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更新日:2017.03.26グルメラボ

色彩豊かな逸品に仕立てられた奈良の伝統野菜を、静かな森の中でいただく

平城宮跡にほど近い、近鉄大和「西大寺」駅から田園風景のなか、押熊行きのバスにゆられてガタコト。秋篠川沿いの平城中山バス停で降りて東へ数分歩くと、秋篠の森が見えてきます。そのなかに、ミシュランの星を獲得し続けている名店がひっそりと佇んでいるのです。

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奈良県産食材を丁寧に演出し、美しい一皿に仕立てる【秋篠の森 なず菜】

2012年から連続でミシュランの星を獲得する、一軒家レストラン

    自然に生えているかのように生けられた草木が、窓外の景色と美しい調和を見せています

【なず菜】がある秋篠の森は、オーナーで空間コーディネーターの石村由起子さんたちが手入れして、少しずつ木を植えていくという地道な作業を通して育んできた場所。

 2004年のオープンから十数年。今や森は育ち、丹精込めて手入れした果樹は実をつけて、自家製の果実酒という形で実りを享受できるようになりました。

    隅々にまで神経が行き届いた空間が心地いい「ギャラリー月草」

 ゆったりとテーブルが配されたダイニングのテラス側は大きな窓に。そこからは丁寧に手入れされた木々が借景になって魅了します。そして、その枝から枝へと飛び回る野鳥たちが囀るかわいい声も、ここ、【なず菜】ならではの心地よいBGMに。

 気持ちが和やかになる【なず菜】の空間は、レストランだけにとどまりません。併設の「ギャラリー月草」では展覧会やワークショップの場として、長く愛用できるものたちに囲まれた心地よい暮らしを、洗練された審美眼で提案しています。「ギャラリー月草」の展覧会やワークショップはウェブサイトでチェックを。

美しくプレゼンテーションされた奈良県産の野菜に魅了

    『干し柿と花山葵のすだちジュレ』(手前)と、『水菜のいか真丈 酒粕仕立て』(奥)

 奈良県産の食材、それも伝統の大和野菜を中心に彩り鮮やかに盛りつけた料理が続々と運ばれてくる本日のランチ。奥深い旨味が広がる酒粕仕立てのスープがかけられた『水菜のいか真丈(しんじょう) 酒粕仕立て』、香ばしく煎った玄米が食感にアクセントを加える、『蟹と菜の花の蕪蒸し煎り玄米餡』のあんかけと、スープや前菜の彩りに心が躍ります。

    『蟹と菜の花の蕪蒸し煎り玄米餡』

 奈良の野菜は、京野菜のように聖護院かぶや賀茂茄子といったスター性のある野菜はありません。でも、自家消費用に育てられてきた大和野菜なだけに、風味がしっかりとして味も濃厚。そんなテロワールを感じさせる野菜を引き立てるように、彩り豊かな逸品が作られていきます。
 
 奈良の特産品である吉野葛を小麦粉に練り込むことで、ツヤツヤとした透明感のある麺に仕上げた葛うどんをパスタ仕立てに。季節の香味野菜や食感際立つ山菜で美しく彩るのも【なず菜】ならでは。

    初春の香味が堪能できるようにと、根っこごと揚げた芹とタケノコが食感にアクセントを添える『葛うどんのパスタ』

 続いては、古くから質の良い蓮根が栽培されてきた大和郡山の筒井蓮根、歯切れのよい食感の大和真菜と蜜たっぷりの安納芋、海老芋と旬野菜の風味が堪能できる旬野菜の天ぷらがずらり。

    『季節の天ぷら五種』。手前から白魚の寄せ揚げ、はじかみ生姜の海老真丈揚げ、安納芋と大和真菜のかき揚げなど

 〆は程よい粘りともちっとした食感が魅力のひのひかりのご飯と、嶋田味噌の無添加合わせ味噌を使ったお味噌汁です。どちらも奈良県中部の田原本町産。ランチとは思えないほど緩急をつけたコース構成に満足のひととき。

 ランチも、土・日・祝のみ営業のディナーも、すべて予約制です。飛び込みの来店では趣向を凝らした野菜料理は味わえないのであしからず。

この記事を作った人

撮影/中川泉 取材・文/ナカシママサヨシ(フリーライター)

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