ヒトサラマガジンとは RSS

更新日:2023.09.19食トレンド

魅力的な中華料理店が集まる街、神楽坂に【エンジン】が新たにオープンさせた中華酒場【take】

石畳の路地が阿弥陀籤のように広がる情趣豊かな街、神楽坂。数多の飲食店が立ち並ぶこのエリアは、また、中華の街でもある。【龍朋】のような町中華の人気店から【梅香】、【芝蘭】といった四川料理の名店、そして【ジュウバー】などの中華酒場まで、個性溢れる店々がバラエティ豊かに揃っている。そんな中でまた一軒、気になる中華酒場が誕生した。

takeのかに玉

    take内観

    コの字カウンターは全9席

あの【エンジン】の2号店、と言えば、食指の動くグルマンも多いのではないだろうか。神楽坂のランドマークとも言える“毘沙門天善国寺”の真向かい、神楽坂通りに面したビルの2階で2023年2月にオープンした【take】がそれだ。

    take外観

    歓迎されているかのように暖かい光の漏れるガラス戸

硝子戸に【take】と書かれた扉を開ければオープンキッチンの店内は、飾り気のないこじんまりとした空間。それでいて不思議に心落ち着くのは、柔らかな照明の灯りと木の温もりが伝わるウッディな内装のせいだろうか。

    take内観

    カウンター席のほか、4名がけのテーブル席も設える

カウンターに腰をかけ、メニューに目をやれば、『蒸し鶏』、『叉焼』、『麻婆豆腐』などおなじみの中華料理に並び、『あじのなめろう』や『炙りしめ鯖』といった、およそ中華らしからぬ料理が記されている。

    take料理

    どの料理も小皿スタイルで、一人でもふらりと立ち寄りたい

ユニークな和のアレンジテイストは、なるほど、和の旬食材を用いた中華料理でお馴染みの【エンジン】を彷彿とさせる。「コースのみにしてしまった【エンジン】の代わりに、アラカルトでカジュアルに楽しめる店を作りたいと思ったんです。」と語るのは【エンジン】の松下和昌シェフ。店を任されたのは、松下シェフの元で6年間修業に励んだ阿部孟シェフだ。

    阿部シェフは1993年6月23日生まれの30歳。北海道で生まれ育つ

    阿部シェフは1993年6月23日生まれの30歳。北海道で生まれ育つ

阿部シェフが上京したのは24歳の時でしたが、ほどなく実家の中華料理店を手伝うことに。日々、店に立つうち、次第に料理への興味が湧いていったそうで、その後札幌のホテルを経て、憧れの東京へと向かい、【エンジン】の門戸を叩いた。

    take,阿部孟

    阿部シェフが【エンジン】に入ったきっかけは、たまたま求人広告で見かけたから。その偶然の縁が今に繋がっているのだという

「初めて【エンジン】のメニューを見た時は、何が何だかさっぱりわかりませんでした。自分が今まで見てきた中華料理とは、全く違っていたので。ただ、ただ、面白いなぁと思っていた。」という阿部シェフだが、共に厨房で働くうち、「こんなに自由にしていいものなんだ!」と考え直したのだとか。中華だからとその枠にガチガチに囚われることなく、和の食材や料理でも、どこかしらに中華のエッセンスを加えればいい。そう得心したという。

    take,あじのなめろう

    『あじのなめろう』900円

それゆえ、メニュー名だけ見れば、和食? と思う料理も、味付けは、きちんと中華に着地している。例えば、ご覧の『あじのなめろう』。本来は、味噌や大葉などと和える千葉房総の郷土料理だが、阿部シェフは、味噌の代わりに甜麺醤を使用。そこに、自家製辣油でアクセントをつけ、ネギ、大葉、みょうがと共に提供している。舐め味噌のような見た目同様、一箸口にすれば、思わず一杯飲みたくなること請け合い。ザ・酒のアテというべき一品だ。

    take,牛肉山椒コロッケ

    『牛肉 山椒コロッケ』800円

また、定番人気の『牛肉 山椒のコロッケ』も技あり一本! の佳品。中華料理店でコロッケというのも珍しいが、酒場と思えば違和感はない。見た目はノーマルなコロッケだが、こちらも味わいはチャイニーズ。紹興酒で煮込んだ牛バラ肉のスライスを具に、花椒をプラス。その微かな痺れと風味には、ビールや泡系のドリンクが合いそうだ。

    take,かに玉

    『毛蟹のかに玉』2,000円

一方、『炙りしめ鯖』や『毛蟹のかに玉』など【エンジン】の名物料理も抜かりなく踏襲。ことに『毛蟹のかに玉』は【take】でも評判のメニューで、毛蟹がたっぷり入るふわふわの蟹玉は、餡を上からかけない【エンジン】独自のスタイルだ。阿部シェフ曰く「毛蟹は、お店で丸ごと蒸したものを、手でほぐして使っています。」とのこと。下ごしらえの丁寧さも、安心できるおいしさの秘密だろう。

    take,焼売,餃子

    『焼売』550円(2個)、『餃子』700円(2個)

そのほか、『牛すじ煮込み』や『香味唐揚げ』(鶏の唐揚げ)等々、酒場の定番から『麻婆豆冨』のような中華の人気料理まで幅広くラインナップ。しかも、餃子、焼売は、一個からオーダーできるなど、1人でもいろいろ楽しめるスタイルもポイントが高い。

    take,ドリンク

    「好きに楽しめるようお酒はバラエティ豊かに揃えています。」と阿部シェフ

酒場ゆえ、当然、酒類も多種多様。甕だしの5年ものの紹興酒からシャンパンにナチュールワイン、そして日本酒に焼酎と一通りが揃っている。料理に合わせ、独自にペアリングしてみるのも一興だろう。ちなみにグラスワインは900円から、グラスシャンパンは1,300円から、日本酒は半合(660円~)からオーダーできる。

    take.醤油そば

    『醤油ソバ』550円

また、飲んだ後の食事なら、お椀サイズの『醤油そば』がいい。鶏ガラと豚の背骨をメインに、ネギ、生姜、セロリ、人参などの香味野菜と共に約4時間煮込んだスープがベースのあっさり系。具はたっぷりのネギのみのシンプルさは、〆の一杯には格好だ。

    take内観

    営業時間は二軒目利用にも嬉しい19:00から深夜2:00まで

メニューは、その時々で旬の食材を使った一皿が加わるそうで「自分がこんなつまみで飲みたいと思う料理をメニューに乗せています。」とは阿部シェフ。今どき、深夜2時までの営業時間も頼もしい限り。夜遅くには、近隣の料理人の姿も見かけることもしばしば。デイリーに通いたい一軒だ。

この記事を作った人

撮影/今井 裕治 取材・文/森脇 慶子

この記事に関連するエリア・タグ

編集部ピックアップ

週間ランキング(11/14~11/20)

エリアから探す