【ザ・ニューワールド】心斎橋|人気フレンチ【sio】が“ネオ居酒屋”として関西初上陸!
2年連続でミシュラン1つ星を獲得する東京・代々木上原のフレンチレストラン【sio】。オーナーシェフの鳥羽周作さんは、フレンチの枠を飛び越えて様々な人気店を出店するほか、レシピ本やテレビ、SNSなどでも大人気。そんなsioグループが関西第1号店として、心斎橋パルコにオープンさせた【ザ・ニューワールド】は、なんと居酒屋! しかしそこは、食材選びから味、お店の雰囲気まで、単なる居酒屋の枠には収まらない“sioイズム”にあふれる店でした。
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フレンチの人気店がなぜ居酒屋を?
馴染みのある味をブラッシュアップさせ“sio”を感じさせる料理の数々
“感動のタッチポイントを増やす!”これこそsioイズムの最も大切なこと
フレンチの人気店がなぜ居酒屋を?
2020年11月に大規模リニューアルオープンした心斎橋パルコですが、地下2階はずっと改装状態のまま。「何ができるんだろう?」と期待が高まる中1年以上が経過。そして、ついに2021年3月18日、その地下二階がオープンしました! その名も「心斎橋ネオン食堂街」!! エスカレーター降りるときらびやかなネオンが光り、ポップで異世界な雰囲気の空間が。
マジックバーあり、韓国居酒屋ありの活気あふれる全25店舗が軒を連ね、飲み屋横丁のよう。その楽しそうな感じに否応なくテンションが上がってきます。まさしくここはエンターテインメントな食空間。そんな中にあるドドーンと迫力ある白い暖簾に“ニュ”の紋が目を引く一角こそ、話題の居酒屋【ザ・ニューワルド】です。
ネオン光るポップな雰囲気の心斎橋ネオン街の中で、真っ白のシンプルな暖簾が逆に目を引く。店名のロゴは、「くまもん」をデザインした水野学氏によるもの
暖簾をくぐるとご機嫌な音楽が響き、その雰囲気とはちょっと裏腹に板前着に身を包んだ料理人が立つ、まるでカウンター割烹のようなすっきりと落ち着いた席が。かと思いきや、奥に進むと、ネオン管アートやミラーボールが輝き、壁一面にサワー用に漬け込まれたレモンがおしゃれにディスプレイされた空間に。DJブースなんかもあり、まるでパーティルームのよう。人気シェフ、鳥羽周作さんが率いる【sio】グループの関西初進出店としても話題のこのお店が選んだ新業態は、“ポップカルチャー居酒屋”でした!
“本気で遊ぶ”をテーマにしたポップな店内。ネオン管アートや店内のイラストは人気イラストレーターのunpis氏によるもの。ご機嫌な店内サウンドは、プレイリストを鳥羽シェフ自らが作成
【ザ・ニューワールド】を任されたのは、27歳の若き料理人・白木 聡さん。「【sio】自体フレンチではあるけど、フレンチの枠には収まらないチャレンジをしています。このお店を通して間口をもっと広げ、そんな【sio】の魅力やカルチャー、そしてイズムをいろんな方に知ってもらえたらなと思っています」。
「おいしいものって誰をも笑顔にする。そんな食の空間が大好きなんです」。一度挫折を経験するも鳥羽シェフに出会って再び料理人を志したという店長の白木聡さん
居酒屋と言えば、ジャンルにとらわれることなく、いろいろな料理が味わえるのも魅力です。その中でもsioイズムを感じさせる料理を作りたいと白木さんは意気込みを語ります。「“食べ飽きないためにはどうする?”、“食べていて気持ちのいい要素って?” そんな思考を深め続けていくと、居酒屋でもsioイズムが伝わると思います。こってりとした味わいのものには、酸やハーブを利かせて五味のバランスをとったり、塩は素材の良さを引き出す程度にしか使わないなど、鳥羽シェフが大切にしてきたことを、この店でも忘れずにしていきたいです」。
コの字型の割烹スタイルのカウンター席。料理人との距離も近く、そこから生まれる会話も魅力のひとつ
居酒屋とは、レストランに比べて気軽に楽しんでもらえる場所であると共に、総合力が試される場であり、そこが難しくもあり楽しい。こと居酒屋に関しては料理人という職人はいらないと白木さんは言います。「料理ばかりでなく、サービスもし、ドリンクもつくり、お客さんと話したり、お店の活気を作り出すことも重要。だからこそ、次なる【sio】の第一歩として居酒屋にチャレンジしました」。
馴染みのある味をブラッシュアップさせ“sio”を感じさせる料理の数々
カウンター内にある蒸篭から取り出す、熱々の『お通し』のシュウマイ(300円・税込)。ツンと鼻に抜ける辛子マヨはハチミツでマイルドに。仕上げに季節のハーブを添えて
席に着くと、まず運ばれてきたのがシュウマイ。なんとこのシュウマイがお通しだそう。上には辛子マヨとはちみつで和えたカニカマがどっさりと乗り、木の芽が添えてあります。一口でほおばるとムチムチと食感のいい豚肉の旨みと、ほんのり甘いカニカマの風味が絶妙に広がり、すごく食べ応えがあります。後口は、爽やかな木の芽の香りですっきりと。切れの良さが抜群で実においしい。お酒も進む味わいで、これから出てくる料理にも期待が高まります。
「お通しは、言うなれば居酒屋の玄関口。この一品でsioの作った居酒屋の楽しさを体験してほしかったんです。普段よく食べているようなものも、ちょっと手を加えるとレストランの味になったりする。家でも簡単にマネすることもできますし、いろんな新しい発見がある。これこそ、大切にしていきたいsioイズムのひとつなんです」と白木さん。
馴染みのあるツナマヨをアレンジした『サヴァ缶』490円(税込)。ケイパーやローストしたコリアンダーシード、セロリなどの香りとヴィネガーの酸味の取り入れ方が、インパクトを与えると共に後口もすっきり
次に頼んだおつまみは、人気のサバのオリーブオイル漬けの缶詰を使った『サヴァ缶』。牡蠣醤油とマヨネーズで和えて、アクセントにケイパーを忍ばせてあります。上にはセロリや赤玉ねぎのさっぱりとしたサラダをどっさり。酸味とほんの少しコリアンダーシードを利かせてあり、インパクトと味のバランスが絶妙。これまた食べ応えがあり、お酒が進む一品です。
『グランドキャニオン』1,590円(税込)。仕上げにかける、香り高いやまつ辻田の「極上七味」がギュッと味を引き締めています
続いて出てきたのが、名前も見た目のインパクトも大な人気の一皿『グランドキャニオン』。肉豆腐から発想を得たというこちらは、豆腐ではなくはんぺんを使ってあるのが特徴的。それよりも何よりも“すき焼き⁉”と思うほどの極上肉が山盛りのせてあるのに驚きます。なんとこのお肉、熊本県・天草の黒毛和牛のA5ランクのお肉だそう。
「居酒屋の肉豆腐の肉って、火が入りすぎて硬くなったものが多い。でも、柔らかい肉を堪能してもらいたく、霜降りの肉をさっと割下で火を入れるすき焼きスタイルで作りました。はんぺんにしたのは、鳥羽シェフの家庭のすき焼きに入っていてすごくおいしかったという思い出の味なんです」と白木さん。「甘じょっぱい味って、お母さんが作る家庭の料理にすごく多いんです。そんな馴染みのある味を、僕らなりにブラッシュアップさせていくことでレストランを感じさせる。そんなsioイズムにあふれた料理を楽しんでもらいたいです」。
“感動のタッチポイントを増やす!”これこそsioイズムの最も大切なこと
オリジナルラベルで作ってもらったという芋焼酎の「大和桜」のほか、「仙禽 オーガニックナチュール」や「新政 ラピス」などの希少な日本酒や焼酎から作られるクラフトジンも
料理はどれもお酒が進むばかりでなく、味も価格も大満足なものばかり。この食べる者を満足させるおいしさの源は、極上の牛肉や野菜、オリーブオイルや塩、香り高い七味などこだわり抜いた食材や調味料選びにあります。その多くが【sio】で使っているものと同じなのだそう。カジュアルな居酒屋であっても、レストランで使うような食材を使うのには、【sio】で培われてきた様々な生産者さんとの深いつながりがあると言います。
「【sio】で使っている食材などは、その物だけでなく、生産者さんの生き様までも含めてリスペクトしているものが多いんです。このお店でも、それらの食材や調味料を使って、レストランのときと同じような気持ちで料理をしています。それをカジュアルでポップな居酒屋に落とし込むことで、より多くの人にsioイズムを感じてもらえたら嬉しいです」と白木さん。食材や調味料だけでなく、そのつながりから見つけた珍しい日本酒や焼酎、ジャパニーズクラフトジンなど、こだわり抜いたお酒も揃います。
お酒も充実しているので、バーカウンターでゆっくりとデートを楽しむことも
こだわりの料理やお酒だけでなく、【ザ・ニューワルド】の店内には様々な仕掛けがあるのがまた楽しい。きちんとしたカウンター割烹スタイルかと思えば、パーティルーム風の場所やバーカウンターも。気分に合わせて座る場所を選ぶなんてことも可能です。
そして各テーブルにはポットが置いてあり、お茶やお冷ではなく、その中身はなんと飲み放題の出汁なんです。
「お酒を飲んでいるときに、出汁を飲むとなんだかホッとしませんか? そんな気分の良さを感じてほしくて。お酒と出汁、結構ハマるんです。これをきっかけに、“出汁飲みに行こうよ”なんて誘い合って店にいらしてくれたらうれしいですね」と白木さん。
鳥羽シェフが居酒屋をしたいと思ったきっかけは、実はこの出汁の飲み放題なんだそう。隣に座った人と、“出汁一杯いかがですか?”なんて会話が生まれるかも
「おいしいという絶対的なベースを大切にしながら、遊び心をきっかけにそこからどんどん会話が膨らみ、笑顔になっていくお客さんの顔を見るのが何よりもうれしい。帰った後も、料理だけでなく、グラスとか食器、音楽、店員との会話、店の空間など、面白い店だったねと思い出せるような部分をいっぱい作りたい。そんな感動のタッチポイントがあふれる店にしたいです」。
可愛く面白い豆皿が使われたり、クスッと笑ってしまう言葉が書かれたグラスがあったり、店内の至る所に“遊び心”が見え隠れしています
どれだけ矢印をお客さんに向けられるかを最大限考えていると白木さんが言うように、“食空間”を使って、より多くの人を幸せにしたいという【sio】の想いがどこまでも感じられる、おいしくそして楽しさにあふれたポップカルチャー居酒屋でした。
※緊急事態宣言により、営業時間が変更されている可能性があります。最新の営業時間はお店に直接お問い合わせください
撮影/吉田祥平 取材・文/楠井祐介
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