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更新日:2021.05.28食トレンド

黒毛和牛の魅力を360°楽しめる肉割烹【岡田前】東京・麻布十番|ニュースな新店

店主自らがゲストの目の前で作り上げる、臨場感溢れる料理。店の中心に据えられたチャコールオーブンで焼き上げられる豪快なステーキ。そして最後に手渡される驚きのお土産まで、徹頭徹尾、黒毛和牛の魅力を引き出した世界が楽しめるのがここ【岡田前】だ。新しい黒毛和牛の世界に出会うため、いざ、グルマンたちが酔いしれる岡田劇場へ!

黒毛和牛の魅力を360°楽しめる肉割烹【岡田前】東京・麻布十番|ニュースな新店

タルタルからメンチカツ、ステーキからユッケまで!黒毛和牛のめくるめく世界

料理長を務めた前職の焼肉レストランで、カウンター越しにゲストの目の前で和牛を調理。次々に繰り出される多彩な料理とその臨場感溢れるパフォーマンスが評判を呼び、かぶりつきのカウンター席を希望する常連客が続出。いつしか“岡田前”と呼ばれるようになったこのプラチナシートの名を、そのまま店名に冠したのが、ここ。今年の2月、バレンタインデーにオープンした麻布十番の肉割烹【岡田前】だ。

    麻布十番商店街の新しいビルの地下。今年2月14日にオープンしたばかりながら、早くも連日満席の賑わいぶりだ。

    麻布十番商店街の新しいビルの地下。今年2月14日にオープンしたばかりながら、早くも連日満席の賑わいぶりだ。

「和牛は日本が世界に誇る食文化。ここではその魅力を存分に味わってもらうと共に、和牛ならではの美味しさを広めたい。」こう熱く語るのは、その“岡田前”の当事者こと岡田賢一郎シェフ。知る人ぞ知る肉のスペシャリストだ。高校時代、アルバイトで入った焼肉店に心惹かれ、一旦は電気屋に就職するも焼肉店へとリターン。飲食の世界一筋30有余年。齢56にしての新境地は、ある意味、料理人生の集大成ともいえるのかもしれない。

    コースに登場する肉は、日によって変わるが、日本三大牛が中心。写真は、神戸牛のサーロイン(下)、松阪牛のイチボ(右上)、熊本産黒毛和牛のタン

    コースに登場する肉は、日によって変わるが、日本三大牛が中心。写真は、神戸牛のサーロイン(下)、松阪牛のイチボ(右上)、熊本産黒毛和牛のタン

イクラがたっぷり載ったコンソメフランから始まるおまかせのコースでは、締めの手打ちそばやデザートに至るまで約13~14品が登場。その中には、ステーキはもちろんタルタルやユッケ、メンチカツにすきやきetc.。和牛料理が目白押し。それも「和牛料理の可能性を追求したい、和牛のいろいろな部位を様々な調理法で楽しんで貰えればー。」との岡田シェフの思いゆえ。

    オーナーシェフの岡田賢一郎さん、56歳。「鮨職人のようにお客様とコミニュケーションを大切にしながら、美味しい和牛料理を提供していきたい。」と意欲的に語る。

    オーナーシェフの岡田賢一郎さん、56歳。「鮨職人のようにお客様とコミニュケーションを大切にしながら、美味しい和牛料理を提供していきたい。」と意欲的に語る。

例えば、名物のタルタルとユッケ。一見、似たり寄ったりの生肉料理のように思えるが、岡田シェフの手にかかれば、全くニュアンスの違った一品となる。カリッと焼いたバケットにのせられたタルタルは、とろける美味しさを味わって欲しいとの思いから霜降りのサーロイン(取材日は神戸牛)を使用。これを細かく刻み、ブルーチーズや食用花のペンタス等々を混ぜたそれは、ワインを呼ぶ大人の味わいだ。

    コースの前半に登場する『タルタル』は、ブルスケッタスタイルにバケットにのってお目見え。サーロインを細かく刻み、オリーブオイルやブルーチーズ、などを混ぜている。

    コースの前半に登場する『タルタル』は、ブルスケッタスタイルにバケットにのってお目見え。サーロインを細かく刻み、オリーブオイルやブルーチーズ、などを混ぜている。

一方、ユッケはご飯の友。こちらは赤身系の肉を用い(取材日は松阪牛のイチボ)、しっかりとした食感を楽しめるようにと細切りにし、やや甘辛のタレとあえている。これを白飯に乗せ、これでもか!と言わんばかりにキャビアをトッピング。焼肉店定番のユッケも、ここでは、ラグジュアリー感を纏いスペシャリテにふさわしい一皿となっている。

    岡田シェフのスペシャリテ一つ『ユッケご飯』。こちらは赤身系の肉を細切りにし、甘辛のタレで和えている。土鍋で炊きたてのご飯は、新潟魚沼のコシヒカリ。ほんの少し加えた卵黄が隠れた味のまとめ役になっている。

    岡田シェフのスペシャリテ一つ『ユッケご飯』。こちらは赤身系の肉を細切りにし、甘辛のタレで和えている。土鍋で炊きたてのご飯は、新潟魚沼のコシヒカリ。ほんの少し加えた卵黄が隠れた味のまとめ役になっている。

贅沢な味といえば、和牛の舌を丸ごと目の前で捌く牛タンも見逃せない。タン元の太い部分を、タン刺しと炭火焼の2つの調理法で表現。タン刺しは、心持ち薄めにスライスしてトリュフと共に仕立てる一方、炭火焼きの方は厚めにカット。焼きたてにかぶりつけば、牛タンならではのサクリとした歯応えも心地よく、香ばしさを伴った肉汁が舌を潤す。鼻に抜ける独特の風味がまた格別だ。

    『タン刺し』にはトリュフ。トリュフの産地は季節で変わり、取材日はブルガリアのトリュフを皮を剥いて使用。能登のお塩またはポン酢に山葵を添えて

    『タン刺し』にはトリュフ。トリュフの産地は季節で変わり、取材日はブルガリアのトリュフを皮を剥いて使用。能登のお塩またはポン酢に山葵を添えて

密やかなムードが漂う店内でひときわ目を引くのは店内中央に設えた大きなチャコールオーブンの「ジョスパー」。スペインのレストランでは、古くから愛用されているそうで、500℃にもなる高温で、肉を一気に焼きあげられる優れものだとか。このチャコールオーブンを中心に、左右にカウンター席が8席づつ用意されている。ここで、文字通り岡田シェフが、時間差で左右のカウンターに立ち、ゲストの目の前で肉を捌き、切り分け、盛り付けてサービス。臨場感溢れるその一連のパフォーマンスを見ているだけで、次第に気分が高揚してくる。

    スペイン直輸入のチャコールオーブン“ジョスパー”。炭は、火力の最も強いウバメカシの紀州備長炭を使用。日々、理想の焼きあがりを目指し、精進している。

    スペイン直輸入のチャコールオーブン“ジョスパー”。炭は、火力の最も強いウバメカシの紀州備長炭を使用。日々、理想の焼きあがりを目指し、精進している。

そして、ハイライトは、やはりステーキ。サーロインとヒレ、或いは腿肉やランプというように霜降り系と赤身系の異なる2種の部位を楽しめるのも、肉ラバーには嬉しい限りだ。肉は主に、松阪牛、近江牛、神戸ビーフの3種類を厳選。食後感が重くならぬよう、あえてサシが控えめなランクを選んでいるそうだ。とはいえ、否、だからだろうか、肉の味が強いのだ。5cmほどの厚さで焼く塊肉は、最初は炭が直接当たらない場所でゆっくりと火を入れ、遠赤外線効果で中に熱が通ってきたところで今度は炭火にかざし、3~4回出し入れしながら肉を休ませつつ焼きあげていく。

  • サクッとした歯応えと溢れ出る肉汁に目を見張らされる牛タンステーキ

    サクッとした歯応えと溢れ出る肉汁に目を見張らされる牛タンステーキ

  • 肉の旨味が噛み締めるほどに広がる神戸牛のサーロインステーキ

    肉の旨味が噛み締めるほどに広がる神戸牛のサーロインステーキ

茶褐色の焼き色もシズル感たっぷりのサーロインは、周りの香ばしさに対し、中はしっとりと潤いを帯びた真紅色。和牛なればこその甘やかな芳香が胃袋を魅了する。口にすれば、口中にじんわり沁み通る肉汁の味の濃さに心奪われるはずだ。サーロインでありながら、いわゆる“とろけるように柔らかな美味しさ”ではなく、適度な歯応えを兼ね備え、噛み締めるほどに肉本来の力強い旨味が印象的だ。

    お土産の『ローストビーフサンド』。ローストビーフは、もも肉を使ったもちろん自家製。パンは、メゾンカイザー謹製とあればお味の方は保障付き。山葵マヨネーズが効いている。

    お土産の『ローストビーフサンド』。ローストビーフは、もも肉を使ったもちろん自家製。パンは、メゾンカイザー謹製とあればお味の方は保障付き。山葵マヨネーズが効いている。

この他、揚げたてアツアツのメンチカツに生うにをたっぷりのせた通称『うにメンチ』も人気の一品。聞けば、コースを一通り食べたところで、1人あたりおよそ350g余りもの牛肉を胃袋に収めたことになるのだとか。しかし、お楽しみはまだ終わらない。岡田前謹製『ローストビーフサンド』と『タンシチュー』が、もれなくお土産に付いてくるのだ。最後のお楽しみは、自宅でご家族と一緒にどうぞという配慮も気が利いている。

この記事を作った人

撮影/岡本 裕介 取材・文/森脇慶子

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