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更新日:2017.06.10グルメラボ

「おぼろ豆腐」や「生湯葉の刺身」など。奈良の町家で豆腐のコース料理を堪能

南都七大寺の1つに数えられる元興寺。その境内の南側に広がる奈良町は、江戸時代の末期から明治時代にかけての町家が軒を連ねる、風情あふれるエリアです。今回ご紹介するのは、築180年、奈良町の歴史を今に伝える町屋造りのお屋敷で楽しむ、滋味豊かな豆腐料理懐石です。

「おぼろ豆腐」や「生湯葉の刺身」など。奈良の町家で豆腐のコース料理を堪能

老舗豆腐店が手掛ける、奥深い豆腐料理 が楽しめる【奈良町豆腐庵こんどう】

豆腐店がこだわり抜いた、“本物の豆腐”が自慢

【奈良町豆腐庵こんどう】を奈良町にオープンさせたのは、丁寧な豆腐作りに定評のある【近藤豆腐店】。代表を務める近藤芳嗣さんは「豆腐は大豆とにがりが命。大豆は国産大豆で。にがりはミネラルたっぷりな天然じゃないと」と語ります。

 その言葉どおり、店を継いだ40年前から試行錯誤を繰り返し、大豆の味わいが濃厚な“本物の豆腐”を作り続けてきました。

    とろけるような甘みと、コクのあるうまみが絶品の『豆腐三昧コース』4,600円(税抜)

    とろけるような甘みと、コクのあるうまみが絶品の『豆腐三昧コース』4,600円(税抜)

 素材にどこまでもこだわった豆腐をもっと食べてもらいたい、お客さんの反応をダイレクトに感じたい、という想いが高じて、奈良町に【奈良町豆腐庵こんどう】を開くことになりました。

    型に豆腐を盛り込み、重石を載せて、余分な水気を切っていきます

    型に豆腐を盛り込み、重石を載せて、余分な水気を切っていきます

 近藤豆腐店の豆腐は、輸入大豆に比べ数倍の値段のする国産大豆。なかでも豆腐にうってつけの「フクユタカ」をメインに使います。

 おいしい水で約9時間、じっくり時間をかけて浸漬。柔らかくなった豆を臼で碾いた豆乳は、豆の味わいが濃厚に感じられる仕上がりです。それを、黒潮が運ぶ清らかな海水のミネラルを豊富に含んだ、海精にがりで凝固させていきます。

ひとくちに豆腐料理とくくれない、多彩で優しい味わい

 豆腐専門店ならではの、豆腐の奥深さを味わい尽くすなら、『豆腐三昧』がおすすめ。豆乳出汁巻きや、おから、濃厚な味わいが魅力の味噌漬け豆腐などが楽しめる、八寸からコースが始まります。

    八寸。旬の野菜や、豆腐、おからなど、多彩な味わいに感動

    八寸。旬の野菜や、豆腐、おからなど、多彩な味わいに感動

 味噌の香ばしい風味が楽しめる田楽に、しっとり滑らかな喉ごしの生湯葉のお刺身、旬野菜をコクのある白和え衣で包み込む白和えと、多彩な豆腐料理が楽しめます。

    くみ上げ湯葉のお刺身や、おぼろ豆腐、田楽など、豆腐料理の数々が楽しめる

    くみ上げ湯葉のお刺身や、おぼろ豆腐、田楽など、豆腐料理の数々が楽しめる

 クライマックスとも言えるのが『湯豆腐』。【近藤豆腐店】で一番人気の『海精にがりきぬ』を、濃厚な豆乳出汁でふつふつと暖めた一品です。

 豆腐本来の味を感じて欲しいと用意された薬味は、藻塩、割り醤油、ゆずこしょう。豆腐の旨みを逃すことなく、濃厚な味や香りと共に、口の中にふわっと広がります。

古都の歴史を感じられる、奈良町の町家

    町家ならではの風情が感じられる座敷席。テーブル席も用意

    町家ならではの風情が感じられる座敷席。テーブル席も用意

 “鰻の寝床”と言われる町家独特の造りの奥には、苔むした坪庭が広がります。映画のロケ地にも使われたというのも納得の設えで、2016年には文化庁の有形文化財に登録されました。

    お店の奥には坪庭も。渡り廊下では、野趣あふれる風情が楽しめます

    お店の奥には坪庭も。渡り廊下では、野趣あふれる風情が楽しめます

 奈良の伝統的な雰囲気が感じられる町家造りの店内で、滋味深い豆腐を楽しむ、穏やかな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

この記事を作った人

撮影/中川 泉 取材・文/ナカシママサヨシ(フリーライター) 

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