あの超人気名店が“飲めるインド料理店”として転生。話題の新店【Indian Street Food & Bar GOND】 が素晴らしすぎる。|神田神保町
2023年春、東京グルメ界隈で衝撃のニュースが飛び交いました。 行列ができる超人気南インド料理店として知られた【ダバ インディア】が八重洲地区再開発のため2023年4月2日をもって閉店するというのです。
【ダバ インディア】といえば、青い壁が印象的な、洗練された南インド料理レストラン。
普段食べているインド料理やカレーとは全く違う、南インドのめくるめくスパイスマジックに初めて出会い、衝撃を受けた人も多いのではないでしょうか。
それだけではありません。【ダバ インディア】卒業生が各地で始めたお店、いわゆる“ダバ系”はいずれも名店揃い。南大塚【カッチャルバッチャル】や木場【カマルプール】など、【ダバ インディア】が東京のインド料理シーンに与えてきた影響はとてつもないものだと言えるでしょう。
銀座一丁目にある姉妹店【グルガオン】(こちらは北インド料理がメイン)は今まで通り営業を継続。では【ダバ インディア】の移転再開はあるのでしょうか?
答えは「NO」。
【ダバ インディア】という名店は19年の歴史に幕を閉じることになったのです。
名店【ダバ インディア】から新たに生まれた2つの継承店
しかし、悲しいニュースだけではありません。
【ダバ インディア】閉店の報と時同じくして、2つの新店のオープンが発表されました。
約一年前に【ダバ インディア】を円満退職された店長の柳谷氏が独立開業。タミルナードゥ州出身の【ダバ インディア】のコックをシェフとし、バナナリーフのミールスや米粉クレープ『ドーサ』などを提供するなど【ダバ インディア】の南インド料理を継承。飯田橋に2023年4月25日オープン。
【Indian Street Food & Bar GOND(ゴンド)】【ダバ インディア】、【グルガオン】の経営母体である株式会社チョティワラの新店。インドのストリートフードやタンドール料理とともに“飲めるインド料理店”。下町の屋台料理や南インドのミールスも提供。新御茶ノ水に2023年5月12日オープン。
え? ちょっと待ってください。
チョティワラさん、閉店するまでずっと行列が絶えなかった【ダバ インディア】の業態を継続するんじゃなくて、全く新しいコンセプトのお店をオープンするってことですか?
一体どういうことなのか、早速伺ってみましょう。
新店【GOND】は画期的な “飲めるインド料理店”
【Indian Street Food & Bar GOND】は東京メトロ新御茶ノ水駅より徒歩1分。カレー激戦区として名高い神田神保町エリアの真っ只中にありました。
POPで鮮やかなカラーリングが印象的!
店内も黄色い壁、青い壁、赤い壁とカラフル。
エキゾチックな青で統一されていた【ダバ インディア】の内装も素敵だったけど、こちらはまた違った楽しさがありますね
【ダバ インディア】同様、内装はオーナーの宮崎さんの奥様が考案したものだそう。以前から次のお店のイメージはこう、というインスピレーションがあったようです。
壁にかかっているのは、店名の由来になっている「ゴンド画」。インド現地で買い付けたものだそう。インドの真ん中あたり、マディヤ・プラデーシュ州周辺に住むゴンド族という先住民族が描くゴンド画(GOND ART)はアート界で人気。
民族画なのにモダンでポップ、見れば見るほど引き込まれます
厨房は客席から見えるオープンキッチンスタイル。
ストリートフードの仕込み中ですね
こちら【GOND】では南インド、北インド両方のコックを揃え、【ダバ インディア】で親しまれた南インドミールスだけでなく、インド各地のストリートフードやタンドール料理がズラリ揃っています。
コンセプトは“飲めるインド料理店”。
しかし何故、人気店だった【ダバ インディア】のコンセプトをそのまま継承せず、新たな試みへと踏み出したのでしょうか。【GOND』支配人の平 和明さんにお話を伺いました。
単純に、同じことはやりたくないんですよね。
確かに南インドの【ダバ インディア】、北インドの【グルガオン】だけでなく、かつてあった【ハリドワール】も【カイバル】も、株式会社チョティワラが今まで手がけてきたお店は一つとして同じコンセプトのものは無かった。
オーナーの宮崎も私も、インド現地でストリートフードに触れ、これを日本でできたらいいねと話していました。けれど【ダバ インディア】ではできなかった。スタイルが固まっていたし、あれ以上メニューを増やすのもキャパ的には難しいし。今回新店をオープンするにあたって、やりたかったことをやる。と。
一方で【ダバ インディア】で提供していたドーサ(インドの米粉クレープのような軽食)は【GOND】にはない。
ドーサの設備は【TOKYO BHAVAN】に持っていきました。【ダバ インディア】元店長の柳谷が独立したお店ですけど、今でも仲良くて飲み仲間ですよ。【ダバ インディア】的なメニューを求めるなら【TOKYO BHAVAN】かな。
なんだかとても安心しました。
【ダバ インディア】という名店が閉店し2つのお店が誕生した。飲食業界では「仲間割れして……」みたいな例をたくさん見ているだけに、自社から独立したお店を応援する姿勢は単純に素敵。
だからこそ、これまでも“ダバ系”と呼ばれる名店が次々に誕生してきたのですね。
ドーサの生地を作る石臼は【TOKYO BHAVAN】に譲ったものの、キッチンにはインド現地の屋台でよく見かける、丸くて中央が窪んだ鉄板「タワ」が設置されていました
こちらは逆に【TOKYO BHAVAN】にはないタンドール窯。タンドリーチキンなどの炭焼料理はここで調理されます
メニューに並ぶインドのストリートフードも、他店ではなかなか見かけないものばかり。
どれにしようか迷いますが……迷ったら色々頼めばいいんですよね(笑)
インドのストリートフードは酒の肴にもピッタリ
それでは早速いただいてみましょう。まずはインドのストリートフードから。
『サブダナワダ(2PC)』¥680
外はカリッと、中はもっちりした南インド式、タピオカのコロッケ。めちゃめちゃクセになる食感です。生のカレーリーフを用いたミントチャトニをつけて爽やかにいただきます。こんなタピオカの楽しみ方、みんな絶対知らないはず。
『スージープーリー(2PC)とミニひよこ豆カレー』¥900
プクッと膨れたセモリナ粉(スージー)の揚げパン(プーリー)と豆カレーのセット。『スージープーリー』は南インドにもあるストリートフードですが、こちらは北インドスタイル。それだけで無限に食べられる美味です。それに加え、豆カレーの完成度にビックリ! 単なる添え物じゃなく、意外なほどスパイシーで「カレー食べた!」という満足感に浸れる逸品です。
『ペッパーソルトサワー』¥750
インド人が好むブラックペッパーと岩塩入りサワー。最近は日本でも塩レモンサワーとかが人気ですが、それをもっとダンディーでスパイシーにしたような一杯です。一度飲んだらリピ確定ですよ。
お酒はその他、インドのビールやインドのワイン、インドのウイスキーまで取り揃え。日本酒や焼酎も置いていて、飲み需要にもカンペキ。
インドのストリートフードがここまでお酒に合うなんて、新鮮な驚きです。
幸せに浸れるスパイシー&リッチなタンドール料理
続いて、自慢のタンドール窯で焼き上げるタンドール料理も行ってみましょう!
『タンドリーチキンティッカ』¥800
骨なしチキンのタンドール焼き。2種の味付けがあって、左側はタンドリーチキンでお馴染みスパイシーなマサラ風味。右側の明るい色の方はヨーグルトやカシューナッツでリッチに仕上げた「マライティッカ」と呼ばれるタイプ。爽やかなグリーンチリソースをつけていただきます。肉の柔らかさとスパイスのメリハリ、こりゃあ一級品だ。
そして、ブレイク必至の新メニューがこちら。
『バターチキンサンド』¥880
【ダバ インディア】や【グルガオン】のファンならきっとご存じでしょう。小ぶりのナンにとろーりチーズを詰めて焼き上げた『チーズクルチャ』という人気メニューを。
【ダバ インディア】から独立した【カッチャルバッチャル】や【カマルプール】などのお店でも人気で、「ダバ系のアイコン」とまで言われる『チーズクルチャ』。こちらはその進化系。【GOND】だけのオリジナルメニューです。
小ぶりのナンの中にはチーズだけでなく、たっぷりのバターチキンカレーが。あまりに贅沢でリッチな、ワンハンド仕立てのインド宮廷料理。この発想はなかった! ブレイク間違いなし! 幸せすぎますね。
神田神保町エリアで楽しい「スパイス飲み」を
ストリートフードとタンドール料理を摘みながら飲む、画期的なお店。インド料理=カレーと思っている人にはきっと、目からウロコの食体験となることでしょう
最近はスパイス料理をつまみに飲む「スパイス飲み」のお店が増えていますが、この【GOND】はまさに決定版だと言えます。
平日は21時ラストオーダーで22時閉店。
土日祝は20時30分ラストオーダーで21時30分閉店。
20時以降と日祝には開いている飲食店がグンと少なくなる神保町界隈ではとても貴重な場所になりそう。
今までうちのお店はみな銀座近辺にかたまっていたんですが、縁あって今回この神田にやってきました。全く土地勘がないところから始めたたんですが……ホントいいところですね。何食べようかな、なんて気軽に入ってきてくださると嬉しいです。
超人気店【ダバ インディア】から受け継いだセンスとクオリティ、そして全く新しい、ワクワクするコンセプト。この【GOND』もまたすぐに、東京を代表する人気店となるのは確実といえるでしょう。
【Indian Street Food & Bar GOND】
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電話:03-3259-2800
住所:東京都千代田区神田駿河台3-5-15 荒井ビル 1F
アクセス:店舗詳細はこちら >
取材・文/カレー細胞 撮影/佐藤顕子 構成/宿坊 アカリ
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