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更新日:2020.06.30グルメラボ

【中国料理 美虎(みゆ)】五十嵐美幸 ×燗酒師 水原将|コラボレーションレストラン「美燗(みかん)」

メディアにも数多く出演している【中国料理 美虎】の五十嵐美幸さんと、2020年4月に惜しくも閉店した燗酒専門店【燗酒Bar Gats】の店主・水原将さんが月に1度開催している中華料理と燗酒のコラボレーションレストラン「美燗(みかん)」をご紹介。和と中華の異色の組み合わせですが、そのおいしさに常に満席が続く人気ぶり。本日は、2020年3月にお伺いしたときの模様をお届けします。

【中華美虎】五十嵐美幸 ×【燗酒Bar Gats】水原将

稀代のコラボレーションレストラン「美燗(みかん)」

ポップアップレストランの名前は「美燗(みかん)」、住所は非公開。毎月7日間ほど開催され、SNSで事前予約を募れば開始から40秒で満席になることもある、中国料理と燗酒の人気コラボイベントです。

料理を担当するのは【中国料理 美虎】の五十嵐美幸さん、お酒を担当するのは渋谷の燗酒専門店【燗酒BAR Gats(閉店)】の燗酒師 水原将さん。双方根強いファンも多く、ここでしか味わえない貴重なペアリング体験できると毎回大盛況のイベントです。

    美燗の看板

    こちらは「美燗」のロゴ

今回は「お酢と燗酒で免疫力アップ」がテーマ。すべての料理にお酢を使った中国料理と、料理に合わせてその場でつくった練酒(ねりさけ)という異色の組み合わせ。「練酒」という言葉、初めて聞く方も多いと思いますが、江戸時代につくられていた日本酒のひとつで、乳酸発酵を主体としたペースト状のお酒のことをいいます。

「当時の酒造りは関西中心に行われていたので、東京に運ばれてくる前に品質が悪くなってしまうことが多かったそうです。そこで日本酒をおいしくするために、生姜や山椒、山芋などを混ぜ合わせて飲んでいたのが練酒の始まりみたいです」と水原さん。

今では失われた技術の一つではありますが、日本酒の発酵と野菜が一緒になることで「酵素」が生まれ、栄養価が高く喜ばれていたそうです。また、お酢も体に良いとよく聞きますが、中々多く取り入れるのが難しい調味料。ですが、五十嵐さんはそのお酢をおいしく、そして自然に味わえるようにと、「お酢のお刺身」や「シャーベット」などに姿を変えて提供してくださいます。

    『生姜の酢漬けのシャーベット』×「天青」赤パプリカ、トマト、いちごの練酒

    『生姜の酢漬けのシャーベット』×「天青」赤パプリカ、トマト、いちごの練酒

そんな稀代のコラボレーションで生み出された、お料理と燗酒をご紹介します!

酢と燗酒で免疫力アップ! 特別コース

一品目は刺身こんにゃくをイメージした「お酢のお刺身」。 お酢特有のツーンとした酸味はなく、トッピングの筍やそら豆といった春野菜とも相性が良かったです。また、紹興酒に漬けたホタルイカは山椒のソースをつけ、キュウリと大葉の練酒と一緒に食べると、爽やかな味が口の中で広がります。

    『お酢の刺身 春野菜トッピング』×「しぜんしゅ めろん」キュウリ、大葉の練酒

    『お酢の刺身 春野菜トッピング』×「しぜんしゅ めろん」キュウリ、大葉の練酒

また、『揚げ豆腐の蟹あんかけ』では、トッピングのスターフルーツが酢漬けに! まるでピクルスのような味わいで、蟹の甘さや柔らかい食感に酸味がアクセントになっていました。

    『揚げ豆腐の蟹あんかけ』と×「しぜんしゅ にごり&甘酒」白菜と山伏茸、じゃがいもの練酒

    『揚げ豆腐の蟹あんかけ』と×「しぜんしゅ にごり&甘酒」白菜、山伏茸、じゃがいもの練酒

続いて登場したのは『ふきのとうのフライドチキン』! 春野菜特有の苦みや風味、そして揚げたてサクサクの食感がたまらない一品。お酒は、酸が強い「舞美人」にパプリカや人参、かぼちゃを練ってから濾して合わせおり、口の中で合わさるとマスタードのような味わいになりました。野菜のえぐみは全くなく、むしろ数種類の食材が一緒になることで味の深みが増し、さらにお酒と一緒に味わうことで、一品また違う味わいへと変化する、そんな楽しさを感じられました。

    『ふきのとうのフライドチキン』×「舞美人 sanQ(サンキュー)」パプリカ、人参、かぼちゃの練酒

    『ふきのとうのフライドチキン』×「舞美人 sanQ(サンキュー)」パプリカ、人参、かぼちゃの練酒

実際にお酢を料理として食べてみると、自然とおいしく食べることができ、また中華&燗酒の相性の良さにも驚きました。また、今回使われた日本酒は全て純米酒のため、吸収する際に体に負担をかけることなく、気持ちのいい時間を過ごすことができました。

    しぜんしゅのめろん、にごり、舞美人、十旭日、伊根満開、天青

    ペアリングで使われた日本酒のラインナップ

イベントについてインタビュー

そして、今回は特別に五十嵐シェフと水原さんに「美燗」についてインタビューをさせていただきました!

――料理のジャンルが異なる二人が出会ったきっかけはなんですか?

水原さん

水原さん

お客さんから「コラボしてほしいシェフがいる!」って言われて、シェフの名前を聞いたら五十嵐さんだっだんです。「いや、知ってるよ。超有名人やん!会いたい!」ってなって、お客さんを介して連絡を取り合うようになりました。

五十嵐さん

五十嵐さん

私は相手に気を使わないといけないことが、自分の力を落とすことになると思って、ほとんどコラボをしないんです。でも、「今までにない燗酒をつける人がいる!」って聞いて、気になって旦那さんに打ち合わせに行ってもらったんです。そしたら、すごい笑顔で帰ってきて「最高な人だったよ!」って(笑)。それでコラボしようと思いました。

――元々、五十嵐さんは日本酒があまり好みではなかったとお聞きしましたが……

五十嵐さん

五十嵐さん

地方の接待で日本酒を飲んだりすると、二日酔いになることが多くて。でも、水原さんがつくったお酒は二日酔いになることもなく、はじめて日本酒のおいしさを知りました!って言ってもオープン当日の2時間前が初めての顔合わせだったんですがね(笑)

水原さん

水原さん

しかも、初回もメニューを事前に伝えただけで、五十嵐さんの料理は食べてないんです。だからこそ、お互いやりたいように料理を作って気持ちよかったです。すごい音楽的で一流ミュージシャンとセッションしているみたいでした。

――え、水原さんは事前に料理を試食せずにお酒を合わせているのですか?

水原さん

水原さん

はい。お互いが持つペアリングのテーマを知らないほうが、自由に表現が出来てかえっていいんです。

五十嵐シェフ

五十嵐シェフ

そうなんです。毎回驚くんですが、試食していないのに料理にぴったりな燗酒をつくってくれるんですよ!

水原さん

水原さん

今回、練酒を作るために野菜をキッチンにいっぱい持ってきたときは、五十嵐シェフになにすんの?!って驚かれましたけどね(笑)

――お互いにテーマをしっかりもっているからこそ、良いものが出来上がるのですね。それを感覚でできてしまうのがすごいです! 最後に、今後の「美燗」について想いをお聞かせください。

五十嵐さん

五十嵐さん

水原さんがつける日本酒のおいしさと美しさをいろんな人に伝えていきたいと思って、毎月の開催にしました。お互い無理することなく、おいしい料理を皆様にお届けしたいです。

水原さん

水原さん

これからも多くの人に「美燗」のペアリングを楽しんでもらいたいです。五十嵐さんの料理を2倍3倍にできるのが、今の僕のモチベーションです!

コロナの影響もあり、4~6月は開催できませんでしたが、7月よりイベントが再開します。 次回のコーステーマは行ってからのお楽しみ! 気になる方はぜひチェックしてみてください。

この記事を作った人

取材・文/福島 美歩(ヒトサラ編集部)

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