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更新日:2021.09.13食トレンド グルメラボ

〈行ってみた〉「煮えばな」に感動する京懐石【左京ひがしやま】銀座

ヒトサラ編集部が、気になるお店に実際に行ってみるこちらの企画。今回うかがったのは銀座駅からも銀座一丁目駅からも近い立地にある和食店【左京ひがしやま】。「京懐石は創作料理だ」という岡野さんの、心温まる一皿一皿を大切に味わってきました。

【左京ひがしやま】外観

この記事を書いた編集部員
ヒトサラ編集部 宿坊

ヒトサラ編集部 宿坊

月曜担当宿坊です。夏はいつだってあっという間に過ぎるけれど、今年はより短く感じました。後ろ髪引かれまくりながらも、山菜、きのこ、サツマイモなどが脳裏にちらついている今日この頃です。

日本料理店の匂いが好きです。言語化するのが難しいのですが、木ともお香とも断定できない、あの凛とした料亭ならではの香り。【左京ひがしやま】の階段を一段下りるたびに銀座の雑踏が遠くなり、その香りが私を遠くへ連れていってくれます。

    【左京ひがしやま】外観

    外観からふと引き寄せられてしまうお店ってありますよね

入り口には打ち水、店内には季節の花が美しく飾られた、京町家を再現したような風情ある設え。東京の中心にいるとは思わせない空間にどこかほっとします。この体験をふと思い出しては足を踏み入れたくなるお店なのです。

    【左京ひがしやま】内観

    京都各地の名店で腕を磨いた岡野さんの料理も楽しみです

今回はランチの訪問で、昼の懐石『竹林』3,850円をお願いしました。基本的にはコース料理のみで、京都から直送される無農薬の京野菜や、京都市東山の地下水を使用した繊細な料理を楽しむことができます。そのクオリティの高さには驚かずにいられません。

    【左京ひがしやま】料理

    信じられないほど大きななめこが隠れていました

『先附』は、生湯葉、蒸しアワビ、飛騨の天然なめこ、フルーツトマトを土佐酢のジュレで仕上げています。ふわふわの湯葉は口のなかで幸せにとろけて、むっちりとした弾力のアワビが主役と思いきや、このなめこのインパクトたるや……! その柔らかくてフワッとした食感に驚きました。

    【左京ひがしやま】料理

    『お椀』は白味噌仕立て。器も素敵です

『お椀』には京生麩、ツルムラサキの花が入っていて、ゆずの香りでまとめられています。京生麩はなめらかな舌触りが上品で、白味噌は濃厚で独特のコクがあり、その自然な甘みにうっとりとしてしまいます。

  • 【左京ひがしやま】料理

    『造り』はカツオのちり酢掛け

  • 【左京ひがしやま】料理

    『焼物』は稚鮎(ちあゆ)

「ちり酢」とは柑橘類の搾り汁と醤油を合わせたもので、大根おろしと一緒にカツオをさっぱりと仕上げています。ほんのり脂が乗ったカツオの旨みで何杯だってお酒を飲めそうですし、稚鮎は独特の苦みが愛おしい。カリッと香ばしく、やっぱりお酒が飲みたい。

    【左京ひがしやま】料理

    『焼物』『煮物』と続いて出てきた『食事』は楽しみにしていた「煮えばな」

【左京ひがしやま】の本当の主役はご飯です。「おくどさん」で炊かれたお米は、家庭では到底味わうことができない、京懐石ならではの贅沢。「煮えばな」とは、お米からご飯に変わるときにぐらっと煮えはじめたあの瞬間のご飯です。少し芯が残った“アルデンテ食感”が特徴で、お米一粒一粒の輪郭が分かる、噛むたびこみ上げる幸せ。この瞬間を知る前と後では、お米へのリスペクトが全然違います。

    【左京ひがしやま】料理

    小鉢と一緒にご飯をいただき、コース最後は『水物』のわらび餅です

「煮えばな」に胸を撃ち抜かれて終わりではないのが【左京ひがしやま】です。このわらび餅もしっかりと衝撃を残していきました。想像の何倍も柔らかくとろんとしたテクスチャーで、黒蜜の甘みも繊細でやり過ぎていない、京懐石のためにあるようなわらび餅。すでに恋しいです。

    【左京ひがしやま】外観

    ふと足を向けてしまうようなお店が、変わらずそこにあってほしいと願う

料理の素晴らしさをここにきて語るまでもないですが、【左京ひがしやま】はさながら京都に行ったかのように感じられる数少ないお店です。こういうお店がいつまでもそこにあってほしい、と願ってやみません。行きたいと思って行けるお店があることに、今日も感謝して。

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この記事を作った人

ヒトサラ編集部・宿坊 アカリ

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