き加減
店舗を任されている藤井淳利さんは【ドンブラボー】ではスーシェフを務め、ピザ窯を担当していました。ピザは焼き加減が命。【クレイジーピザ】ではテイクアウト利用が多く、その場合は店では80パーセントの焼き加減で仕上げることで、自宅で温めるときに100パーセントになるようにしています。
ピザにもペアリングがあるのです
『ほうじ茶コーラ』700円(税抜)
せっかくイートインで食べるなら、【クレイジーピザ】流のペアリングを楽しむのもオススメです。
『ほうじ茶コーラ』は、自家製のコーラにほうじ茶を合わせ、かぼすをアクセントにしたドリンクです。そもそも相性のよいピザとコーラ。さらにほうじ茶の香ばしさを加えることで、ピザの小麦感とマッチします。ほうじ茶は、平さんと藤井さんが静岡県を訪れた際に、直接茶園の生産者に会ったことで取り入れているそう。
そのほか、レモンサワーやクラフトビールなどアルコールドリンクも充実しています。
地域のキッズたちに届け! 100円キッズピザ
シェフの平雅一さん(左)と、店舗を任されている藤井淳利さん(右)
ユニークな取り組みが、毎日16時30分~17時30分限定で提供しているキッズピザ。15歳以下限定で、なんと100円で販売しています。
「子どものうちだからこそ、気軽においしいものを食べてほしい。味覚形成がまだ未熟なうちにいろんな味わいに触れてほしい」という思いでスタートしました。不揃いだったり、規格外だったりで市場に出回らない食材などを使ってピザをつくっています。
「味覚って子どもの頃につくられるんですよね。小さい頃からやっている野球やピアノが特技になるように、小さい頃からの味覚って特技になるんですよ」(平さん)
キッズピザへの思いは、お店をオープンする原動力でもあったようです。
【クレイジーピザ】をつくるきっかけは、昨年のクリスマス。ちょうど【ドンブラボー】の定休日と重なったこともあり、平さんは家族のリクエストで焼肉店へ行ったのだそう。
「3,000円で食べ放題の店で、家族もまわりの人も楽しんでいました。でも、出てきたお肉はどういう育て方をしたのだろうかと思い始めたら、家族が食べるものがこれでいいのかなって。そういった店が選択肢としてあるのもいいけれど、地元の人たちが1週間に1回でも出どころがはっきりとした食材を食べてくれたらいいなと思って、カジュアルな店をオープンすることにしました」(平さん)
持ち帰り用の箱もかわいい
2店舗目の出店場所も、【ドンブラボー】から歩いてすぐの距離であり、平さんの地元である国領に決めました。【ドンブラボー】は2012年のオープンからしばらくは地元の人たちで満席だったものの、評判になるにつれてディナー客の8割ほどが遠方客に。好きで遠くから来てくれるお客さんでよい空気感ができあがっていき、レストランとしてやりたいことに挑戦できる一方で、地元の人たちに向けた場所も模索していました。
「ちょっと高かったけど、また食べたい」と思ってほしいそして、飲食店に多大な影響を与えているコロナショック。飲食店の多くが苦境に陥っているのを目の当たりにして、平さんは原因のひとつを「カジュアルな食=安価」というイメージがあることだといいます。コロナ禍以前から、コスパを重視するあまりに利益を追求できていないのではと考えたのです。
お店はこのロゴが目印
ならばと、「ピザやハンバーガーといったカジュアルな飲食店でも安売りせずに、いいものをちゃんとした価格で設定しよう」と【クレイジーピザ】ではカジュアルの最高峰を目指しているのです。
「ピザがカットで1,000円近いというのは決して安くはないですが、ふだんコスパを重視している人にも『ちょっと高かったけど、おいしかったからまた来たいな』と思ってほしいです」(平さん)
今年注目のニューオープンとなっている【クレイジーピザ】。最高峰のカジュアルを気軽に楽しんでみてください。
撮影/冨樫実和 取材・文/泉友果子
メディアに勤務後、フリーランスの編集者、ライターに。街や食、旅といったテーマに携わる。
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