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更新日:2023.06.29食トレンド デート・会食

オランダを代表する三つ星シェフがアジア初出店! 横浜・馬車道に誕生した話題の【SMAAK】とは?

オランダでミシュランの三つ星を獲得したシェフが手掛けるレストラン【SMAAK】がフーディーたちの間で話題になっています。日本ではあまり知られていませんが、オランダはフランス、ベルギーに次いで食のレベルが高いと言われる国。果たして同店ではどんな美食を体験できるのでしょう? 現地を取材しました。

SMAAK

目指すのは「価格以上の満足感を味わえる店」

【SMAAK】をプロデュースしているのは、オランダに拠点を置くヤコブ・ヤン・ボエルマさん。2002年の夏にレストランをオープンさせると、わずか6ヶ月でミシュランの一つ星を獲得。2007年には二つ星に、2013年には三つ星に輝きました。また、フランスの料理専門誌『Lechef(ル・シェフ)』では“世界最高のシェフ50名”に挙げられたこともある、輝かしい実績の持ち主です。

    ヤコブ・ヤン・ボエルマさん

    世界中の二つ星、三つ星レストランで最高の調理技術を学んだヤコブ・ヤン・ボエルマさん

【SMAAK】はヤコブさんがアジア初進出を果たした記念すべき一軒。筆者は、純白のテーブルクロスに磨き上げられたグラスとカトラリーがセットされるような厳かな雰囲気の店を勝手に想像していたのですが、実際に足を運んでみると、意表を突かれました。目の前に広がっていたのは、優しい色合いの木をたくさん使った温かみに溢れる空間。大きなガラス窓からは光が差し込み、開放感に満ちていたのです。

    SMAAK店内

    店内からは横浜ベイブリッジや大さん橋に停泊する大型客船など、横浜みなとみらいらしい景色を一望できます

「この店でヤコブが追求しようとしているのは価格以上の満足感。いつもより少し贅沢したいと思ったときに気軽に来ていただいて、その価格を上回るおいしさや、満足感をご提供できるように日々励んでいます」。そう話すのは、ヤコブさんから絶大な信頼を得る料理長のロブ・ノッレさん。調理師専門学校を卒業後、オランダのミシュラン一つ星レストラン【オンデルデブムケ】でキャリアをスタートし、アルバ島の高級レストランで料理長を歴任しました。

    ヘッドシェフのロブ・ノッレさん

    オランダ生まれのロブ・ノッレさん。アジア初出店に際してヘッドシェフとして来日しました

【SMAAK】が提案する“価格を上回るおいしさ”とは、一体どんなものなのでしょうか。百聞は一見にしかず。今回は4品で構成されるディナーのエントリーコース「ロッテルダム」を実際に試してみることにしました。

酸味と旨みが多層的に組み合わされたコースにノックアウト

    アミューズと前菜1品目

    (上から時計回りに)アミューズ『トマトとブッラータのスモークマカロン』『カレーとパルメザンチーズのスプリッツ』。前菜1品目『きのこのフラン、ゆず、出汁、海藻、貝のエスプーマ』

最初に運ばれてきたアミューズは、オランダではお馴染みの組み合わせであるトマト&ブッラータを【SMAAK】流に表現した『トマトとブッラータのスモークマカロン』。燻製にしたブッラータをマカロンの生地の代わりにし、その上にトマトのムース、ドライトマト、トマトのシートを乗せています。

アミューズの2品目は『カレーとパルメザンチーズのスプリッツ』。オランダの伝統的な甘いクラッカーを塩味にアレンジ。食感のいい黒胡麻や、スパイシーなカレークリームが食欲をかきたてます。

ロブさん曰く「オランダ料理にはよくスパイスが使われます」。オランダでは、輸出業が盛んで他国との交流が盛んなことから、さまざまな食文化を融合させた料理が生まれるそう。『きのこのフラン』は日本の茶碗蒸しからインスピレーションを受けて考案したとのことですが、まさに“オランダ気質”が表れた一品と言えましょう。

    前菜2品目『ヒラマサ、大根、コリアンダー、三杯酢、マグロ』

    前菜2品目『ヒラマサ、大根、コリアンダー、三杯酢、マグロ』

お次はヒラマサを2種類の調理法で提供する前菜。写真中央は、ヒラマサのタルタルとマグロのムースを積み重ねて、大根のスライスで巻いたもの。サイドはヒラマサの炙り。三杯酢ソースと、コリアンダーを使ったマヨネーズでいただきます。

    魚料理『42℃の低温で調理したサーモン、グリンピース、セボリーのジュ、ベアルネーズソース、タラゴン』

    魚料理『42℃の低温で調理したサーモン、グリンピース、セボリーのジュ、ベアルネーズソース、タラゴン』

いわゆるサーモンの「ミキュイ」。やわらかくておいしいこと! 緑のソースは旬のグリーンピース。コクがあって爽やかなベアルネーズソースがクセになります。

    肉料理『鴨と黒オリーブ、セルリアック、クミン、クリスピーポテト』

    肉料理『鴨と黒オリーブ、セルリアック、クミン、クリスピーポテト』

真空調理でしっとりさせた鴨肉に、オリーブのピュレ、セルリアック(根セロリ)のピュレ、アスパラやペコロスなどの野菜を添え、クミンを効かせたグレービーソースで仕上げたひと品。ここまでそれなりに食べ応えがありましたが、クミンのおかげで気持ちよく食べ進めることができます。

    デザート『食感の異なるイチゴ、バジル、ヨーグルト、ジントニックのグラニテ、ローズウォーター、ハイビスカスとストロベリージュース』

    デザート『食感の異なるイチゴ、バジル、ヨーグルト、ジントニックのグラニテ、ローズウォーター、ハイビスカスとストロベリージュース』

フレッシュな生の苺、口当たりのいい苺のムース、爽やかなグラニテ、旨みが詰まったソースと、香り豊かなドライ苺と、5つの手法を用いて苺の魅力を引き出しています。以前、キュウリを主役にして似たようなアプローチの料理を提供していましたが、遊び心と共に食材の可能性を楽しめるのも【SMAAK】らしい食体験だと思います。

なお、このあと、プティフールと食後の飲み物が出てコースはおしまいです。

ディナーコースは他に5品 1万6500円、6品 1万9250円。ランチコースは3品 5500円、4品 8000円、5品 1万500円。ドリンクメニューにはペアリングも設定されていて、アルコールもしくはノンアルコールを選ぶことが可能です。【SMAAK】の世界観をより深く味わうならば、ぜひお試しください。きらびやかで非日常的な46階からの眺望と相まって、記憶に残るひとときとなるでしょう。

    SMAAK夜景

    夜になると高層ビルの明かりでさらにドラマティックな景色を楽しめます

この記事を作った人

撮影/佐藤顕子 取材・文/甘利美緒

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