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更新日:2018.06.29食トレンド グルメラボ

世界の町から最新の食トレンドをレポート!/イタリア編・香港編

めまぐるしく変わる世界の食事情。栄枯盛衰なレストラン事情から、未来を考える食の事情まで、世界を拠点とするジャーナリストたちがホットな情報をお届けします。今回は恋と食に情熱を注ぐアモーレの国イタリアと、B級からガストロノミーまで、胃袋がいくつあっても足りない香港からのレポートです。

イタリア,香港,食,トレンド

イタリアにも波が到来。ビオ&ビオディナミ・ブーム

    「CBIO」の仕掛け人はフィレンツェの有名レストラン【チブレオ】オーナーのファビオ・ピッキ。http://www.cbio.it/

    「CBIO」の仕掛け人はフィレンツェの有名レストラン【チブレオ】オーナーのファビオ・ピッキ。http://www.cbio.it/

 ビオディナミとは人智学者ルドルフォ・シュタイナーが提唱した有機農法で、太陰暦に基づいて農作業を行う。イタリアではフリウリ地方などの北部を中心にブーム的な勢いで増えており、この十年でビオディナミ農家は2倍に増えた。

 日本にもイタリアのビオディナミ・ワインは多く入って来ており、ビオディナミ製品の輸出額は2017年で4億ユーロ(約520億円)で、主要輸出国は日本、アメリカ、北欧諸国の順になっている。この場合のビオディナミとは農法のことだが、一方ビオとはオーガニック製品のこと。ビオと名乗るにはDOP、IGTといった農産物同様、検査機関による厳格な審査を経て認証を取得しなければならない。

    フィレンツェに昨年オープンしたビオ・マーケット「CBIO」。経済的事情でビオ認定が取れない中小規模農家を支援し、独自でビオ認定している。

    フィレンツェに昨年オープンしたビオ・マーケット「CBIO」。経済的事情でビオ認定が取れない中小規模農家を支援し、独自でビオ認定している。

 現代イタリアではグルテンアレルギーや成人病など、成熟した世界特有の現代病が深刻で、イタリア人の60%がビオ製品を購入している、という統計もある。

ネオ広東料理が静かな人気に。女性シェフがつくるファンキーなレストラン

    「クールな広東料理店があったっていいでしょ」と語るメイ・チョウの【ハッピーパラダイス】。ミクソロジストが新感覚カクテルを繰り出すバーもレベルが高い。

    「クールな広東料理店があったっていいでしょ」と語るメイ・チョウの【ハッピーパラダイス】。ミクソロジストが新感覚カクテルを繰り出すバーもレベルが高い。

 香港と言えば広東料理の本場。その発展を担ってきたのは、いつでも最高級店の厨房だった。そんな業界地図を塗り替えた一人が、2017年に「アジアのベストレストラン50」でアジア最優秀女性シェフ賞に輝いたメイ・チョウ。

 彼女の本格広東料理店【ハッピーパラダイス】では、まずネオンライトきらめくサイケデリックなインテリアに度肝を抜かれてから、伝統のコアは守りつつ、破る型はとことん破って、文句ない美味しさを生み出す料理のセンスに驚かされる。

    2017年度の「アジアのベストレストラン50」授賞式でのメイ・チョウ。斬新なファッションセンスにも定評がある。https://www.happyparadise.hk<br />
Asia’s 50 Best Restaurants 2017, sponsored by S.Pellegrino & Acqua Panna

    2017年度の「アジアのベストレストラン50」授賞式でのメイ・チョウ。斬新なファッションセンスにも定評がある。https://www.happyparadise.hk
    Asia’s 50 Best Restaurants 2017, sponsored by S.Pellegrino & Acqua Panna

「フュージョンではなく、西洋の調理技術を取り入れて洗練させた広東料理が売り」とメイ。例えば香港の原住民「客家」の伝統料理をベースにした『黄酒鶏』は、紹興酒と糯米酒に浸けた鶏を、真空調理器で胸54℃、脚85℃と、部位ごとの最適温度でスロークックして最高の食感を引き出し、椎茸ソースで仕上げた美味なる一品。広東料理の新しい形が見えてくる。

この記事を作った人

取材・文/池田匡克(イタリア)、甲斐美也子(香港)

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