“オリメシ”は禁断の味? 刑務所の食生活をのぞいて見る
限られた人間しか食すことができない特別な食事といえばどういったものを思いつくでしょうか? ツバメの巣? 黒トリュフ? 猿の脳みそ? 今回は食べないで済むにこしたことはないけれど、なんだか気になる刑務所の食事についてご紹介します。
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厳格な規律にもとづく食生活
健康にならざるを得ない麦飯主食の和食
まれに特別なメニューが提供されることも
刑務所生活の最大の楽しみ「食」にも自由はない
刑務所とは、いわずもがな、犯罪を犯した人たちが罪を償い更正するための施設です。受刑者たちは厳しい規律にしたがって生活をしています。もちろん食事も好き勝手にとることはできません。朝食7時、昼食12時、夕食17時というように、全員が毎日同じ時間に決まったものをいっせいに食します。栄養士が献立をつくり、調理するのは担当の受刑者たち。料理の得意不得意には個人差があるため、やはり味に違いが出て来ることがあるそうです。
嫌いなものを残すことはできますが、おかずの交換は不正授受とみなされ懲罰の対象になります。食は服役生活の最大の楽しみ。みそ汁のとうふがひとつ少なかったというだけで、争いに発展することもあるので、盛りつけ担当の受刑者は神経をすり減らしているのだとか。
低カロリーの麦飯と和食で服役中に健康を取り戻す
主食は、麦3白米7の麦飯です。麦飯は食物繊維が多く血糖値を下げる効果があるといわれており、規則正しい生活とあいまって、刑期を終えるとやせて健康的になる人も多いそう。
基本は和食中心の献立で、朝は麦飯とみそ汁に佃煮や納豆、漬け物など、昼夜はメインに焼き魚や炒め物などがつきます。集団食中毒を防ぐため、刺身が献立にのることはありません。最近では、外国人の受刑者も増え、文化や慣習、宗教に配慮した専用のメニューも用意されています。
3食で成人男性に必要なカロリーと栄養がとれるように考えられていますが、「おなかいっぱい食べた! 満足!」といえるボリュームではなく、質素な食生活といえます。
さまざまな事情によって提供される特別なメニュー
お正月やクリスマスなど、季節ごとの行事に特別食が提供される場合もあるようですが、近年は経費削減のため減っており、国民の祝日に100円程度のおかしが出されるくらいだそう。
刑務所ではおかしを口にする機会がほとんどなく、多くの受刑者が「甘いものを食べたい」と望むようです。日ごろ態度のよい模範囚のみが参加できるDVD鑑賞会が定期的に開催されており、その会では数百円程度のおかしの詰め合わせが用意されます。おかしの代金は受刑者たちの作業報奨金で支払われます。
また他国では死刑囚に希望の最後の食事を提供する「ラスト・ミール」という制度があります。1リットルのチョコミントアイスをリクエストしたアメリカの凶悪犯もいるそうです。日本では当日朝に死刑が言い渡され午前中に執行されることが多いため、「ラスト・ミール」の制度はありません。前室にある祭壇に生菓子が供えられており、それが日本での実質的な死刑囚最後の食事となります。
「刑務所の食事を一度食べてみたい」という方は、山口県美祢市の「美祢社会復帰促進センター」を訪れてみてください。そちらの食堂では、その日に実際に受刑者が食べているメニュー「美祢定食」を食べることができます。
忘年会や会食が続き、年が明けたらおせちを食べて寝正月。おなか周りが気になる方、年末年始のカロリー調整に、“オリメシ”はいかがでしょうか。
この記事を作った人
塩川千尋(フリーライター)
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