紹介制レストランが予約可能に! 麻布台で静かに愛され続けてきた日本料理店【朔旦冬至】の魅力に迫る|麻布台
麻布台ヒルズの開業などで話題が集まる港区麻布台。変貌を遂げた街並みが目を引きますが、そんなエリアにも変わらぬ名店が潜んでいます。17年前の開業からご紹介制のスタイルで食通たちが足を運ぶ日本料理店【朔旦冬至(さくたんとうじ)】もそんな一軒です。今回、「ヒトサラMAGAZINEを見た」とお伝えいただければ予約が可能になりますので、ぜひ特別感溢れるお店でのひと時をお楽しみください。
看板のない扉の奥に広がる上質な別世界
座り心地のいい革張りの椅子がゆったりとした間隔で8席並びます
今秋開業した麻布台ヒルズでにぎわいをみせる話題の麻布台。日本料理店【朔旦冬至】は、六本木、六本木一丁目、神谷町、麻布十番の駅の中心にあり、いずれの駅からも10分前後歩くとたどり着く飯倉片町の交差点にあるビルの地下に店を構えます。2006年12月のオープンから17年、ひっそりと紹介制のスタイルで営んできました。
眩く輝く東京タワーを横目に、看板のない白い扉を開けて、階段を下ります。初めて訪れると「本当にここであっているのかな?」と不安になってしまうかもしれません。地下の扉の先には、樹齢180年の欅のカウンターが1m近い奥行きで鎮座。カウンターに立つ店主・下枝正幸氏が笑顔で出迎えてくれます。
4名が広々と座ることができる個室は接待などにも重宝しそう
客席は、カウンターの他に、プライベートを大切にした個室を用意。4名まで利用できる個室は、木目が美しいデザインを成す橡の木でつくったテーブルが印象的。掘りごたつ式なので、靴を脱いで寛いだ時間を過ごすことができます。個室専用のトイレを完備しているのも嬉しいところ。他に、2名まで利用できる小さな個室には樹齢200数十年の松の木が用いられています。店主は、好きが高じて材木屋に足繫く通った経験があるほど。
口にすればわかる「説明が要らない料理」が信条
仕上げにのせた柚子の皮が爽やかに香る毛蟹の一品
名刺代わりに登場するのは、季節を伝えてくれるこちら。噴火湾で獲れた毛蟹を贅沢に使用し、昆布や鰹、お酢、醤油などからつくったジュレを合わせています。下枝氏の料理は、無駄をそぎ落とした潔い佇まいが特徴です。「説明が要らない料理」を信条にしていると語る通り、口へと運べば、思わず息を呑むような味わいに納得。
烏賊や鮪などを、店主が好む織部の器に盛り合わせたお造り
お造りで出される鮪は、豊洲市場の卸し「やま幸」から。名のある鮨屋がこぞって仕入れをしていますが、まだ現在ほどその名が有名ではなかった20年以上前からの付き合いです。相性のいい山芋の千切りや芽葱を添えて提供しています。
のどぐろの炭火焼は、鬼おろしと自家製の醤油を添えて
艶やかなのどぐろは、揚げたかのような心地よい歯ざわりの皮目と、煮魚のようなとろりとした身のコントラストに驚かされる逸品です。特定の漁場で獲れるのどぐろの中でも目の大きさや尾びれのかたちに至るまで、下枝氏が納得のいく形状のものだけを厳選。数日寝かせた後、醤油や味醂などに漬け込み、炭火で火を入れ、のどぐろ自身の脂を纏わせています。こちらを目当てに来店する常連客も非常に多いそう。
羽釜で焚き上げる、福井県産の自然栽培米「あきさかり」
羽釜で焚き上げるご飯は、福井県の棚田で湧き水を引き込んで自然栽培米しているお米「あきさかり」を使用。どこか懐かしいお日さまの匂いを感じ、噛むほどに味わいが深まっていきます。1膳が少なめの量ではありますが、2膳3膳、いや4膳5膳とお代わりしてしまうほど。炊き立てのご飯のお供として登場するのは、自家製の塩、鰹節、明太子、漬物。そして、卵は卵かけご飯にしていただきます。まさに箸が止まらなくなってしまうでしょう。
料理は、8~9品前後で構成されるおまかせコースのみで2万5300円~(サービス料なし)。内容は季節や入荷の状況によって異なります。
店主の下枝正幸氏は、1967年、茨城県生まれ。自身がお酒好きなこともあり、和酒洋酒ともに良質なセレクトで、良心的な価格で提供
麻布台という地にある隠れ家かつ紹介制の日本料理店、と聞くと肩肘張るイメージを持つかもしれませんが、それを破ってくれるのが、店主である下枝氏の人柄です。厨房でひとり次々と鮮やかに料理を仕上げていきますが、ゲストとのトークも見事。ご紹介した通り、余計な説明がなくともその本物を追求したおいしさを体感できますが、なぜおいしいのか?を尋ねると、店主が料理人として経験や知識、感性によって、目の前の一皿に辿り着いたその理由を語ってくれます。
ちなみに、聞きなれない店名【朔旦冬至】とは、陰暦11月1日が冬至にあたる日のこと。19年と7カ月に1度だけ巡ってくることから瑞祥吉日とされ、古来より盛大に祝われたおめでたい日と伝えられています。
寛ぎながらも極上のおいしい食事に舌鼓を打つこと、まさに大人の贅沢ではないでしょうか。2023年の美食納めにも、2024年の美食始めにも、最適な一軒となるに違いありません。電話にて「ヒトサラMAGAZINEを見た」とお伝えいただければ予約が可能になりますので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
取材・文/外川ゆい
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