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V12達成! ミシュラン三ツ星を12年間とり続けるシェフ【カンテサンス】岸田周三氏 | 第1~2話

国内外から注目を集める一流シェフや料理人、食に精通するスペシャリストをゲストに招き、食のトレンドをお届けするインターネットラジオ番組『ヒトサラ シェフズテーブル』。Vol.35~36のゲストは、先日発表された「ミシュランガイド東京2019」にて12年連続で三ツ星を獲得した【カンテサンス】の岸田周三さんの回をお届けいたします。

V12達成! ミシュラン三ツ星を12年間とり続けるシェフ【カンテサンス】岸田周三氏 | 第1~2話

 今回のゲストは、サステナブルシーフードなどの環境問題にも積極的に取り組むフレンチ界のトップシェフ、【カンテサンス】の岸田周三氏。

 2006年にフランスから帰国し、レストラン【カンテサンス】を立ち上げ、オープンから1年後の2007年、瞬く間に「ミシュランガイド東京」で三ツ星に輝いた岸田周三シェフ。以降、毎年連続で三ツ星を獲得し続け、フレンチ界のトップランナーとしての地位を確たるものにしている。先人たちがつくり上げてきた伝統をリスペクトしつつ、現代だからこそ提供でき得る最高品質の料理を突き詰めて考えるシェフのこだわりと哲学、その「本質」に迫ります。

第1話:他の追随を許さない、【カンテサンス】のいま

フレンチのトップランナーとして

――オープン2年目だった【カンテサンス】がミシュラン三ツ星になった2007年以来、連続で三ツ星をキープしています。フレンチのトップランナーであり続けるわけですが、どうしたらトップをキープできるんですか。

岸田:これは、僕にもわからないですね。僕は評価される側の人間なので。でもやっぱり毎日誠実に仕事をしているつもりなので、それを評価していただけたのかなと思います。

――トップランナーというのは孤独だろうし、色々大変なことも多いと思いますが、岸田さんを見ていると軽くそこをこなしてらっしゃるな、という風に見えるんですよね。

岸田:いやいや(笑)。でも、涼しい顔をしてないと周りのスタッフも心配してしまうので、辛そうな顔はあまり良くないなと思い、涼しくするように意識はしています。

【カンテサンス】が掲げるもの

――お店のホームページに、「『キュイジーヌ・コンテンポレーヌ(現代的な料理)』を創造するとともに『次世代のスタンダード』を目指す」とありますが、どういうことをイメージされた言葉でしょうか。

岸田:インフラが整ってなかった時代の、いわゆる伝統的なフランス料理というのは、保存とか輸送にすごく問題があったんです。だから、ソースというものが不可欠だった。今この時代であれば、食材は本当に早く届く。フランスからの輸入食材も数日ですし、僕は徳島からお魚を毎日買いますが、朝の4時くらいに電話すれば朝10時過ぎには手に入る。そういう状況のなかで、伝統的な料理法がベストなのかということは、考える必要があると思います。古典を忘れてはいけないけれど、今だったらこういうことができるんじゃないかっていう可能性を常に考えたい。

――それが「次世代のスタンダード」をつくっていくということですね。

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第2話:日本での修業時代から見据えていたもの

 小学生の頃には、すでに料理人を志していたという岸田シェフ。そのきっかけとなったのは、幼少期の頃に家庭で行われた家族会議だった!?さらに中学生のときに、初めて食べたフランス料理に感激し、将来の夢をフランス料理人と定めた。専門学校を卒業すると、志摩観光ホテル【ラ・メール】にて、憧れの高橋料理長のもとでキャリアをスタート。料理人としての自分の立ち位置を客観的に捉え、いま自分に必要なこと、そしてそのためにかかる時間を逆算し、見据える目標を正確に達成していく姿勢は、そのときから変わっていない。

親からの「ありがとう」が嬉しくて

――子供の頃に料理はしていましたか。

岸田:していましたね。親が共働きだったので、帰ってくるのがすごく遅かったんですよ。それで、夕方6時頃に帰ってきて、晩ご飯は毎日8時頃。帰ってきてから料理をつくるのは、やっぱり親もすごく大変だったみたいです。それで家族会議を開きまして「みんな手伝ってくんなきゃ、もうご飯は出せません」みたいなことを言われて(笑)。で、みんな手伝いましょうみたいな感じでスタート。兄弟のなかで僕だけが料理にすごく興味をもったのが、親はすごく嬉しかったみたいですね。いつも「ありがとう」と言われてました。子供が大人にお礼を言われるってなかなかないじゃないですか。僕もすごく嬉しくて、それが料理を好きになった理由なのかなって思ったりもします。

【ラ・メール】高橋料理長に憧れた中学生時代

岸田:母親が料理の本がすごく好きで、色々な本を持っていたのですが、そのなかで勧められた本のなかに、志摩観光ホテル【ラ・メール】の高橋料理長が出ていたんです。中学生のときにそれを読んで、この人のもとで働きたいなと強く思ったんです。

――高橋料理長のどの辺に感じるものがあったんですか。

岸田:高橋さんは30歳で料理長に抜擢されると、ビーフシチューとかエビフライとか、それまでやってた料理を全部やめて、「今日から3万円のフランス料理をやります」と宣言して大成功させた。その時代、3万円という超高額のコースの店を地方で成功させたというのは、やはり彼の意識の高さだと思います。僕はもう三重県の食材しか使いませんと言って。地元に牡蠣の養殖場があれば、美味しくするためにまず森の美化に力を入れる、そういう方なんです。すごくレベルが高いなと思いました。

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ゲストプロフィール

    物事を突き詰めて考えるストイックさが、より高みを目指す岸田シェフの料理を進化させているのだろう。論理的な口調からもその哲学が伝わってくる。

    物事を突き詰めて考えるストイックさが、より高みを目指す岸田シェフの料理を進化させているのだろう。論理的な口調からもその哲学が伝わってくる。

【Quintessence】 岸田 周三 氏

1974年生まれ、愛知県出身。高校卒業後、三重県志摩観光ホテル【ラ・メール】、東京都渋谷区【カーエム】を経て渡仏。数々の名店で研鑽を積み、パリの三ツ星【アストランス】ではパスカル・バルボ氏に師事、スーシェフまで務める。2006年に帰国、【レストラン カンテサンス】を立ち上げ、2007年、『ミシュランガイド東京』で三ツ星に輝く。以降、毎年連続して三ツ星を獲得、料理界を牽引するトップリーダー。

この記事を作った人

ヒトサラ編集部

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