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更新日:2024.02.20旅グルメ

<Day2>日本の魅力が詰まった街、新城。自然や温泉、食を堪能するローカル旅を|新城市ウェルネスツアー

愛知県新城市。名古屋から1時間強というアクセスでありながら、まだその魅力を知る人は少ない小さな街。しかし、そこは豊かで広大な自然と、それに育まれた和牛をはじめとした食材の宝庫で、文化や歴史が深く根付いており、日本の魅力がギュッと凝縮された素晴らしい街だったのです。

かどや

9:30 五感をリセットする森林浴体験

    東海自然歩道

    東海自然歩道は、東京・八王子と大阪・箕面を結ぶ1都8県2府に及ぶ全長1697.2kmの自然歩道で、その規模は日本最大級

2日目は森林浴からスタート。山を少し登ったところにある、東京と大阪を結ぶ東海自然歩道をゆっくりと散歩します。

    久高有加

    ガイドは愛知県出身の久高さん。自然を活用した企画で地元の魅力を発信しています

「森林浴は登山やトレッキングとは少し目的が違うんです。歩いた先にゴールがあるのではなく、何も考えず、ただ歩きながら人間の五感を活性化すること自体を楽しむものなんです」と久高さん。

ゆらめく木漏れ日や深い森の香り、目を閉じると鮮明に聞こえてくる、鳥たちの鳴き声や木々のざわめき。日常生活では、意識しないと見えてこないものや聞こえてこないものをたくさん吸収する時間は、とても豊かなものです。

    左が杉で、右が檜。こんなに違うけれど意識して見ないと気が付かない

    左が杉で、右が檜。こんなに違うけれど意識して見ないと気が付かない

    自然が生み出したもふもふでゴワゴワの苔。素手で触る経験も初めてです

    自然が生み出したもふもふでゴワゴワの苔。素手で触る経験も初めてです

ただ、ただ、歩く。それだけのことですが、自分がたくさんのものに囲まれていることを感じます。コンクリートの上を歩いていると忘れてしまう、足の裏から伝わってくる土の柔らかさも気持ちがいい、贅沢なひととき。

    いろいろな種類の樹木が陽光に照らされて輝く様子は、ある意味絶景と言えるかもしれません

    いろいろな種類の樹木が陽光に照らされて輝く様子は、ある意味絶景と言えるかもしれません

12:00 新城が生む幻の和牛「鳳来牛」を堪能

    古民家をそのまま再利用した【奥三河鳳来肉匠かどや 食堂spoon】

    古民家をそのまま再利用した【奥三河鳳来肉匠かどや 食堂spoon】

ランチに訪れたのは【奥三河鳳来肉匠かどや 食堂spoon】。平日も休日も関係なく「とにかくおいしくてボリュームがある」と、多くの人で賑わっています。同店ではお肉の仕入れから自店で行なっているため、新鮮で、市場には出回らないような稀少部位までいただくことができます。

    鳳来牛

    この後料理していただく「鳳来牛」を見せていただきました

なかでも新城市が誇る黒毛和牛「鳳来牛」を使用したメニューは、入荷があれば必食です。「鳳来牛」は、肥育農家の少なさや認定基準の厳しさから“幻のブランド牛”と言われ、赤身の旨みと上品な脂が特徴。

    かどや

    最初はすき焼き仕立てに! いい香りが漂います

    かどや

    心なしかお肉が輝いて見えます

「鳳来牛には不純物がほとんどないので、上質な脂の香りをそのまま生かしてシンプルに味わっていただきたいので、すき焼き仕立てにしました。卵も愛知県の豊川産です」とオーナーシェフの小笠原さん。なるほど脂の甘みが口の中でとろけて広がり、お肉そのものの味わいがダイレクトに感じられます。

    かどや

    すき焼きを含めた『奥三河鳳来牛堪能セット』6,000円。プレートに乗っている3部位を食べ比べできます

部位を食べ比べて初めて分かるのですが、脂の質が全然違います。透き通っていたり、とろけて甘みが強かったり、プリッと感じられたり……。まさに鳳来牛をまるごと堪能できる一皿です。付け合わせの野菜も、冬の恵みを感じる根菜中心で、日本の四季まで味わうことができました。

    厨房以外は手を加えていないという日本家屋を感じられる設えは、とても落ち着く空間です

    厨房以外は手を加えていないという日本家屋を感じられる設えは、とても落ち着く空間です

【奥三河鳳来肉匠かどや 食堂spoon】
電話:0536-34-0100
住所:愛知県新城市上吉田字松沢42
定休日:月・火
営業時間:11:30〜L.O.14:30
※14:30〜18:00【奥三河鳳来肉匠かどや】の商品をイートイン可

14:00 湯谷温泉エリアをサイクリング

    対岸を結ぶ吊り橋「浮石橋」。素晴らしい景観です

    対岸を結ぶ吊り橋「浮石橋」。素晴らしい景観です

夕食までの時間は、湯谷温泉周辺を散策。レンタサイクルができる場所もあるので、自転車に乗って行くのも気持ちがいいです。無料で使える足湯なども楽しむことができます。

    田舎茶屋まつや

    古民家風の建物が目を引く【田舎茶屋まつや】

昔ながらの雰囲気が漂う家屋で、山ならではの味が楽しめる茶屋。伝統的な味噌を使った『五平餅』300円と『こんにゃくのみそでんがく』300円が人気です。

    田舎茶屋まつや

    店内では素朴な味わいが魅力のうどんやそばも提供しており、お土産も充実しています

    馬背岩

    「浮石橋」から見ることができる「馬背岩(うまのせいわ)」。ボコボコとした岩の形状が背骨のように見えることから名付けられた、国指定の天然記念物です

    板敷川

    豊かな景観とせせらぎを生む「板敷川」。川底が板を敷いたように平らになっているのが特徴的

17:00 夕食の前に温泉を堪能

    足を踏み入れた瞬間から非日常感のある民芸調のロビー

    足を踏み入れた瞬間から非日常感のある民芸調のロビー

1泊目から滞在している【はづ別館】は、大正ロマン風の内装が魅力的な湯宿で、週末は県内の常連客で満室になることも多いほど人気です。

    はづ別館

    全部で12室あるお部屋はそれぞれ趣向が異なっており、何度来ても新たな楽しみがあります

古い歴史を有する湯谷温泉。その起源は1300年前と言われています。美しい渓谷の両岸に立ち並ぶ温泉宿は9軒で、もちろん【はづ別館】もそのうちの1軒。「鳳液泉」と呼ばれる源泉は万病に効くと伝えられています。

    はづ別館

    渓流を最も感じられる「庭園露天風呂」。日中も美しいですが、夜は頭上に星空を臨みます

【はづ別館】にあるお風呂は3つで、もちろんすべて源泉かけ流し。男女時間交代制で21:00に切り替わるので、湯谷温泉のさまざまな表情を満喫できます。お風呂から出て寝る前までずっと身体がポカポカで、湯冷めしないことにとても驚きました。

    はづ別館

    「鳳液泉風呂」

    はづ別館

    「民芸ひのき風呂」

19:00 最後の夜は「鳳来牛」のしゃぶしゃぶを

    はづ別館

    食前酒「自家製鳳来梅の果実酒」で乾杯

早くも最終日を目前に控えた2日目の夕食は、【はづ別館】でゆっくりと。季節感と地物、この2つを大切にしたお料理は、身体だけでなく心まで温まるような郷愁が感じられます。

    はづ別館

    地元の食材をふんだんに使い、会席料理をベースに日本の四季を感じられる料理を提供

写真右手は『川魚刺身 餅湯葉 梅醤油 辛子醤油』。今日の魚はニジマスで、プリッとした食感に爽やかな梅醤油の相性は抜群です。先付には『里芋と菜の花の胡桃みそ』などのほか、凌ぎの『薩摩芋饅頭 雪中餡 卸生姜』など、冬の根菜をふんだんに使った細やかな手仕事を感じられる料理の数々に舌鼓。

    焼物には『川魚塩焼き』。こちらもニジマスですが、刺身とはまた異なった食感や味わいが楽しいです

    焼物には『川魚塩焼き』。こちらもニジマスですが、刺身とはまた異なった食感や味わいが楽しいです

    はづ別館

    冬の献立のメインは『鳳来牛しゃぶしゃぶ 白雪鍋 柚子胡椒』。野菜は冬が旬の白菜の他、キノコもたっぷり

「一般的にもも肉は脂身が少なく、赤身を味わう部位ですが、「鳳来牛」のもも肉は赤身と脂身のバランスがよく、他にはない柔らかさが魅力です」というのは、料理長の甫立(ほだて)さん。ともすると重たく感じられる霜降りですが、肉質は細やかで、味わいも軽やかでありながらコクがあり、鳳来牛の素晴らしさが分かります。

    はづ別館

    途中で入れる柚子胡椒がいいアクセントで、ついつい箸が進みます

【はづ別館】
電話番号:0536-32-1211
住所:愛知県新城市豊岡字滝上11-4
定休日:不定休

この記事を作った人

撮影/板橋 史裕 取材・文/宿坊 アカリ

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