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更新日:2017.06.09グルメラボ

旬の味を求めて ~「春野菜の天ぷら」編~

旬の時期に食べるからこそ香り高く、深い味わいが楽しめる野菜。今や、スーパーに行けば季節を問わず簡単に手に入る便利な世の中になりました。その反面、季節を感じる機会が少なくなった気がします。そんな時代だからこそ、天ぷらの名店で、野菜から春を感じてみませんか?

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季節を愛でる大人の愉悦。8席のプレミアム空間【天ぷら 元吉】

春の芽吹きにそっと寄り添う、
山菜の味を引き出す揚げの技術

    香ばしく揚げた『筍の天ぷら』は、優しい甘味をまとっています。半分は塩で、もう半分は木の芽醤油でと、同じ食材を2つの異なる味つけで楽しめるのも元吉ならではの心遣いです

 【天ぷら 元吉】の天ぷらは、衣がとても軽やかです。胡麻油の香りが強い江戸前天ぷらの味をイメージすると、少し胡麻油が控えめに感じるかもしれません。しかし、それこそが旬菜を美味しくいただく秘訣。素材の味を壊さないよう、菜種油とコーン油に、甘さが引き立つ程度の割合で玉絞りの胡麻油をブレンドしています。

    独活の中心部は爽やかな甘さが魅力なのでレアに、ほろ苦い頭の部分は香ばしく揚げています

 「例えば筍なら、アクを抜き切ることが正解なのかなど、常に疑問を投げかけ最良の方法を吟味しています」と店主の元吉和仁氏。生から揚げる、茹でて揚げる、煮て揚げるなどの方法がある中、えぐみを抜きつつ筍の香りを最大限に生かすため、辿りついたのは「蒸す」という選択。その筍を蒸したのち、水分を飛ばしながら香ばしく揚げることで、ほっくりとした食感と、優しい甘さを引き出しています。一方で独活(うど)はサッと揚げ、中心部は生のまま。シャキッとした歯ごたえと瑞々しさが魅力です。

    辛口、旨口など、日本酒は幅広く用意。お猪口を選ぶのも楽しみのひとつ

 素材と真摯に向き合い、常に最良の状態でゲストへ提供してくれる。春の訪れを感じさせる味わいに、自然と顔がほころびます。

 

池波正太郎をはじめ、著名人に愛された天ぷらの名店【てんぷら 近藤】

衣が薄く、香り高い。春の訪れを
食で感じる『春野菜の天ぷら』

    タラの芽、こごみ、つぼみ菜、ふきのとう、つくしと、春の息吹を感じさせる『春野菜の天ぷら 盛合せ』。野菜がもつ旨味や自然な甘さ、ほどよい苦みに加え、野菜の瑞々しさまでも感じられます

 かつて天ぷらは江戸前の魚介が中心であり、野菜は添えものでしかなかった。そんな時代に、邪道とされていた野菜を天種として取り入れ、主役に据えたのが【てんぷら 近藤】の店主、近藤文夫氏だったのです。

 今回供された『春野菜の天ぷら 盛合せ』は、春を迎えた喜びをその目で、その舌で愉しめます。新緑の色合いと独特な風味は、薄い衣で軽く揚げる手法だからこそ感じることができるのです。この“衣の薄い天ぷら”、分厚い衣が主流であった時代に、近藤氏が薄い衣で揚げたのがはじまりだったとか。

    若い豆だけを使った『そら豆の天ぷら』は、ホクホクとした食感が魅力。立体的な盛り付けも近藤氏ならでは

 そんな野菜の天ぷらの先駆者は、素材選びにも強いこだわりをみせます。例えば春野菜として人気のそら豆は、香り高い若い豆だけを使うために、収穫時期に合わせて九州から北海道まで追いかけて仕入れているそう。それもすべて「お客様に美味しい天ぷらを食べてほしい」その一心から来ているのです。

    名物『さつまいもの天ぷら』。油で30分間じっくりと揚げることで、野菜の水分と甘味を封じ込めています

 池波正太郎をはじめ、各界の著名人に愛されてきた近藤氏の天ぷら。彼らを魅了していたのは、天ぷらの味わいだけでなく、常識を打ち破り自らの信念を貫き続ける、そんな近藤氏の姿だったのかもしれません。

 
旬のものを、大切な方と食べに行きたくなる「旬味への誘い」はこちら 春野菜関連記事

この記事を作った人

撮影/岡本 裕介、中込 涼 取材・文/梶野 佐智子、シマアキコ(ヒトサラ編集部)

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