ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2024.11.21食トレンド

食べ手の喜びを探求する職人技が生みだす、フグとノドグロの多彩なバリエーションに酔いしれる|西麻布【つむぐいと】

東京・西麻布の閑静な場所に佇む【つむぐいと】は、avex創業者とアーティストの絆によって誕生したフグとノドグロの専門店です。ノドグロは、料理長を務める濱根健太郎氏が自ら海に出て釣り上げ、幅広い料理に仕立ててきた経験を活かして。フグは、かつてこの場所で営んでいた大分・臼杵の老舗料亭【山田屋】との縁で伝統のフグ料理を受け継いだことから。2つのご馳走感溢れる食材を主軸に、料理人の豊かな感性が加わることで、こちらでしか味わうことができない特別なひと時をお過ごしいただけることでしょう。

つむぐいと

シチュエーションにあわせて選べる趣漂う客席

    牛坂沿いにある【つむぐいと】の看板を目印に

    牛坂沿いにある【つむぐいと】の看板を目印に

2024年夏に誕生した【つむぐいと】は、西麻布の交差点から徒歩数分、隠れ家的な静かな一角に店を構えます。階段を下り、重厚感ある扉を開けると、まず目に飛び込んでくるのは立派な水墨画。店内の随所に歴史ある作品が飾られているのもこちらの魅力です。大分・臼杵のフグの老舗【山田屋】の西麻布店として長らく営んでいたお店を受け継いだことで、新店ながら丁寧に使い込まれた趣が漂います。

    座り心地の良い椅子が6席並ぶカウンター

    座り心地の良い椅子が6席並ぶカウンター

カウンター席に座ると、目の前で料理長の濱根氏が、次々と料理を仕立てていく様子を見ることができます。鮮やかな包丁さばきに見入ってしまいますが、濱根氏はゲストのもてなしにも長けていますので、ぜひ食材や料理についてなど会話も楽しんでみてはいかがでしょうか。大切な人との会食はもちろん、ひとりでじっくりと美酒美食を堪能したい、といった自分へのご褒美ディナーにもオススメです。

    非日常の雰囲気に満ちた凛とした個室

    非日常の雰囲気に満ちた凛とした個室

客席は、カウンターの他にテーブルや座敷の完全個室を4部屋備えています。都心の真ん中にありながら、非常にゆったりとした贅沢な空間が印象的。デートや接待をはじめ、記念日など人生の節目を祝うのにぴったりな雰囲気です。プライベート感を大切にしており、他のゲストと顔を合わせづらい造りになっています。

フグとノドグロの新たな一面を発見でき、さらに魅了される

食通の大人たちにとって、ご馳走と呼ぶにふさわしい食材である「フグ」と「ノドグロ」。しかしながら、定番の料理だけで面白みに欠けてしまいがちであるのも否めないところ……。【つむぐいと】では、そんな概念を覆してくれる料理でゲストをもてなします。数あるなかから象徴的なメニューを4品ご紹介しましょう。

    『熟成とらふぐ造り 添え鮟肝』

    『熟成とらふぐ造り 添え鮟肝』

『熟成とらふぐ造り 添え鮟肝』は、まずそのビジュアルに驚かされます。一般的に、青磁や彩り豊かな大皿の有田焼に、身の薄さを強調するかのように盛り付けられることが多いのですが、こちらでは真っ白な臼杵焼の器に1人前ずつ盛られて提供されます。器は、濱根氏が開業前に大分県の臼杵にある【山田屋】本店に修業に行った際に出会い、ひとめ惚れしたもの。白い器に白い身のフグを盛り付けるのは技のいることですが、実際に提供するとその優美さに感動するゲストも多いといいます。

「それぞれのフグの身の状態に合わせ、包丁の入れ方を調整。心地よい食べ応えを感じていただける厚さを意識し、フグ本来の上品で奥深い味わいをお楽しみいただけるよう考えています。ポン酢は、スダチ・カボス・柚子の3種類をブレンドし、甘さは控えめに醤油を際立たせ、3ヵ月ほど冷蔵庫で寝かせることで角のないまろやかな風味に仕上げています」と濱根氏。薬味を加えながら、後半は肝を溶いていただくとまた違った味わいに。

    『ふぐ出汁蕎麦 国産キャビア添え』

    『ふぐ出汁蕎麦 国産キャビア添え』

夏場に登場するフグのだしを使った蕎麦には、国産のキャビアをトッピング。主役級の食材が盛り込まれている贅沢なメニューですが、高級食材同志が喧嘩することなく、寄り添いあっているのはさすが。秋口には、よく名残の鱧と走りの松茸を土瓶蒸しにしますが、こちらでは『のどぐろ 松茸土瓶蒸し』が登場。フグとノドグロを軸にしながら、白トリュフ、蟹なども季節に応じて取り入れていくそうなのでご期待を。

    『のどぐろ出汁玉〆』

    『のどぐろ出汁玉〆』

茶碗蒸しにもノドグロの身とだしを惜しげもなく使用し、さらに雲丹をプラス。ほっと和むような優しい口当たりのなかに、ノドグロの存在感が光ります。コースの構成によって、フグを使った玉〆になることも。

    『のどぐろカツサンド』

    『のどぐろカツサンド』

こちらは、高級魚のノドグロをカツサンドにした1品。脂ののったノドグロは、ふわっと柔らか。バルサミコや辛子バターとの相性も抜群です。「存分に味わって欲しい」という濱根氏の想いから、ひとつひとつのポーションが大きく、満足感この上なし。こちらの後に続く食事では、ノドグロが味噌幽庵焼の仕立てで、白米や留椀、香の物と共に提供されます。

【つむぐいと】では3種類のコースをご用意。「特大のどぐろ・熟成ふぐを味わうおまかせコース」28,000円、「熟成ふぐを味わう特選コース」24,000円、「熟成ふぐを味わうコース」16,000円。おまかせ1本で営む店が増えていますが、コースの選択肢がある点も、価格も良心的。食事代としては特別感のある価格帯ですが、西麻布という立地、使用している食材や内容を考えると、お得といっても過言ではありません。

日々フグとノドグロと向き合う料理人としての信条

    1㎏越えの最高級のノドグロのみを使用

    1㎏越えの最高級のノドグロのみを使用

主役となるフグとノドグロをはじめとする食材は、一切の妥協なく、濱根氏が納得のいく食材を仕入れています。


「フグは、天然、養殖、時期、産地、仕入れ業者により、状態が全く違います。見るだけで分かる時もあるし、包丁する時に改めて実感する事もあります。専門店として1年を通してフグを扱うため、良い状態のフグをいつでも仕入れる事が可能になり、状態を見極めて最良の状態でお客様に提供できています」と濱根氏。大分県産の天然ものをメインに、時期や状態に応じて宮崎県産なども使用。すでに20年ほど前にフグの免許を取得していた濱根氏ですが、これほど多彩なフグメニューを考案する日々は初めてだと語ります。


ノドグロは、これまで数えきれないほど濱根氏自身で釣って、さばいて、多彩な料理にして振舞ってきた魚。市場に出回るのは300g前後が多いそうですが、こちらでは1㎏以上の特大のサイズを扱っています。市場から仕入れる際にも妥協なく最高級のものを厳選。「ノドグロというと、塩焼きや干物が代表的ですが、蒸したり茹でたりすることで、ふっくらとした旨みが溢れるような美味しさに。揚げることでふっくらとジューシーさもご体験いただけます。さらに、ノドグロのだしで炊いたご飯など可能性は無限に……」(濱根氏)。

    日本酒、ワイン共に極上の銘柄をセレクト

    日本酒、ワイン共に極上の銘柄をセレクト

【つむぐいと】では、看板に「ふぐ のどぐろ ワイン」と謳っている通り、お酒のラインアップも秀逸です。濱根氏は、ワインの経験値も非常に高く、自身の料理との相性を熟知していますので、ペアリング(11,000円)をオーダーするもよし、お好みに合わせて相談するもよし。ぜひフグとノドグロと引き立て合う美酒と一緒にお楽しみください。

    料理長の濱根健太郎氏は、1974年、千葉県生まれ

    料理長の濱根健太郎氏は、1974年、千葉県生まれ

料理長の濱根氏は、20歳で料理の世界へ入ると、茨城や東京の割烹料理店で研鑽を積み、都内の外資系ホテルではイタリア料理店を担当。その後、縁あって著名人のプライベートシェフを務めるなど、幅広い経験を持つ料理人です。料理の腕は勿論、ゲストへの対応の柔軟さも素晴らしく、その人柄に惹かれたファンも多く訪れています。

フグとノドグロの専門店で料理することについて、濱根氏はこう考えます。

「まず、当たり前ですが妥協なく本当においしいものであること。そして、季節ごとに提供方法を変えること。シンプルに食べておいしいと感じるものであり、お客様が喜んでくれるものであること」。

日々、いくつものメニューを考案していますが、実際にお客様に提供できるものは少ないといいます。常にゲストの期待以上のおもてなしを求める姿が印象的です。アーティストが音楽で人の心を掴むように、濱根氏も料理で人の胃袋と心を見事に掴んでいます。

通年を通して、極上のフグとノドグロでもおもてなししていますが、これからの季節、12月には美食納め、1月に美食初めにも最適な一軒です。人と人、人と料理、人とワイン……。【つむぐいと】を訪れることで、ゲストそれぞれの心に響くものが、ご縁によって紡がれ、思い出深い食事となることでしょう。

この記事を作った人

取材・文/外川ゆい

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(11/21~11/27)

エリアから探す