更新日:2017.03.06旅グルメ 連載
世界が認めたシンガポールの最高峰【Restaurant André】の実力やいかに!?
2010年のオープン以来、常にアジアのベストレストラン50に選ばれるシンガポール屈指の名店【Restaurant André】。その味を求め、世界中からファンが押し寄せるという、アジアのレストランシーンを牽引するシェフ アンドレ・チャン氏の魅力やいかに。
チャイナタウンの一角にひっそりと佇む白亜の洋館こそが世界を魅了する美食の舞台
【Restaurant André】を訪れた時、ふと感じたのは彼の家に招かれたような不思議な安堵感でした。料理への期待もさることながら、まずはウェイティングスペースになっているソファに案内され、少し落ち着いたところで席へ。フロアごとに趣のことなる空間は、彼の図書室や居間など、一軒家の特徴を巧みに利用し、あたかも彼の家に招かれたような気分に。案内されたテーブルにメニューはなく、彼が本日提案してくれる料理には、8つの料理の哲学が記されているのです。例えばUnique(個性的な食材の組み合わせ)や、 Texture(食感)、Memory(思い出)など。それを読んだだけでは、一体何が出てくるかは見当もつきません。それもそのはず当日に届いた食材を見てから料理を決めるのもアンドレ流。訪れるゲストは、8つのキーワードをイメージしながら、その日何が出されるかを楽しみつつ料理を楽しむのです。
知らなければたぶんここがレストランだとは誰も思わない白亜の隠れ家こそが【Restaurant Andre】。築100年の洋館をリノベーション
何が供されるかは、その日の仕入れとアンドレ氏の感性次第
例えば、この日提供されたTexture(食感)をテーマにした一品。スモークしたメカジキのトロ、若芽のジュレ、グリーンとホワイトの大根、菊の花のゼリー、アオサや大葉などをミルフィーユ状に。キュウリやスパニッシュチリのソースと合わさることで、口に運ぶたびに様々な食感が顔を出し、楽しくなるのです。South(南)がテーマの一品は、アンドレがかつて働いていた南フランスをイメージした料理。ゲランド産のオイスターをメインに据えたひと皿なのですが、見た目はまるで餃子のよう。実は水餃子の皮のような食材は北海道のホタテの貝柱を練り込んで薄く生地のようにしたもの。見た目には何かわからない一皿が、ひとくちで味わうとふっとゲランドの風景が浮かび上がる。そんな趣向を楽しませてくれるのです。一皿一皿に発見と喜びがある、アンドレが提案する8つの哲学はまさに味わう楽しみを教えてくれるのです。
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Texture(食感)をテーマにした一皿
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South(南)がテーマの一皿
アンドレ・チャン氏
世界各地の名店で腕を磨き、今アジアから独自のフランス料理を発信
1976年、台湾生まれ。少年時代を日本で過ごし、15歳で単身渡仏。モンペリエにある【ジャルダン・デ・サンス】で9年間にわたり修業を重ねた後、【トロワグロ】で1年半。その後、【ラトリエ・ド・ジョエル・ロブション】第一号店のオープニングを経て、【ピエール・ガニェール】で2年、【アストランス】で2年ほど経験を積み、2008年にシンガポールへ。
【Restaurant Andre】
☎+65 6534 8880
住所:41 Bukit Pasoh Road, Singapore 089855
営業:12:00〜15:00(水・金曜のみ)、19:00〜22:00
休日:月曜
撮影/菅野祐二 取材・文/大西健俊
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