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更新日:2017.02.27グルメラボ

もう食べられなくなるかもしれない、市場から消える食品

様々な理由で、それまで普通に流通していた食品が市場から消えて、食べられなくなってしまうことがあります。今回は、今は食べられなくなってしまった食品や、近い将来食べられなくなるかもしれない食品・食材と、その様々な理由について紹介します。

もう食べられなくなるかもしれない、市場から消える食品

身近に迫る消滅の危機! 絶滅が危惧される食材

やがて食卓から消えるかもしれない、乱獲で絶滅が心配される食材たち

 現在普通に私達の食卓に並んでいる食材の中には、近い将来に絶滅が心配されているものも少なくありません。様々な食材が絶滅してしまう理由のうち最大のものは、やはり人間による乱獲です。

 ステラーカイギュウ、ドードー、モア、リョコウバトなど、乱獲が原因で既に数多くの種が絶滅してしまいました。そうした反省から、現在では絶滅の恐れのある種を「絶滅危惧種」として保護する動きもありますが、消費者に人気があって高値で売れる食材の乱獲を止めるのは簡単な事ではありません。

 キャビアを産むチョウザメや、フカヒレの原料になるサメ、上海ガニといったいわゆる高級食材の原料は、いずれも絶滅の危機が叫ばれています。日本の食卓には欠かせないウナギやマグロも、深刻な絶滅の危機に瀕している種のひとつです。日本では食材としてはあまり馴染みがありませんが、マナティーやオオサンショウウオ、ウミガメなども絶滅が懸念されている動物たちです。

乱獲ばかりが原因ではない。トリュフが食卓から消えるかもしれない意外な理由とは

 食材が食卓から消える理由は、乱獲ばかりではありません。地球温暖化や、水質汚染など、自然や気象条件の変化等によって収穫が激減している食材も少なくありません。鹿島灘のハマグリは河川や港湾整備による砂浜の侵食、北日本沿岸のアワビは、温暖化による水質変化の影響による絶滅の危険が指摘されています。

 高級食材のトリュフは、ちょっと意外な理由で近年収穫量が大幅に減って、やがて世界中のレストランから姿を消してしまうかもしれないと心配されています。その理由とは、トリュフが育たなくなったわけではなく、育てる人間がいなくなってしまった事です。フランスでは今、伝統食材を担う小規模農家が消滅しつつあります。小さな農家は働く時間が長く儲けが少ない為、やりたがる人がいないのがその理由だそうです。

ブームの終焉、はっちゃけ過ぎたアイディア。色々な理由で消えた食品たち

 食品が市場から消える理由には、他にもまだ様々なものがあります。例えば、それまで一般的に使用されていた食品添加物が使用禁止になれば、多くの商品が市場から姿を消します。「チクロ」は戦後の一時期極めて一般的な人口甘味料でしたが、発がん性などの健康被害が指摘されて使用禁止になり、同時に「チクロ」を使用した多くの食品が生産中止となりました。

 その他にも、大多数の消費者に受け入れられずアイディア倒れで消えていった食品は数限りなくあります。一例を挙げれば、海外のあるケチャップメーカーの発売した極彩色の緑色や紫色のケチャップは、もの珍しさから当初はブームになったものの、やはり食品にかけた時の見た目が気持ち悪いと言うことで、すぐに売り上げは急降下。味自体は悪くなかったらしく、根強いファンもいたようですが、発売から数年で惜しまれつつも(?)販売中止となったそうです。

 この他にも、製造会社の不祥事や、特許に関する訴訟など、本当に様々な理由で市場から食品が消えています。深刻なものから微笑ましいものまで、食品が食べられなくなる理由も様々。あなたが今食べている食事も、いつか何かの理由で食べられなくなってしまうこともあるかもしれません。「いつもの食事」も一期一会の気持ちをもって美味しくいただきたいものです。

この記事を作った人

斉藤 健(フリーライター)

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