すべての食いしん坊が満足する、自由でおおらかなイタリアン|【BRIANZA TOKYO(ブリアンツァ東京)】大手町
人気イタリア料理【ラ・ブリアンツァ】の奥野義幸シェフが手がける大型レストラン【BRIANZA TOKYO(ブリアンツァ・トーキョー)】が、東京・大手町に登場。一人でも、友人とでも、会社の同僚とでも、誰といっても肩肘張らずに、おいしいものに出会えるイタリアンと話題を集めている。“ウエルネス”をキーワードに、ヴィーガン料理や、ヘルシーな料理、糖質制限中でも食べられるパスタがあるのも嬉しい! 時代にフィットした新店の全容をご紹介。
風の時代に登場した、愛に溢れる新しいイタリア料理店
突然だけれど、告白させて欲しい。
最近、藤井 風に(遅ればせながら)ハマっている。
昭和生まれの私でも思わずノってしまう、どこか懐かしい楽曲に魅せられ数カ月。さらに9月4日に日産スタジアムでおこなわれた無観客LIVEを見て、すっかり沼にハマりました。はい。
広いスタジアムの真ん中に、グランドピアノが一台。Tシャツにジーンズ姿で、ビーサン履いてたった一人で雨の中ピアノを弾いて歌う。流暢な英語と岡山弁で、楽しげに話しながら、歌う。途中、”いっしょにお昼寝しよう”といって、雨の芝生の上で寝っ転がる。いや、自由すぎでしょ!と言っちゃうライブだったけれど、なんだか心のヨガをしているみたい。見終わったあとの心の浄化感に感極まったほどだ。
華美な演出も、華麗な衣装も、クールな映像もバックバンドも無い。けれど、自由でピュアで、嘘のない魂の歌、世代も国境も超えて包み込む優しい世界は、巷に溢れている陳腐な物語や、うわべだけの美しさや、虚栄心の繋がりを、全部滑稽に見せてしまう破壊力を持つ。
藤井 風は、風の時代に現れた天使だ。……すみません。アツく語りすぎました。
オーナーシェフの奥野義幸さん
さて、前置きが長くなったけれど、なぜこんな話をしたのか。それは先日、まさにこの藤井 風に感じた思いにシンクロするような店に出会ったから。それが【BRIANZA TOKYO(ブリアンツァ トーキョー)】だ。
ここは、六本木ヒルズにある人気イタリア料理店【ラ・ブリアンツァ】を営むシェフ、奥野義幸さんの5店舗目となる店。大手町からすぐの場所に建つ新しいビルの中に誕生した、なんと130席を誇る大型店だ。ジャンルは「炭火焼きラテンイタリアン」。どんなジャンル!?と思いきや、実際に店に行ってみると、これが自由さと楽しさに踊りだしたくなる店だった。
『ミネラルたっぷり、ケールのシンプルサラダ』や『焼きナスのジンジャーマリネ』などのヘルシー野菜料理から、『岩中豚とサルシッチャのジョスパー焼き』などガッツリメニューまでアラカルトで頼めて、しかも一皿800円から! 一皿の量だって二人でシェアしても充分。洒落た食材の組み合わせや料理は流石の一言。お財布を気にせず、お腹いっぱい美味しいものを食べられる素晴らしさよ。自分が”おいしい”と思うものをシェアしてお客さまを喜ばせたい!そんな奥野シェフの純粋な思いがビシバシ伝わってくる。
【The Burn】米澤文雄シェフ監修のヴィーガンメニュー『焼きナスのジンジャーマリネ』900円。マッシュルームやカリフラワーでボロネーゼ風に仕上げたソースでいただくボリューム感のある料理
ちなみに“炭火焼きラテンイタリアン”は、奥野シェフのルーツでもあるイタリアンを軸に、スペインで惚れてしまったジョスパーオーブンで焼く炭火焼き料理を看板にという思いを込めた造語。さらに、”店をつくる仲間とのグルーヴ感”を感じて欲しいから“ラテン”という言葉を加えたのだという。
奥野シェフが大切にする“グルーヴ感”というのは、そのメニューのユニークさに如実に現れている。なんと、自身と志を同じくする、他店の料理人が監修する料理やドリンクがこの店で楽しめるのだ。
例えば、メニューには『ブリアンツァのスペシャリテ トリュフのオーブン焼き』などに混じり、南青山の人気レストラン【The Burn】米澤文雄シェフのヴィーガン料理が登場し、ドリンクメニューには英国誌が選出する「バー業界でもっとも影響力のある100人」に選ばれたバーテンダー後閑信吾氏によるカクテルが並ぶ。
こうしたコラボレーションはどうやって生まれたんですか?という質問に、「いや、だって僕たち仲が良いからさ。一緒に話をしてて自然にそういうカタチになって感じかな?」と、どこまでも自然体。けれど、少し話をしていいると、ただ仲が良いメンバーが集って楽しくやっている以上の、新型コロナウイルスの感染拡大化にともなう時代の流れで強く感じた、奥野シェフの思いが溢れてきた。
リグーリア州の郷土料理 ファリナータをアレンジした『ひよこ豆のグルテンフリーパンケーキ〜 ファリナータ〜』1,000円。さくっとした軽い食感に、水切りヨーグルトとたっぷりのハーブにシュレッドチーズを添えて
「すべての価値観が変わってしまうような時代の中で、地球の未来に繋がるSDGsへの考えや、人が健康で過ごすためのウエルネスというキーワードは、これからさらに必要だと思いました。そうしたメッセージは、たくさんの仲間がいたほうが楽しく伝わる。同じ志を持つ米澤さんも、後閑さんも自分の言葉を明確に持った、強いメッセージを発信できる友人。そんな仲間の力も借りて、心地良く伝えて行けたらと思ったんです」。
主となる食材は安全であることを確信できる、トレーサビリティ可能な顔の見える生産者から。食べて健康になれるよう、米澤シェフのヴィーガン料理をはじめ、発酵食品を代表するヨーグルトを使った料理なども用意した。
さらに、世界はどんどん狭くなり、人々のライフスタイルも多様化してきた時代に求められるのはどんな店だろう? と考え、食事制限をしている人も、ヴィーガンの人も、野菜しか食べたくない人も、肉しか食べたくない人も、みんなが笑顔になる料理を揃えた。「ここは、ファミレス2.0」という奥野シェフが言うように、ありとあらゆる料理を一品から食べられるのも嬉しい。
ジョスパーオーブンはこの店の名物。シグニチャーの『当店名物!サカエヤ手当の熟成黒毛和牛リブロース』のほかに、ヘルシーにキャベツを香ばしく焼き上げた料理などもオンメニュー
また、豆で出来ているグルテンフリーパスタ「ZENB NOODLE」を使ったメニューがあることも注目。"おいしい物好きだけど、体型を気にして炭水化物控え中"という、糖質制限中の人にも嬉しいメニューだ。低糖質の麺は、味の良さが伴わない印象だったけれど、この「ZENB NOODLE」は驚くほど美味。開発から関わった奥野シェフも「このおいしさは、糖質制限していない人にもおすすめしたい」と語るほど。
筆者のお気に入りは、シンプルな『ジェノベーゼ』。奥野シェフが修業し、第二の故郷とも言うほど惚れたリグーリアのミシュラン一つ星レストラン【サン・ジョルジョ】仕込みの一皿。熊本産のバジルと、ペコリーノがたっぷり入ったソースに、松の実、じゃがいもといんげんというクラシックなパスタは、これぞ本場イタリアの味だ。
『リグーリア風バジルペーストのZENB NOODLE』2,000円。「ZENB NOODLE」は豆100%の低糖質高タンパクパスタ。パスタは全種類「ZENB NOODLE」で作ってもらうことができる
そして、一通り食事をしてお腹いっぱいになったところで、忘れてはいけないお楽しみがもう一つ。お酒が好きならばぜひ、デザート代わりの“締めカクテル”を試して欲しい。
それって普通の食後酒でしょ?と思うことなかれ。NY、上海、東京と世界を股にかけて活躍する、名バーテンダー・後閑信吾さんが監修する、ディジェスティーボは遊び心がいっぱい! アイスクリームを浮かべた レモンチェッロのカクテル『レモンチェッロクリームソーダ』や、コクのある甘さがキケンな『黒糖エスプレッソマティーニ』など、今までありそうでなかったカクテルに思わずニヤリとすること間違いなし。斬新な組み合わせでハッとするおいしさは、後閑さんならではだろう。(※緊急事態宣言中は酒類提供はありません)
写真左/「黒糖エスプレッソマティーニ」1,400円。右/「レモンチェッロクリームソーダ」1,300円
「最近は、なんだか小難しい料理も増えてきているけど、みんなが外でごはん食べに行く話が出るときは、結局『おいしいもの食べにいこうよ』ってなると思うんですね。どんな人が訪れても、“おいしい”って思う料理が出てくる店、カッコよくないですか?」と笑う奥野シェフ。
この店ではイタリアンの枠を超えた自由で楽しい料理も並ぶ。例えばランチコースで登場する『ブリアンツァのビーフカレー』。誰もが好きなちょっと懐かしいカレーには、「サカエヤ」の新保さんが手当した黒毛和牛のスネ肉がたっぷり入っている。これは、おじいちゃんでも、中学生でも、世界を食べ歩いているフーディでも、みんなが夢中になること間違いない味だ。そこには料理人の矜持と愛が溢れている。(だってカレーにモクテル、前菜、デザートがついて1,800円ですよ!!)
広いテラス席は、これからの季節おすすめ。カフェタイムでの利用もいいけれど、食前食後に場所を変えてくつろぐのも、ちょっと特別な気分に
老若男女どんな人であったとしても、「たまには肩のチカラ抜いて、おいしいものでも食べに行こうよ」と誘いたくなるお店って、実は少ない。
自由で幅が広いのに、飾らず、背伸びせず、けれど、ちゃんと自分好みの上質なものに出会える。それって、今の時代が求めているそのものじゃないだろうか。
【BRIANZA TOKYO】はそんな”風の時代”にフィットした、新しいレストランであることは間違いない。
*風の時代って何?って思った人、ググってくださいませ(笑)
撮影/玉川博之
取材・文/山路美佐
大学卒業後、丸の内の総合商社に入社するも食への探究心を抑えきれずイタリアに料理研修の旅へ。その後「家庭画報」ほかの雑誌で食・旅の編集を担当。ヒトサラ副編集長を経て、現在はフリーの食と旅の編集者に。美味探求の旅は30カ国以上にのぼる。
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