バイキング発祥の帝国ホテルが提案する。Withコロナ時代のバイキングのニューノーマル【サール】を徹底取材
前菜からデザートまで、ずらりと並ぶお料理の数々。好きなものを好きなだけ楽しめる”バイキング”は実は帝国ホテルが発祥だということをご存知だろうか!? 老若男女誰もが楽しめると人気のバイキングスタイルも今、新型コロナウイルスにより、続々とクローズしたり業態を変更したりしている現状が。その中で、元祖の帝国ホテルがWith コロナ時代のバイキング・ニューノーマルを提案。安心安全、そしてよりパワーアップしたバインキングとは? 早速【サール】を取材した。
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安心で楽しくて地球にも優しい。バイキングのニューノーマルとは?
注文はタブレット!好きなものを席でオーダー
目の前で、料理を仕上げてくれる臨場感
カクテルも好みでオーダーできるバーステーションが登場
安心で楽しくて、地球にも優しいバイキングのニューノーマルとは?
ずらりと並んだご馳走を、好きなだけ食べられる。そんなワクワク感を老若男女ともに味わえるのがバイキングの醍醐味だ。実はこのバイキングというレストランのスタイルは1958年に帝国ホテルで誕生したことをご存知だろうか。
当時、帝国ホテルの社長犬丸徹三氏は、魚や肉料理などの好みのものを自由に食べるスカンジナビア伝統料理”スモーガスボード”のような新しいスタイルのレストランをホテルに作りたいと熱望していた。そのスタイルを研究するようにと命を受けた、村上信夫氏(のちの第11代料理長)はコペンハーゲンに飛び、様々なホテルやレストランで料理を学び帰国。こうして、燻製料理や、豚肉や仔牛肉の塩漬けなどの北欧料理を自由に楽しめるスタイルの日本初の”バイキング”レストランが誕生した。高級志向でありながら、好きなものを好きなだけ食べられるという夢のようなスタイルは大人気になり、ことのほかたくさん食べる有名アスリートが多く来店したそうだ。
ちなみに ”バイキング”という名称は、開店当時話題の海賊映画『バイキング』から着想を得たものだという。北欧と海賊という料理のルーツと豪快さのイメージがピタリと重なった。そしてこの”バイキング”スタイルが全国に広まっていったのだ。
席に着くと、まず帝国ホテル伝統の、タブルビーフコンソメがひと口登場。続いて、オードブルスタンドが。好きなお酒とともにつまみながら、ブフェで何を食べようか思案するのも楽しい
しかし、この、バイキングならではの醍醐味である山盛りに盛られた料理を、不特定多数がトングで好きなだけ取るスタイルは、臨場感と引き換えに今回の新型コロナウイルス感染拡大のような事態には向いていない。事実、今回の問題で、このブフェスタイルをやめるホテルやレストランが増えた。不特定多数がトングに触ったり、カバーがされていな料理への飛沫感染などを解消できずに、やむを得ない判断だったのだろう。
帝国ホテルの【サール】では、こうした問題を解消し、さらに長年営業してきて見えてきた問題点ーブフェ台に残る料理の廃棄や、海洋資源の危機などーをクリアして、バイキングのニューノーマルについて考えるべきだと、いち早く動いた。
そして、①ブフェ台の料理はケース内に並べる ②タブレットによるオーダー ③”環境に配慮している”と認定された魚の使用など、今までにないスタイルを取り入れ、新生【サール】として8月1日にリニューアルオープンしたのだ。
注文はタブレット!好きなものを席でオーダー
どんなものが食べられるかは、タブレットで一覧になって表示されている。ここからオーダーすればできたてを席まで運んできてくれる。
バイキングのニューノーマルとして新しく導入された筆頭がタブレットだ。ゲストは好きなものを好きなだけ、タブレットでオーダーすることで密を回避。また、タブレットで注文して席で友人と話をしている間に、ホテルスタッフができたてをサーブしてくれるから、ブフェ台で待つ時間もない。安全安心を確保するためにも、ゲスト自らが取りに行くのでなく、好きなものをスタッフが運ぶという形に発想を転換。席を立つことなく自分のためだけに作られたできたての料理をいただける贅沢な体験ができる。もちろん、店内のブフェ台は健在。ブフェ台で用意されているケースに入った色とりどりの料理を見ながら、その場で注文する楽しさも無くなってはいない。
このシステムは、必要なものを必要なだけ調理するため、フードロスにも繋がる。バイキングのニューノーマルはゲストにも環境にも優しいのだ。
目の前で、料理を仕上げてくれる臨場感
とある日のメニュー「アスパラガスとトリュフのリゾット」。帝国ホテル東京料理長・杉本雄氏監修のメニュー
目の前で仕上げられる料理の立ち上る香りに調理風景を見る楽しさ。人々のさざめき。そんな「五感で楽しめる」レストラン体験もまた、バイキングの魅力だ。
より、そうしたエッセンスを楽しんで欲しいと、いくつかの料理は、ワゴンサービスを行なっている。例えば、リゾット。グツグツと炊き上がったアツアツのものが鍋ごと運ばれ、ゲストの前でトリュフをスライスして提供。立ち上るトリュフの香りに思わず顔がほころぶ。今までのバイキングではなかった、ゲスト一人一人のためにできたての臨場感を届けるのも、新生【サール】ならではの贅沢だ。
一人分ずつ取り分けられた『アクアパッツァ』。魚介の旨味がしっかりと溶け込んだスープも一滴残らず飲み干したい
そして、今までの【サール】の名物ローストビーフや、エスカルゴのパイ包みなどに加えて、新しくスペシャリテになりそうな予感がする料理が魚介をふんだんに使った『真鯛のアクアパッツァ』だ。ここには大切なメッセージが込められている。使っている魚は環境に配慮した方法で養殖されたもの。一度に使う食材も多いホテルバイキングの現場で、海の資源を守る積極的な取り組みをはじめたのだ。もちろん、こうした考え方だけを押し付けるのではない。様々な魚介の凝縮したうまみを、オリーブオイルと塩だけの調理で引き立たせた一品は、文句なくおいしい。軽やかなご馳走として人気の一品となっている。
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技の見せ所、帝国ホテル名物『フルーツ・ジュビリー』
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夏のフルーツは、マンゴー
さらに忘れてはならないのが、目の前で仕上げてくれる、帝国ホテル伝統のデザート『フルーツ・ジュビリー』。ゲストの目の前にワゴンを運び、その場で季節の果物をカットするところからスタート。その果物をフランベし、温かく熱した果汁たっぷりのソースと冷たいアイスクリームと合わせる一品だ。こうした目の前で仕上げるデザートは、確かなサービスマンの腕があってこそ。今ではあまりお目にかかることができなくなったクラシックな伝統にも触れられることができるのも、格式ある帝国ホテルならではだろう。
カクテルも好みでオーダーできるバーステーションが登場
ディナータイムはバーステーションをぜひ利用して。相談の上、好みのカクテルをその場で作ってくれる
ディナータイムにぜひ楽しんで欲しいのが、常設のバーステーション。バーテンダーが立ち、ゲストの好みに合わせてカクテルを作ってくれる。もちろんアルコールが弱い人には、ノンアルコールで対応可能だ。ソムリエセレクトのワインもグラスで揃い、スタッフが料理にあうものを気軽に相談に乗ってくれる。
バイキング、というとファミリーや女性グループでわいわいお得に楽しむというイメージが強い。しかし、新しく生まれ変わったサールは、ホテルの格式を感じつつ、臨場感も味わえる、大人が心から食事を楽しめるバイキングなのだ。
バイキング発祥のレストランが提案する、令和から始まるバイキングのニューノーマルに今や業界が注目している。ゲストにも地球にも優しくて楽しいこのスタイルは、これからの日本におけるバイキングの新たなスタンダードになる日も近いかもしれない。
【インペリアルバイキング サール】店舗情報
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住所:東京都千代田区内幸町1-1-1 帝国ホテル本館17階
電話番号:03-3539-8187
営業時間:昼食 11:00~15:00(閉店) 夕食 17:30~22:00(閉店)
※予約時間毎の入場の人数を制限しています。詳しくはお店にお問合せを
定休日 毎週火曜日・水曜日(祝日は営業)
撮影/久間昌史 取材・文/山路美佐(ヒトサラ副編集長)
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