“マリアカラス”に代表される圧巻の美味。日本のフレンチ史に名を刻む名店|東京・京橋【シェ・イノ】
東京屈指の名店として知られる【シェ・イノ】は、オーナーシェフの井上旭さんが1984年に京橋にオープンした正統派フランス料理店。現在、古賀シェフと2022年10月に新たに加わった手島シェフがその味を受け継いでいます。100年続くレストランを目指すフレンチの名店の最高の味、サービス、雰囲気が多くの人を魅了してやみません。
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京橋にパリ・シャンゼリゼ通りのにぎわいを
長き伝統を受け継ぐ“ソースを味わう”フレンチ
約1200種のワインから、料理に寄りそう1本を
京橋にパリ・シャンゼリゼ通りのにぎわいを
オフィス街の中心にありながら、店内に一歩足を踏み入れれば、そこには静謐な美食空間が広がる
東京メトロ京橋駅から徒歩1分、JR東京駅から徒歩7分。レトロな建物が立ち並ぶ京橋の地にあって、ひときわ重厚な店構えのレストランが【シェ・イノ】です。現在は人でにぎわっている京橋界隈ですが、創業した1984年当時は銀行が多く、15時を過ぎると人通りが少なくなってしまっていたのだとか。そこで、「何とかして京橋を人が集まる場所にしたい」という想いから、かつて訪れたパリ・シャンゼリゼ通りの雰囲気を取り入れ、この店をデザインされたそうです。
細密画などが飾られる、劇場をイメージしたダイニング空間。また、14~24名まで対応できる個室もスタンバイ。個室には日本画が飾られ、どこか能舞台を彷彿とさせる空間になっています
内装はオーセンティックなアールデコ調ながら、天井が高く開放的な雰囲気に。随所に欄間やステンドグラスをあしらうなど、日仏が融合した空間が演出されています。劇場をイメージしたというメインダイニングには、精密なアートも飾られ、訪れるゲストを楽しませてくれます。
長き伝統を受け継ぐ“ソースを味わう”フレンチ
いずれもソースの味わいが光る、【シェ・イノ】のスペシャリテの皿の一例
【シェ・イノ】が「日本におけるフランス料理を牽引してきた一軒」と評価される所以は、井上旭シェフが考案したスペシャリテ『仔羊のパイ包み焼き“マリアカラス”風』のペリグー・ソースの驚くべき完成度に集約されています。丁寧にだしをとったフォンに、マディラ酒などをふんだんに使った味わいは、複雑な香りと風味を兼ね備えつつも出しゃばりすぎることがなく、フォアグラやトリュフといった個の強い食材をひとつにまとめます。このひと皿だけに限らず【シェ・イノ】の料理は、フランス料理の伝統を大切にしたソースを味わうフレンチと言えるものです。
ここからはその中でも、お店オススメのメニュー3品をご紹介します。
『オマール海老と野菜のガトー仕立て“コート・ドール風”』
2種のドレッシングとウニのソースで味わう『オマール海老と野菜のガトー仕立て“コート・ドール風”』
オマール海老と8種ほどの野菜を寄せた色鮮やかなテリーヌです。トリュフとトマトのドレッシングが添えられており、濃厚なウニのソースとも相性抜群。脇に添えられたタラバガニのカクテルとキャビアも贅沢なひと皿です。
『仔羊のパイ包み焼き“マリアカラス”風』
日本のフランス料理界の伝説的ひと皿『仔羊のパイ包み焼き“マリアカラス”風』
井上シェフのスペシャリテとして料理長の古賀シェフが引き継ぎ、今も愛され続けるひと皿。その名は世界的オペラ歌手マリア・カラスさんにちなんで命名されたもの。仔羊、トリュフ、フォアグラと個性の強い味わいを、奥深いペリグー・ソースが1つにまとめ上げてくれます。
『スコットランド産ペルドローグリ サヴォイキャベツと共に』
手島シェフが得意とするジビエシーズン、その幕開けを告げる『スコットランド産ペルドローグリ サヴォイキャベツと共に』
こちらのペルドローは、キャベツとの相性が抜群。やわらかい胸肉をフォアグラと共に、サヴォイキャベツで巻いて蒸しあげる一方、旨みたっぷりのもも肉は炭火で焼いて、香ばしい香りをまとわせて。「ソースの井上」と呼ばれた巨匠の味を受け継ぐ古賀シェフの手によるもの。ペルドローのジュにアルマニャックを加えた香り高いソースを添えて、継承を印象づける一皿です。
約1200種のワインから、料理に寄りそう1本を
1万本以上の多彩なワインがストックされているワインセラー
フランス産を中心にしたワインは、約1200種をオンリスト。世界各国から訪れるさまざまなゲストが満足できるよう、セラーには多彩な産地と味わいのワインをスタンバイ。その数、実に1万本以上に上るというから驚きです。
料理人プロフィール
(右)古賀 純二シェフ
1964年、佐賀県生まれ。実家が料理屋を営んでいたことから、幼い頃から料理人へ強い憧れを抱く。中学時代に『マキシム・ド・パリの家庭料理』という本と出会うと、将来はフレンチのシェフになることを決心する。調理師専門学校を卒業すると、20歳で【シェ・イノ】に入社。井上旭シェフの薫陶を受けながら厳しい修業時代を過ごす。2006年には料理長に就任。勤続38年、現在まで【シェ・イノ】ひと筋を貫く。
(左)手島 純也シェフ
1975年、山梨県に生まれる。甲府の老舗フランス料理【キャセロール】で修業後、2001年、26歳で渡仏【ステラマリス】で吉野建氏に師事。その後、5年間にわたり、3つ星レストランから下町のカフェまで、フランスの食についての知識と技術を学ぶ。07年2月に帰国、パークホテル芝【タテル ヨシノ】料理長、同年9月に和歌山【オテル・ド・ヨシノ】料理長に就任。2022年10月より【シェ・イノ】料理長に。
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報や営業時間は店舗にご確認ください。
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