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更新日:2021.02.09食トレンド

ハレの日専用のレストラン 東京・虎ノ門【unis】|名シェフのフランス料理とともに過ごす特別な一夜

2020年12月、虎ノ門に新たな店が誕生した。店を率いるのが、かの【SUGALABO】でシェフを務めた薬師神陸氏だと聞けば、否が応でも期待は高まる。しかし実際に訪れてみると、そこが薬師神陸というネームバリューに頼る店ではなく、アイデアと挑戦、そしておもてなしの心に満ちた意欲的な店だった。世にも珍しいハレの日専用のレストラン【unis】。その魅力に迫ってみよう。

虎ノ門,unis

さまざまな演出でお祝いする、記念日専用のレストラン

毎月1日に2か月後までの予約が解禁される【unis】。条件は2名、4名、8名という偶数名での利用に限定されること、そして誕生日や結婚記念日、昇進祝いや長寿祝いなど、何らかの記念日であること。そう、ここはアニバーサリーの利用に限定されたレストランなのだ。

    外には看板もなく、真鍮の取っ手がついた秘密めいたドアが出迎える

    外には看板もなく、真鍮の取っ手がついた秘密めいたドアが出迎える

「フランス料理ほど、ハレの日にふさわしい料理はない」薬師神シェフはそう話す。たしかに日本におけるフランス料理の立ち位置は、ある種の特別感に満ちている。“日常の延長線上にある贅沢”ではなく、“日常から完全に切り離された特別感”。それを突き詰めた結果が、アニバーサリー専用という意欲的なコンセプトなのだ。

  • 本棚にある隠し窓からウェルカムドリンクが届く演出も

    本棚にある隠し窓からウェルカムドリンクが届く演出も

  • 時間が来ると扉が開き、シェフズテーブルに案内される

    時間が来ると扉が開き、シェフズテーブルに案内される

看板のないエントランス、秘密めいたウェイティングルーム、そこから案内されるまるで舞台の幕が上がるような華やかなシェフズテーブル、美しい映像による演出、そして確かな技術に裏付けられた素晴らしいフランス料理。記念日を特別な日として記憶に残す演出が、怒涛のように押し寄せる。

    ゆるやかなカーブを描く全8席のシェフズテーブルが晩餐の舞台

    ゆるやかなカーブを描く全8席のシェフズテーブルが晩餐の舞台

フレンチのフルコースでも、和の要素が入り食後感は軽やか

アミューズ2品、前菜、温菜、シグネチャーサラダ、魚料理、肉料理、御飯物、デザート2品と続くフルコース、それぞれの料理がおいしいことは大前提としながら、食後には余韻を楽しむ余白が残る。それを実現するのが全国から選りすぐった食材と、薬師神シェフの豊富な経験だ。

「おいしさはお客様と一緒につくりあげるもの」との言葉通り、会話の中にヒントがあればすかさずそれを料理に落とし込むなど、の柔軟な対応も、シェフの経験値の賜物。

    ハレの日を彩る花束をイメージして考案された【unis】のスペシャリテ

    ハレの日を彩る花束をイメージして考案された【unis】のスペシャリテ

「それぞれの素材がおいしいことは大前提」さらりと言う薬師神シェフだが、細かく見てみれば、実に繊細な計算が潜んでいる。

たとえば『栗と黒トリュフのフラン』は、栗のピューレと鶏のブイヨンの掛け算に、さらにトリュフの香りをプラス。これを滑らかなフランにすることで、オールスター級の食材たちが調和することを狙う。食材への理解と、それを引き出す技。両者が揃って実現する上質なおいしさだ。

    『栗と黒トリュフのフラン』。12月~1月に提供された12品のおまかせコースの序盤に登場

    『栗と黒トリュフのフラン』。12月~1月に提供された12品のおまかせコースの序盤に登場

料理を手がけるのは【SUGALABO】出身の薬師神陸シェフ

華やかな演出やサプライズに満ちていてもなお【unis】の重厚感が揺らがないのは、中心となる料理のクオリティが突出しているから。つまり薬師神シェフの力量だ。

辻調理師専門学校卒業後、わずか20歳で同校のフランス料理講師となり、その後【SUGALABO】代表・須賀洋介氏の右腕として同店を支えてきた。そんな薬師神シェフには、転機となるひとつの出来事があったという。

    食材にも器にも一切の妥協を許さぬ薬師神シェフの姿勢が特別な美味を生む

    食材にも器にも一切の妥協を許さぬ薬師神シェフの姿勢が特別な美味を生む

それは須賀洋介氏とタッグを組んで【SUGALABO】を立ち上げたときのこと。オープンを目前に控えたが調理機材の搬入が遅れ、開店が2週間伸びてしまうこととなった。突然ぽっかりと空いてしまった時間、すると須賀氏が「食材を見に行くか」と言い出した。

そこから時間が許す限り、全国の生産者のもとを訪れ、食材を探し歩いた。さらに二人は開店後も時間を見つけては、全国の食材を訪ね歩き、いつしかそれはライフワークとなった。

    季節の花、野草、根菜、魚介で仕立てる花束のようなサラダ。有田焼の器や箸など和のエッセンスも潜み、いっそう料理を引き立てる

    季節の花、野草、根菜、魚介で仕立てる花束のようなサラダ。有田焼の器や箸など和のエッセンスも潜み、いっそう料理を引き立てる

薬師神シェフがこれまでに訪ねた生産者は600以上。食材を見れば生産者の顔が浮かび、連絡をすれば素晴らしい食材が届く。名店で培った技術と、全国から足で見つけた食材。このふたつが合わさり、【unis】の料理はいっそうの輝きを放つ。

アニバーサリーを華やかに彩るスイーツも魅力

結婚式、誕生日、クリスマス。アニバーサリーの食卓に、ケーキやスイーツは欠かせないもの。もちろん、アニバーサリー専用のレストランであるここ【unis】にも、こだわりの詰まったスイーツが待っている。

    季節感、華やかさ、食後感、おいしさ。あらゆる要素を満たす江藤氏のデセール

    季節感、華やかさ、食後感、おいしさ。あらゆる要素を満たす江藤氏のデセール

コースを締めくくるデセールを担当するのは、【SUGALABO】時代の薬師神シェフの同僚でもあるパティシエ・江藤英樹氏。【DOMINIQUE BOUCHET TOKYO】や【SUGALABO】、【THIERRY MARX】など数々の名店でシェフパティシエを歴任。レストランのパティシエとして、デセールを任されてきた気鋭のデセール職人です。

「意識するのはコースの流れを途切れさせないこと、食後感が軽いこと。その中でおめでたい席らしい華やかさを出していく」と江藤氏。旬の食材をつかい、複雑な要素を重ね合わせ、それでもなお軽やかさがあるのは、江藤氏の経験とセンスの賜物なのだろう。

    有田焼のアートパネルにシェフが訪れた産地などの映像が映し出される

    有田焼のアートパネルにシェフが訪れた産地などの映像が映し出される

演出、料理、スイーツ、すべての要素で記念日を祝う【unis】。「目指すのは予約が取れない店ではなく、誰かのために予約を取りたくなる店」という薬師神シェフの言葉には、特別な一日を全力でもてなしたい、という温かい心が満ちている。

※緊急事態宣言により、営業時間が変更されている可能性があります。最新の営業時間はお店に直接お問い合わせください。

この記事を作った人

撮影/鈴木拓也 取材・文/鴫原夏来

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