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更新日:2018.09.28食トレンド デート・会食 連載

ふわトロ卵とトリュフにとろける『トリュフのスクランブルエッグ』/江戸川橋【チョコ】森脇慶子の今月の気になるヒトサラVol.9

トロりとしたスクランブルエッグの下に隠れるふわふわのブリオッシュのフレンチトースト。上にはたっぷりとかけた白トリュフ。口に入れた瞬間に広がるトリュフの香りと、滑らかな口どけの卵とブリオッシュが一体となって・・・・・・身も心も溶けてしまいそう。そんな至福の一品、ぜひお試しあれ。

ふわトロ卵とトリュフにとろける『トリュフのスクランブルエッグ』/江戸川橋【チョコ】森脇慶子の今月の気になるヒトサラVol.9

今月のヒトサラは・・・・・・江戸川橋【チョコ】
卵のなめらかな食感とトリュフの香りが口で一体となる至福『トリュフのスクランブルエッグ』

    トリュフと卵をいっしょに保存する事で、卵の中身にトリュフの香りがほんのり移り、香がさらに良くなる

    トリュフと卵をいっしょに保存する事で、卵の中身にトリュフの香りがほんのり移り、香がさらに良くなる

スクランブルエッグを見くびっていた。

 割りほぐした卵に塩、胡椒、牛乳、生クリームを加えてかき混ぜ、たっぷりめのバターを溶かしたフライパンに投入。火にかけ、ゆっくりと火を入れつつ半熟状に固まったら完成。

 恥ずかしながら、それがスクランブルエッグのつもりだった。

 しかしそれは、実のところスクランブルエッグではなく、ちょっとやわやわした中華風卵炒め、或いは出来損ないのオムレツにすぎなかったのだ。

 その事実を痛感させられたのが、このヒトサラ。
江戸川橋「TXOKO」の“白トリュフのスクランブルエッグ”だ。

    湯煎にかけながらゴムベラで絶えず丹念にかき混ぜていく。スクランブルエッグが縦にとろりと割れるようになったら仕上がり間近

    湯煎にかけながらゴムベラで絶えず丹念にかき混ぜていく。スクランブルエッグが縦にとろりと割れるようになったら仕上がり間近

「白トリュフと卵の組み合わせって、もう、てっぱんでしょう。」

 そう言いつつ、関口晴朗シェフが丹念に鍋をかき混ぜて作っていたのが、トリュフ風味のスクランブルエッグだった。よく見ると、火にはかけずに湯煎で火を入れている。その湯も、卵液をいれたボールの底に当たらない程度のごく少量。聞けば、直接湯に当たるとその部分が早く固まってしまうため、湯から立ち上る蒸気に当てる感覚で火を入れているのだとか。

 一時たりともそばを離れず、時に火から下ろしたり、火を消したりしながら、ゆっくりゆっくり、熱を通していく。

    自家製ブリオッシュは、フレンチトーストのように牛乳と生クリームに浸してから周りをカリッと焼いているので、中はやわやわ<br />

    自家製ブリオッシュは、フレンチトーストのように牛乳と生クリームに浸してから周りをカリッと焼いているので、中はやわやわ

「丁寧に作らないと、モソモソした食感になってしまう。火加減が難しい。ちょっとでも油断すると、あっと言う間に火が入っちゃうんですよ。」とは関口シェフ。

 まるで赤子をあやすかのようなその作業に、スクランブルエッグとは、こんなにもデリケートな食べ物だったのか…、と改めて目から鱗が落ちる想いだった。

    取材時は、エミリアロマーニャの白トリュフだが、10月以降シーズンになればアルバ産も

    取材時は、エミリアロマーニャの白トリュフだが、10月以降シーズンになればアルバ産も

 こうして、目の前に置かれたのは、自家製ブリオッシュの上にとろ〜りとしなだれかかるようにかけられた なめらかなクリーム状のスクランブルエッグ。

 見た目からして、まず、似て非ざるもの。

 このスクランブルエッグだけでも、充分食欲をそそられるのに更に白トリュフを削りかける贅沢さ! ハラハラハラと落ち葉の如く舞い落ちる様には思わずうっとり。

 削るたび、香り立つ芳香もご馳走の1つだろう。ついもう一枚、もう一枚、と心の中で念じてしまう。

    白トリュフとスクランブルエッグの一皿は、12000円のコースの一品

    白トリュフとスクランブルエッグの一皿は、12000円のコースの一品

 媚薬にも似たその官能的な香りにくらくらとしながら口に運べば、至福の瞬間が待っている。口中の粘膜を覆うスクランブルエッグは、とろりとなめらかでいて、決してだらしのない柔らかさではなく、舌に僅かに感じるコシと弾力が心地よい 。

 そして、白トリュフならではの妖艶な香りが鼻を抜けゆく時の恍惚感!

 加えて、スクランブルエッグと自家製のブリオッシュの一体感がまた素晴らしい。周りはカリッ、中はしっとり焼き上げたそれは、決してでしゃばることなく存在感を十二分に発揮。ブリオッシュのバターの風味が、卵と白トリュフの旨味を見事に受け止め、淡い余韻へと繋いでいる。

 後味の品の良さ、これも料理の格を決める大きなポイントだろう。白トリュフの香りが主役のようで、この料理、影の主人公は卵かもしれない。

    今年の5月にオープンしたばかり。素材感のあるシンプルな料理が早くも話題に

    今年の5月にオープンしたばかり。素材感のあるシンプルな料理が早くも話題に

店主・関口晴朗さんからひと言

    「トリュフの魅力は、あの香り。匂いを嗅ぐだけでテンションが上がりますよね。トリュフの入荷状況もあるので、どうしても召し上がりたい方は、予約の際に一言おっしゃってください」<br />
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    「トリュフの魅力は、あの香り。匂いを嗅ぐだけでテンションが上がりますよね。トリュフの入荷状況もあるので、どうしても召し上がりたい方は、予約の際に一言おっしゃってください」

TXOKO (チョコ)

  • 住所:東京都文京区水道2-19-14
    電話:03-6801-6921
    営業時間:18:00~23:00(閉店) 
    不定休
    要予約
    ※トリュフスクランブルエッグをご希望の方は予約時に確認を
    平均予算:20,000円

    撮影/今清水隆宏

  • 森脇慶子
    「dancyu」や女性誌などで活躍するフードライター。綿密な取材と豊富な経験に基づく記事は、読者のみならずシェフたちからも絶大な信頼を得ている。日々おいしいものを探求すべく新旧問わず様々な店を訪問。選者を務める「東京最高のレストラン」(ぴあ)も好評発売中。

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