日本初上陸。世界が注目するイノベーティブなタイ料理で未体験の美食体験を|麻布台ヒルズ【SAAWAAN BISTRO】
2023年11月にオープンした麻布台ヒルズのレストランの中で、海外の話題店の初上陸として注目を集めているこのレストラン。2020年にタイのベストシェフに選ばれたEARTH氏がエグゼクティブシェフを務めるバンコクの本店は、わずか7ヶ月でミシュランの1つ星に輝き話題となりました。そのクオリティはそのままですが、店名に“BISTRO”と冠し、日本ではまだ知られざるタイの最先端の美食をカジュアルに体験させてくれる【SAAWAAN BISTRO】。その魅力をご紹介しましょう。
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タイの鉄人シェフが指揮を執る「モダンタイキュイジーヌ」
テーブルで仕上げる料理が五感を刺激
ハーブ&スパイス香る刺激的なタイカクテル
タイの鉄人シェフが指揮を執る「モダンタイキュイジーヌ」
タイ料理というと日本ではトムヤンクン、ガパオライス、パッタイなど家庭や食堂、屋台で食べられているようなメニューのお店がほとんどですが、バンコクやプーケットなど旅行者の多いタイの都市では、自国の食文化をモダンに表現するイノベーティブレストランも年々増えています。
【SAAWAAN】のシェフEARTH氏は、プーケットでレストランを経営する家族のもとで育ちました。高校卒業後は世界で通用する一流の料理人を目指し、バンコクのル・コルドン・ブルーに入学。フランス料理を4年間学び、さらに大学で料理芸術とレストラン経営の学士号も取得しました。
タイで最も注目を集めるシェフの1人EARTH氏。タイの伝統料理をフレンチの料理技術も駆使して再構築する
卒業後はバンコクのミシュラン2つ星フレンチ【Mezzaluna】でキャリアをスタートさせましたが、母親が病気になり、プーケットに戻ってしばらく家族のために料理をつくる生活していました。その折に、自国の食文化をもっと勉強したいと思い、母親から家庭に伝わる料理やタイ南部の伝統的な料理を教えてもらったそうです。さらに歴史的背景により一度は失われたタイの宮廷料理を紐解き、タイ料理に欠かせない甘・辛・酸・塩・旨の五味のバランスによる味わい、なぜおいしいのか、どうやったらもっとおいしくできるのかをより深く考えるようになったそうです。
タイの民族性を幻想的かつエレガントに表現しているインテリアでも話題になったバンコクの【SAAWAAN】の店内
EARTH氏は、プーケットの【Nitan】のオープニングチームにエグゼクティブシェフとして招聘され、タイ南部の伝統料理を現代的な技術で再構築するモダンタイ料理で注目を集めました。そして、タイ版アイアンシェフチャレンジにて優勝を果たし、その実力が広く知れ渡ることに。2021年にバンコク【SAAWAAN】のシェフに就任し、開業からわずか7ヶ月でミシュラン1つ星を獲得したのです。
黒を基調にシンプルで洗練された【SAAWAAN BISTRO】の店内。グリーンの植栽を豊富にあしらい、南国のエキゾチックなムードを演出している
「文化的背景や考え方を深く理解したうえで五味を絶妙なバランスで再構築し、さまざまな料理技術を駆使しながらその料理が一番美しく一番おいしいくなる形を追求しています」と話すEARTH氏。基本的にはバンコクの【SAAWAAN】のキッチンに立っていますが、来日の際には日本の食材もいろいろ試しています。「日本の食材は品質が高いものが多く、レシピに取り込むことでさらに料理のレベルが上がります」とEARTH氏。日本との文化のミックスも今後楽しみです。
様々な国籍のスタッフが働くインターナショナルなキッチン
テーブルで仕上げる料理が五感を刺激
麻布台ヒルズの【SAAWAAN BISTRO】は、本国のクオリティはそのままに、「まずは、伝統料理をモダナイズしたタイ料理があることを知っていただくきっかけになりたい」と、店名に“ビストロ”を冠し、カジュアルに楽しめるスタイルになっています。
コースもありますが、「メニューの中から好きなものを選び、タイのトラディショナルな食べ方であるシェアスタイルでもお楽しみいただけます」とのこと。メニューは分かりやすいよう「RAW & SALAD(生・サラダ)」「FRIED & GRILLED(揚げもの・焼きもの)」「BOIL & STEAM(茹でる・蒸す)」「CURRY & STIR FRY(カレー・炒めもの)」という調理法によって分類されています。
バンコクの【SAAWAAN】でしか食べられなかったシグニチャー料理もあれば、【SAAWAAN BISTRO】のために開発した料理もあります。
【SAAWAAN】のシグニチャーメニュー『海老のスチーム、ヌードル、発酵魚介ソース』2,420円
これは素麺と海老を、レモングラス、甘長唐辛子、コブミカンの葉、ガランガル(タイ生姜)、エディブルフラワー、発酵魚介ソースとうずらの卵黄を混ぜていただきます。ハーブや魚介、肉を発酵させたソースはタイの伝統料理ですが、それが見事にモダンに表現された一皿です。
すべての料理で共通するのは、ゲストの目の前で温かなソースをかけてお皿を完成させること。海老もテーブルまで蒸篭で運び、お皿の上にのせてくれます。それは、立ち上る香りもおいしさの要素となっているからで、「五感で味わってほしい」という思いを込めたプレゼンテーションなのです。
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海老は1尾1尾、丈の板に結びつける
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その後、ハーブオイルを塗って蒸篭で蒸し上げる
目の前に運ばれてくるお皿は、見た目はフランス料理のような盛り付けです。タイ南部のソウルフードをベースにモダナイズしたという『塩漬け牛肉とココナッツのスープ』も、今までのタイ料理の概念を覆す一皿となって目の前に運ばれてくるのです。
『塩漬け牛肉とココナッツのスープ』2,068円。こちらも【SAAWAAN】のシグニチャーメニュー。ゲストの目の前で香り豊かに仕上げた温かなソースを注いで仕上げる
これは、EARTH氏の祖母から受け継ぐタイ南部の伝統料理をアレンジした一皿です。ガーリックオイルにマリネした自家製の塩漬けフィレ肉に、牛骨ブロス、ココナッツ、ハーブ類を3日間かけて煮込んだコク、旨み、香り豊かなスープを合わせています。トッピングは、サクサクとした食感の菊芋のスライスとエシャロット。絶妙な五味のバランスで忘れ難い一皿になること間違いないでしょう。
『和牛のマッサマンカレー』4,048円。クワイ、ゴボウなど和素材を付け合わせに使用している
日本の食材にも興味津々のEARTH氏が【SAAWAAN BISTRO】のオープンにあたって新たに生み出したのがこの『和牛のマッサマンカレー』です。マッサマンカレーといえばタイではじゃが芋、玉ねぎ、鶏肉のカレーですが、レアに火を入れたサーロインを主役に、シナモン、八角、クローブ、カルダモン、ナツメグなどによる自家製のカレーペーストで、良質な牛肉に合うこの上なく上品なカレーソースを仕立てて合わせているのです。
ハーブ&スパイス香る刺激的なタイカクテル
【SAAWAAN BISTRO】のお楽しみは料理だけではありません。100席のメインダイニングに加えて、食前や食後に立ち寄れるタイタパスバーもあり、タイの洗練を気軽に体感することができます。また、タイバジル、レモングラス、グリーンペッパー、ブラックペッパー、カルダモンなどタイの香り豊かなハーブやスパイス、マンゴーやパッションフルーツなどを使ったオリジナルのカクテルもおすすめです。
ダイニングに入る手前に併設されたバーカウンター。バーのみの利用もOK
料理同様に見た目、香り、味わいなど、わかりやすくタイを想起させてくれるカクテルは、食事との相性も良く、辛さを和らげたり、余韻を長引かせてくれたり、食欲を増進してくれたりします。バーテンダーにも相談しつつ、色々な味に挑戦してみてはいかがでしょう?
『ホーリーバジル&スパイス』1,210円。ジンベース。タイのホーリーバジルと、ピリッとスパイシーな辛味が特徴のロングペッパーをアクセントに、シナモンの甘い香りもプラス ※仕入れ状況により提供していない場合があります
『パッションフルーツ』1,540円。フレッシュのパッションフルーツを丸ごと使い、バニラウォッカ、アーティチョークのリキュールと合わせた深みのある甘酸っぱさがクセになる大人のカクテル
タイは日本人にとっても人気の旅行先であり、すでに現地ではモダンタイを経験している人も多いのではないでしょうか? 日本ではなかなかお目にかかれなかったモダンタイの注目店が初上陸したのはとても画期的な出来事です。五味の織りなす香りや深い旨みやコクは、他の料理では味わえないオリジナルのおいしさに満ちているモダンタイキュイジーヌ。【SAAWAAN BISTRO】がきかっけとなり今後洗練のタイレストランも増えていくことを願っています。
撮影/今井 裕治 取材・文/藤田 実子
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