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更新日:2025.03.11食トレンド

上質な脂と口溶けの良さで日本一に輝く「鳥取和牛」。東京でその魅力を存分に味わうことができる5軒をご紹介

古くから和牛の産地として良牛が受け継がれてきた鳥取県。恵まれた大自然で育まれた鳥取和牛は、オレイン酸を多く含むことが最大の特徴です。一度味わうと、とろけるような食感や豊かな風味、そして、軽やかな食後感が忘れられなくなるほど。東京にいながらにして、鳥取和牛を堪能できる多彩なジャンルのレストランをご案内します。

鳥取和牛

    気高号

    全国のブランド牛の始祖牛と呼ばれる「気高」号

鳥取県は江戸時代より日本三大牛馬市の開催地として古くより賑わっており、数は少ないながら質の高い和牛を生産する産地の一つです。たくさんのブランド牛が世に溢れる中、良質な脂が特徴で食後感の軽快さが魅力の「鳥取和牛」は、今後さらに人気が高まると注目されるブランド牛です。

全国のブランド牛や銘柄牛の多くは、ルーツをたどると「気高(けたか)」号という鳥取県の名牛に行き当たります。「気高」号は1966(昭和41)年に岡山県で開催された、第1回全国和牛能力共進会で1等賞の栄誉に輝き、全国に優秀な子孫を残しました。その「気高」号の子孫である「白鵬85の3」が2017(平成29)年の第11回大会において、再び1位の座を獲得! “和牛のオリンピック”と呼ばれる大会で、その実力が証明されました。

この「気高」号の子孫の中でも、オレイン酸を55%以上含む4等級以上のものを「鳥取和牛オレイン55」として県独自でブランド化。オレイン酸が豊富な「鳥取和牛オレイン55」は、オリーブオイルの主成分でもあるオレイン酸を多く含み、その融点が16度と低いため、口溶けの良さや風味の豊かさが特徴です。年間約3,000頭出荷される鳥取和牛のうち、約20%にあたる500頭程度が認定される大変希少なブランド牛です。

【半蔵門ビストロ ブレインストーミング】/『鳥取和牛・生雲丹・イクラの土鍋ご飯』/半蔵門・麹町

鳥取和牛オレイン55と海の幸を敷き詰めた土鍋ご飯は、和と洋のテイストが融合し、ごちそう感たっぷり

    半蔵門ビストロブレインストーミング

    右から、シェフの橘信広氏、店主の近藤貴史氏、サービスの小林秀晃氏

お店を構えるのは、半蔵門駅と麹町駅から徒歩2、3分の好立地。永田町も近く、政治家や弁護士も多く働くエリアです。店名は、略してブレストと呼ばれる会議手法の意味で、個室は会議室としての充実した設備を備え「会議後10秒で美味しい食事が提供される」という裏テーマが。もちろん食事だけの利用ができ、厨房に面した大理石のカウンター席やゆったりとしたテーブル席で寛いで食事をお楽しみいただけます。

    半蔵門ビストロブレインストーミング

    土鍋に使用するザブトンは、肩ロースの中でも首に近い背中側の部位

鳥取県出身の店主・近藤貴史氏が、店の看板食材にと考えたのが鳥取和牛です。一頭買いするため、サーロイン、肩ロース、イチボなど常時7~8種類をラインアップ。「『鳥取和牛オレイン55』は融点が低いので、ミディアムレアでもお肉の旨味をしっかりと感じていただけます。上品な甘さのサシで、くどさがないのもいいですね」と近藤氏。ジャンルレスなメニューは、すき焼き風しゃぶしゃぶやレアカツなども人気が高く、テイクアウトのお弁当でも鳥取和牛を惜しげもなく使用しています。

    鳥取和牛・生雲丹・イクラの土鍋ご飯

    『鳥取和牛・生雲丹・イクラの土鍋ご飯』(1合/2~3名分)5,800円

土鍋ご飯に使用する鳥取和牛は、ザブトンやサーロイン、内モモなどその日に状態のいいものを厳選。およそ100gのかたまりのまま火入れをして、ニンニクと醤油ベースのタレを仕上げます。鳥取県産のお米「星空舞」を白だしでふっくらと炊き上げ、スライスした鳥取和牛、イクラ、雲丹を並べ、再び蓋をしてご飯の蒸らしとともに具材を温めてお客様のもとへ。蓋を開けた瞬間、誰もが笑顔になる逸品です。口へと運べば、鳥取和牛オレイン55のまろやかさと磯の香りが一体に。

【炭火焼肉 さんこう苑】/鳥取和牛オレイン55一頭盛り/神田

「鳥取和牛オレイン55」のステーキ、霜降り、赤身を豪快に盛り合わせたインパクト抜群の焼肉

    炭火焼肉さんこう苑

    この道20年になる焼肉一筋のオーナーの山根康史氏

「知名度ゼロに近かった鳥取和牛を、東京で自分の手でネームバリューある牛肉にしたい」という想いから【炭火焼肉 さんこう苑】を開業したオーナーの山根康史氏。「鳥取和牛」と背中に大きくデザインされた仕事着は、2017年に全国和牛能力共進会にて鳥取和牛が1位に輝いた時の、関係者による記念の品です。「鳥取和牛オレイン55」を育てる伯耆前田牧場から前田牛を一頭買いしているので、メニューには20~30種類の部位が並ぶ圧巻の品揃え。鳥取県出身の著名人もよく訪れるそうです。

    鳥取和牛オレイン55一頭盛り

    『鳥取和牛オレイン55一頭盛り』(700g/3~4名分)12,500円

『鳥取和牛オレイン55一頭盛り』は、大きな皿に7~8種類の部位が並ぶ贅沢なメニュー。ランプ、ナカニク、カメノコ、クリ、ミスジ、ザブトン、芯々、イチボなど、内容は日替わりなので、訪れる度に違った楽しみも。写真の左側の部位は塩で、右側はフルーツや野菜と共に熟成させた醤油ベースの自家製のもみダレでいただきます。多彩な部位を食べ比べるほどに、鳥取和牛のあっさりとした脂質と食後感の軽やかさを実感していただけることでしょう。

    ミスジ

    ミスジは、肩に位置する3本の筋が入った霜降りが美しい希少部位

極上の鳥取和牛を焼くのは、最新鋭の炭無煙ロースター。テフロン加工で目が粗いので、初心者でも焦がしづらく焼きやすいのが特徴です。つけダレは、自家製ダレのほか、少し甘めの山崎醸造本舗のイナサ醤油、レモン汁をお好みでどうぞ。焼肉には欠かせないご飯は、鳥取県産のお米「きぬむすめ」。アルコールの幅広い品揃えも自慢です。「脂の質があっさりしていることが魅力の鳥取和牛。ぜひ一度食べてみて欲しいですね」(山根氏)。

【鳥取和牛オレイン55一頭買い専門店 炭火焼肉 さんこう苑】

  • 電話:03-5207-2951
    住所:千代田区神田須田町1-24-21 クレセント神田ビル1F

    店舗詳細はこちら >

【蕎麦と酒蔵 稲田屋  霞が関コモンゲート店】/『鳥取和牛(オレイン55)のローストビーフ』/虎ノ門・霞が関

美しいサシが入った柔らかな「鳥取和牛オレイン55」を絶妙な火入れで作る絶品ローストビーフ

    蕎麦と酒蔵稲田屋霞が関コモンゲート店

    厨房で「鳥取和牛オレイン55」のローストビーフをカットする総料理長の鈴木慎一氏

【稲田屋】は、鳥取県米子市にて延宝元(1673)年に創業し、『稲田姫』や『トップ水雷』などの銘酒で愛される酒蔵「稲田本店」が営む和食居酒屋。大手町や八重洲など都内におよそ10店舗を展開しています。2024年11月にオープンした霞が関コモンゲート店は、全70席を完備する全席個室の新業態です。「地酒には地の物をという想いで、それぞれのお店ごとに四季折々の料理を考案。自慢の蕎麦で締める宴会コースも充実します」と語る鈴木氏。

    鳥取和牛オレイン55

    ローストビーフに使用する「鳥取和牛オレイン55」の外モモ肉

鈴木氏が自信をもっておすすめするメニューが、サシが多く柔らかな部位の外モモを使用した『鳥取和牛(オレイン55)のローストビーフ』です。お肉の甘さを引き出せるよう、塊のまま120℃のオーブンに入れ、お肉の中心温度が60℃になったら取り出します。味付けは塩と胡椒でシンプルに。「お肉本来の味わいを楽しんでいただけるよう、一般的なローストビーフよりも厚めにカットし、ほんのり温かな状態で提供しています」(鈴木氏)。

    鳥取和牛(オレイン55)のローストビーフ

    『鳥取和牛(オレイン55)のローストビーフ』1,800円

『鳥取和牛(オレイン55)のローストビーフ』がお客様のもとに運ばれると、その艶やかなビジュアルの美しさから思わず歓声が上がることもしばしば。上質な和牛でありながら、コストパフォーマンスの良さも人気の理由です。「ローストビーフには、地元米子で昔から愛されるどっしりとした味わいの『純米酒 トップ水雷』がよく合います」と話すのは、利き酒師の資格を持つ、エリアマネージャーの茗花有希氏。地酒と一緒にご賞味ください。


【日本料理 神楽坂 仁】/『花コース 〜鳥取の恵み〜』/飯田橋

鳥取和牛のステーキをメインに鮮魚や郷土料理を随所に盛り込んだ鳥取の魅力が詰まったコース

    日本料理神楽坂仁

    故郷である鳥取の魅力を日本料理で表現する料理長の杉原徹也氏

思いやりや慈しみという意味を込めて命名された【日本料理 神楽坂 仁】は、その名の通り心のこもった料理とおもてなしが印象的な一軒です。神楽坂らしい石畳の路地を入りこんだ先にある建物の2階にある扉を開けると、着物姿の女将・飯田依子氏がお客様をお出迎え。カウンター席に座れば、杉原氏が腕を振るう姿が間近に。テーブル席の壁には、因州和紙に刷られた神楽坂在住のドイツ人フォトグラファーによる鳥取砂丘の写真が飾られています。

    日本料理神楽坂仁

    ステーキに使用するのは見事なサシが入った鳥取和牛のヒレ肉

「ステーキには鳥取和牛のヒレ肉を使用しています。オレイン酸が豊富なので、サシが入っていてもくどくなく、さっぱりと召し上がっていただけるのが特徴です。お客様からは『ほかでは食べることができない』というお声をいただいています」と杉原氏。5種類の野菜や鶏のエキスを使用した醤油ベースの特製ダレが和牛の旨みを引き立てます。「鳥取県の日本酒『千代むすび』の純米酒がよく合いますよ」と利き酒師でもある飯田氏。

    花コース〜鳥取の恵み〜

    記念日や接待に最適な『花コース 〜鳥取の恵み〜』22,000円(前日までに要予約)

『花コース 〜鳥取の恵み〜』では、和牛のステーキのほか、鳥取県から取り寄せる食材を多彩に盛り込んでいます。前菜では、郷土料理の「いぎす」や「あご野焼」。お造りでは、チカメキントキなどの鮮魚を直送し、桶谷醤油で。煮物には、大山鶏と「天美卵」のだし巻き玉子を。鳥取県産の「星空舞」には、郷土料理「子まぶり」を添えています。3月には幻の海老と呼ばれるモサエビも登場する予定。評判を聞きつけ、鳥取県在住の方がわざわざ神楽坂まで食べに来るといいます。

【FORNO】/『薪焼きステーキ 鳥取県黒毛和牛オレイン55 ヒレ』/広尾

優しく緻密な薪焼きによって、口に入れた瞬間に肉汁があふれ出す極上の鳥取和牛ステーキ

    FORNO

    鳥取和牛の旨味を最大限に引き出す、マスターシェフの峰尾健作氏

店名【FORNO(フォルノ)】は、イタリア語で窯を意味。鳥取県の企業「とっとり食のみやこプロジェクト」が、地元の優れた食材を東京で広めたいという想いから、代官山の名イタリア料理店【TACUBO】の田窪大祐氏監修のもと誕生した薪焼きのレストランです。西麻布の交差点からすぐの場所にあり、レンガ造りの店内は非日常の大人の雰囲気が漂います。厨房はカウンター席に面しており、ガラス越しに薪火の炎を眺めることがでるのもこちらならでは。

    FORNO

    炎や煙を上げずに薪の芯の部分が真っ赤に燃えている高温の熾火で火入れ

近年注目を集める薪焼きですが、その魅力を峰尾氏はこう語ります。「生の木なので、火の当たりが非常に柔らかです。さらに、窯の中で熱が対流することで上部からも優しく火が入ります」。表面はクリスピーで、ナイフを入れた断面は美しいロゼ色。さらに、驚くべきはその口当たりと口溶けです。「薪で火入れをしたお肉は、ナイフでカットしても肉汁が溢れ出ず、口に入れた時に初めて出るよう、肉汁が暴れる寸前で仕上げています」。

    薪焼きステーキ鳥取県黒毛和牛オレイン55ヒレ

    『薪焼きステーキ 鳥取県黒毛和牛オレイン55 ヒレ』100g/6,820円 写真は200g

「人気ナンバーワンのヒレ肉は、脂身と赤身のバランスが良く、食べやすい部位です」と峰尾氏。常時5種類ほどの部位を用意しているので、サシが入ったシンシンや赤身のランプなど他の部位と食べ比べを楽しむのもおすすめです。鳥取県の大山の麓にあるスタッフの実家から届く旨味の強い茸や野菜を付け合わせに。ワインは、和牛を「引き立てる」または「包み込む」タイプなど多彩な銘柄を用意し、食べ手のお好みによってセレクトしてくれますのでぜひご相談ください。

  • ご協力:鳥取県商工労働部兼農林水産部 市場開拓局 販路拡大・輸出促進課

    鳥取県では、豊かな自然に育まれた世界に誇るべき農林水産物、食の豊かさや食文化を国内外の皆様に向け発信しています。


この記事を作った人

撮影/玉川博之 取材・文/外川ゆい

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