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更新日:2019.12.27連載

深夜のカウンター飯は蜜の味 | 紳士が訪れるべき天満橋の名店【コッチャ】

深夜、紳士がひとりで食事をするためのすべての条件が揃うイタリアン・レストランの名店【COCCIA(コッチャ)】。大阪・天満橋の駅からすぐ近くにあり、ひっそりと看板を出しているのがいかにも紳士の隠れ家っぽく魅力的。そこで供される料理はどれも吟味されつくした素材と丁寧な料理スタイルで、食通を自任する向きにこそ、自分の舌で確かめてもらいたいハイレベルな店だ。

深夜のカウンター飯は蜜の味 | 紳士が訪れるべき天満橋の名店【コッチャ】

 大阪・天満橋の駅からすぐ。目立たぬ路地に控えめな看板を出しているイタリアン・レストラン【COCCIA(コッチャ)】。雑居ビル1階の奥まった場所にある扉を開けると、カウンター8席と、4~6名用のテーブルがひとつだけの、こぢんまりした空間が現れる。オーナーシェフの増田健二さんがひとりできりもりするこの店は、深夜、紳士がひとりで食事をするためのすべての条件が揃う名店だ。

多士済々な客層が集う、大阪のイタリアン・レストラン【コッチャ】

    シェフとの距離が近いこぢんまりした空間。一人飯を楽しむ紳士には、迷わず、店を一望できるカウンター席をおすすめする

    シェフとの距離が近いこぢんまりした空間。一人飯を楽しむ紳士には、迷わず、店を一望できるカウンター席をおすすめする

 比較的早い時間帯は付近のオフィスにつとめる会社員はもちろん、近くに住む家族連れ、ひとりでふらりと現れる常連など、多士済々な客層が集う。客を選ぶようなスカした雰囲気はみじんもなく、それぞれが自由なスタイルで食事を楽しんでいる。まさに街の食堂といった感のある店なのだが、そこで供される料理はどれも吟味されつくした素材と丁寧な料理スタイルで、食通を自任する向きにこそ、自分の舌で確かめてもらいたいほどハイレベルだ。

    ライブ感のあるウンター席で、料理を視覚でも楽しむことができる

    ライブ感のあるウンター席で、料理を視覚でも楽しむことができる

 そもそも、他人の評価を頼っていてはジェントルマンたり得ないのは、持ち物や装いに始まったことではない。食に関してもまた然り。未知の店はついついネットの評価を参考にしてしまいがちだが、自分のカンを磨くべく日々研鑽を摘んでいれば、店のたたずまいから、その良し悪しがおおよそ判断できてしまうものなのである。

 さて、紳士が【コッチャ】の扉を開くのは、客が一巡して、いっときの喧騒が去り、熱気を残した店の雰囲気を感じられる23時頃が適当だ。長いカウンターはどの位置も特等席であり、オーナーシェフの増田さんの動線は、グリルやフリーザー、バックヤードから取り出されるワインにいたるまで、カウンターの左右いっぱいに広がっている。テキパキと料理を仕上げ、サーブし、合間に洗い物を片付けるその所作は、見ていて飽きることがない。もちろん、客との無駄話など無用、シェフのリズムが一皿一皿に込められていくのがわかり、深夜レストランは、さながら客一人のためにオープンした、深夜劇場の趣となるのだ。

 この日の料理は、『山中さんちのトマトの冷製カッペリーニ』1300円。『自家製キターラ 蛤と浜名湖産生のり』1800円。『滋賀産稚鮎のフリット』6尾1200円など。稚鮎は、ほのかな苦みとラフな印象なれど、丁寧なフリットの衣の具合が、スプマンテのみならず赤ワインにも合う、苦味のイキが良い逸品だ。もちろん、どれもその日の仕入れ状況や季節によって提供できない場合もあるのでご留意を。

仕事帰りにひとり楽しむ、絶品イタリアン

    『山中さんちのトマトの冷製カッペリーニ』1,300円

    『山中さんちのトマトの冷製カッペリーニ』1,300円

    『自家製キターラ 蛤と浜名湖産生のり』1,800円

    『自家製キターラ 蛤と浜名湖産生のり』1,800円

    『滋賀産稚鮎のフリット』6尾 1,200円

    『滋賀産稚鮎のフリット』6尾 1,200円

 シェフの増田さんは、大阪のイタリアン・レストランの名店、【トラットリア パッパ】の松本喜宏シェフに師事し、のちに中央区淡路町の【ラ・ルーチェ】に移り、ここ天満橋で【コッチャ】を始めるまでの後半4年間は【ラ・ルーチェ】のオーナーシェフを務め、名声を不動のものにした。

【コッチャ】のような、あえて、こぢんまりした店を作るにあたっては、人を使ってレストランを経営するよりも、自分ひとりか、せいぜいもうひとりくらいで、気ままな店をやりたかったからだ、という。大繁華街のキタやミナミ、あるいは、堀江や福島などの洒落た店が集まるエリアを避け、天満橋に出した【コッチャ】だが、この辺りも、気の利いた店が点在し、落ち着いて食事のできる店が増えている、注目のエリアだ。

 オープン当時は午前5時まで店を開けていたが、現在はおおむね午前1時まで。ただし、24時以降は、客がいなければ閉めてしまうので、来店時には必ず電話を。

この記事を作った人

MEN'S Precious編集部

名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。

EDIT&WRITING :神山敦行

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