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更新日:2020.06.26食トレンド 旅グルメ

この夏、旅行気分を味わうならホテルレストランがおすすめ!「アマン京都」【ザ・リビング パビリオン by アマン】

今年の夏休みは、自粛ムードもあり、1泊2日のショートステイで。または、日帰りでちょっと旅気分を味わいたい、そんな方も多いのでは? 短時間でも旅気分を味わえるオススメは、ラグジュアリーホテルでのランチ。「アマン京都」の【ザ・リビング パビリオン by アマン】は、そんな気分にぴったりの場所。鷹峯にひっそりと建つホテルのオールデイダイニングは、まさにパスポートのいらない異国のレストランだった。

アマン京都

緑に囲まれた森の一軒家で異国へトリップ!
【ザ・リビング パビリオン by アマン】

京都駅からタクシーに乗り、北へ向かう。二条城を超えて、北野天満宮あたりになるとグッと緑が多く落ち着いた雰囲気に変わってくる。そこからさらに北に向かい、鷹峯エリアの細い山道に入ってしばらく行くと、古めかしい大きな門に到着した。

タクシーを降りるとホテルスタッフがにこやかに迎えにきてくれる。緑の香りが溶け込んだ空気を胸いっぱいに吸うと、さっきまでの喧騒の記憶は嘘みたいにどこかに消えていった。

約2万4000平方メートルの山に囲まれた【アマン京都】は、一歩足を踏み入れれば風のそよぐ音と鳥の鳴き声しかしない。敷地内は山紅葉や糸杉などの木々が森を作り、清らかな水が湧く。歩くだけで、なんだかいい”気”に包まれる。

    宿泊棟へ続く、敷地内の通路

    宿泊棟へ続く、敷地内の通路

【ザ・リビング パビリオン by アマン】は門から少し入ったところに建つ一軒家レストラン。扉に続く足元を見ると、見たこともないような大きな丹波の敷石が並び、奥の宿泊棟へまっすぐ伸びている。上を見ると石垣の上に別の宿泊棟が。石垣はいい感じに苔むしており、さながらバリ島かどこかの遺跡を思い出させる。

実はここ、もともとは石のコレクターだった西陣の機屋さんが美術館を作ろうとして、なんと40年もの間コツコツと石を組み、造成した場所だったという。その見事な庭にアマンが出会ったのが約20年前のこと。そこから宿泊施設を作るために粘り強く規制の厳しい京都の行政と交渉を重ね、妥協せずに理想郷を作り、ようやく2019年にオープンしたのだというから凄い。

この長年の歳月が、いい意味で自然と敷地を一体化し、緑と石が熟成して一つの景観を作ったかのような独特の雰囲気を醸し出している。この時間がつくった景色を眺めながらランチを食べられるなんて、なんて贅沢なんだろう。

    中央に暖炉を配したコージーな店内

    中央に暖炉を配したコージーな店内

レストランに足を踏み入れると、宿泊客であろう外国人ゲストがちらほらくつろいでいる姿が見える。暖炉を囲みゆったりと配されたテーブル席につくと、もはや日本にいることすら忘れてしまう。

メニューを開き、迷った挙句にスペシャリテの『フィッシュ&チップス』があるテイスティングメニューを注文した。

ここ、【ザ・リビング パビリオン by アマン】は料理人として世界中で腕をふるってきた鳥居健太郎氏が総料理長を務める。イノベイティブ料理を提供するオールデイダイニングで、メニューを見ると、この『フィッシュ&チップス』をはじめ、ジャンルを超えた独創的な料理が登場する。

    昼のテイスティングメニューより『アマン京都 フィッシュ アンド チップス蕪のピクルス』

    昼のテイスティングメニューより『アマン京都 フィッシュ アンド チップス蕪のピクルス』

鳥居シェフは、料理学校を卒業後、イタリアで修行したのち、フランス、スペイン、ハワイなどを周り、シンガポールで2年半イタリア料理を複数経営するレストランで料理長に就任。その後、ロンドンのレストランの料理長としてヘッドハンティングされて渡英した。そこのレストランで働いている時に、アマンの料飲部最高責任者からスカウトされて京都の総料理長に就任したという経歴の持ち主だ。

海外生活を16年経て帰国。日本人でありながら、外国人的なの嗜好や考え方も持っていることが、海外のゲストが多いホテルレストランでは役立つという。また、一度外に出たからこそ感じる日本の素晴らしさを、どう表現したらいいか日々考えることが楽しいそう。

「例えばこのスペシャリテのフィッシュ&チップスですが、ロンドンを代表するスナックです。これは鮮魚をカダイフで巻いて揚げています。いわば京都の食材を生かしたフィッシュ&チップスの再構築。海外の方には親近感を持ってもらいつつ、日本の人にも面白いと思っていただけるのではないかと考えました」

    料理の専門学校を卒業して、すぐにイタリアへ飛んだ鳥居健太郎シェフ。はじめて京都に住み、新たな食材との出会いを日々楽しんでいる

    料理の専門学校を卒業して、すぐにイタリアへ飛んだ鳥居健太郎シェフ。はじめて京都に住み、新たな食材との出会いを日々楽しんでいる

レストランのテーマは「Land to Table」。鳥居シェフがそのおいしさに感動したという、四季折々の京都近郊の食材の魅力を引き出し、食卓へ届けることそのものを言葉にした。

この日の〆に登場した『伊勢海老とこばたけのお米のリゾピラフ」は、京都ならではの海老芋が炊き込まれたピラフに、伊勢海老の身といくらを乗せて、伊勢海老でとったビスクで途中からリゾットにして楽しむというもの。ちらし寿司を彷彿とさせるようなピラフは、日本人はもちろん、海外の人も喜ぶようなヴィジュアル。もちろん見た目だけでなく、お味も濃厚で食べ応え抜群だった。

    『伊勢海老とこばたけのお米のリゾピラフ 海老芋 いくら ビスク』

    『伊勢海老とこばたけのお米のリゾピラフ 海老芋 いくら ビスク』

コースも終盤に差し掛かった頃、「デザートは外で召し上がりませんか?」と声をかけていただき、外のテラスに出てみた。居心地の良さそうなソファ席もいいが、森全体を見渡せるようなテーブル席をチョイス。「お待たせしました」という声とともに登場したのは、周りの緑に溶け込むような可愛い緑色のパフェ。上品な甘さに炊かれた丹波黒豆に、山政小山園の抹茶をふんだんに使った葛やクリーム、ラング・ド・シャなどをバランスよく組み立てている。これぞ京都ならではのパフェだ。お腹いっぱいでもペロリと入る絶妙な量も嬉しい。

京都の食材をふんだんに使った独創的な料理を堪能し、テラスでスイーツを食べながらくつろぐ。気がつけば、あっという間に2時間半が経っていた。

    【ザ・リビング パビリオン by アマン】のテラス席

    【ザ・リビング パビリオン by アマン】のテラス席

    抹茶をふんだんに使ったパフェ

    抹茶をふんだんに使ったパフェ

京都・洛北の山の中にひっそりと建つ、【アマン京都】はまさにパスポートのいらない異国のハイダウェイ・リゾート。宿泊せずとも訪れることができる【ザ・リビング パビリオン by アマン】でランチをゆっくり楽しめば、存分に旅気分を味わうことができる。山のパワーがみなぎる空気に包まれ、ここにしかない自由で独創的な料理を食べたら、コロナ自粛で疲れてしまった体も元気になるに違いない。

ふと気がつけば、訪れた時には高かったお日様も、傾いてきた。パワースポットというのは時間がたつのもあっという間なのかもしれない。私もまた、パワーチャージしに訪れよう。

撮影:吉田祥平

ザ・リビング パビリオン by アマン

  • 住所:京都府京都市北区大北山鷲峯町1
    電話番号:075-496-1335
    *ランチのTasting Menu ¥8,000〜
    *ランチもディナーも事前予約を

この記事を作った人

山路美佐(ヒトサラ副編集長)

幼少時代から筋金入りの食いしん坊。丸の内の総合商社に入社するも食への探究心を抑えきれず退職しイタリアに短期料理研修の旅に出る。帰国後世界文化社に入社し「家庭画報」ほかの雑誌で食・旅・アートの編集を担当。美味探求の旅は30カ国以上にのぼる

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