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更新日:2017.02.27グルメラボ

クリスマスが今年もやってくる、その前に知っておきたいケーキの雑学

ハロウィン、イースターとイベントが目白押しの秋冬ですが、本命はやはり年末気分を盛り上げてくれるクリスマス。聖夜を迎える前にクリスマスを華やかに彩るケーキの秘密にちょっぴり迫ってみませんか?

クリスマスが今年もやってくる、その前に知っておきたいケーキの雑学

意外と長いケーキの歴史――人類の歩みはケーキとともにある

 ケーキの歴史は古代まで遡ります。世界最古といわれるケーキは、スイスの新石器時代の村落跡から発見されました。当時は穀物などを練ってパテ状にして平らに固めた甘いパンのようなものでした。古代ギリシア・ローマ時代にはおもに宗教儀式に用いられ、さかんにつくられていたようです。

 現代のケーキの原形は中世ヨーロッパにて産声を上げました。十字軍の遠征によって砂糖がもたらされ、イタリアで砂糖を使ったお菓子の店が登場。そして、17世紀フランスでケーキを現在と同じような焼き方で製造するようになったのです。この時期にスポンジケーキやシュークリームなど、いまでもおなじみのケーキがつくられるようになりました。

種類色々、ヨーロッパのクリスマスケーキ

 クリスマスは古代ヨーロッパの冬至を祝うゲルマン民族のユール(祭)が起源です。それがキリスト教と結びつきクリスマスへと変化しました。フランスの代表的なクリスマスケーキ、ブッシュ・ド・ノエルは、訳すと「クリスマスの薪」。薪を模したフォルムがユールの名残りを感じさせ、起源にちなんだ、もっともクリスマスらしいケーキといえます。

 ヨーロッパ各国にもさまざまなクリスマスケーキがあります。イギリスのクリスマス・プディングは、牛脂と小麦粉、ドライフルーツやナッツを混ぜたもの。たっぷりのブランデーをかけ、食べる前に火をつけるのがならわしです。
 スコットランドでは中に6ペンス銀貨、裁縫の指ぬき、指輪などを入れて焼き、それが当たった人は幸福になれるといわれています。
 ドイツのシュトーレン、イタリアのパネトーネは、ケーキというよりはパンに近く、洋酒に漬けこんだドライフルーツやナッツがたっぷり入っており、シュトーレンは12月1日に25等分して、クリスマス当日まで1切れずつ食すのが本場流なのだとか。

見た目も華やか! 日本のクリスマスケーキ

 日本でクリスマスケーキが食べられるようになったのは、1922(大正11)年のこと。洋菓子メーカー不二家の創業者・藤井林右衛門がアメリカ渡航中に出会った、生クリームといちごをスコーンで挟んだ「ストロベリー・ショートケイク」を、ふわふわのスポンジケーキにアレンジして販売したのがきっかけです。不二家の店舗拡大とともに普及し、今日のように定着したのは昭和50年ごろといわれています。

 なぜ、生クリームにイチゴのショートケーキなのか、というのには諸説ありますが、雪とサンタクロースの衣装や日本古来の紅白のめでたいイメージによって、独自のクリスマスケーキが国内で受け入れられていったようです。

 本来は厳かな宗教儀式であるクリスマス。「カトリックじゃないのにクリスマスなんて」と、いまさら目くじらを立ててもしょうがない。華やかなクリスマスケーキは、見ているだけでも心躍り、年末のワクワク気分を盛り上げてくれます。カタいことはヌキにして、スパークリングワインにチキンに、クリスマスケーキで、キリストの生誕をにぎにぎしく祝おうではありませんか。

この記事を作った人

塩川千尋 (フリーライター)

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