納屋をリノベーションした、土壌を味わうカフェ【納屋茶寮MEGURU】埼玉・ふじみ野
埼玉県入間郡三芳町の「石坂産業株式会社」が運営する三富今昔村は、東京ドーム約4.5個分の敷地面積があり、その8割は緑地で1300種の動植物が生息する自然の宝庫です。その中に、土を考え、楽しみ、土とつながる【納屋茶寮 MEGURU】が2022年にオープンしました。ごみをごみにしない“Zero Waste Design”をかかげる同社が始めた食を通したサステナブルな取り組みはどのようなものなのか、ご紹介します。
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“Zero Waste Design”とは
土を重んじる理由
納屋をリノベーションしたカフェ
“Zero Waste Design”とは
リサイクル工場で日々作業が行なわれています
まずは「石坂産業株式会社」についてご紹介させてください。1967年創業の同社は56年目を迎えようとしています。今のようにサステナブルが広く知られるずっと前から“Zero Waste Design(ゼロ・ウェイスト・デザイン)”をかかげ、ごみをごみで終わらせないため、ごみを資源として捉えて循環させる取り組みをベースとする幅広い事業を行なっている会社です。その再資源化率は驚異の98%。かつて、不法投棄で溢れ荒廃していた雑木林を、スタッフがひとつずつゴミを片付け保全し、その結果絶滅危惧種の植物を復元させることにも成功しました。
土を重んじる理由
石坂オーガニックファーム
同社が運営するのが、落ち葉堆肥の優良な土を循環させる農園「石坂オーガニックファーム」。土づくりや野菜の成長を実感する食農育体験、里山の暮らしを体験しながら学ぶ里山体験プログラムなど、多彩なプログラムを開催しています。
代表の石坂典子さん
私たちがいただく作物はすべて土から育ちますが、代表の石坂さんによると、現在世界では土壌汚染や都市化によって、作物を育てる良質な土が無くなってきているのだそう。同社はここにも注目し、地道に土を再生する取り組みも行なってきました。最初はゴミ拾いから、冬に落ち葉を集めて堆肥を作り、畑に漉き込み、微生物のはたらきで元気な土をつくる落ち葉堆肥農法を用いています。
上記のやり方でこの良質な土を1cmつくるのに100年もの歳月を要します
良質な土壌は微生物によってつくられているので、私たちがおいしい野菜が食べられるのも菌のはたらきのおかげ、とも言えるのです。土の健康と私たちの健康はイコール。すべては土から生み出されているとの考えで、同社は土を大切にしているのです。
納屋をリノベーションした土壌を味わうカフェ
店内には納屋の面影が残され、使用されていた農具が展示されているのが印象的
そんな石坂オーガニックファームの一角に、農業と土を感じながら季節ごとの食事を楽しむ場所として誕生したのが【納屋茶寮 MEGURU】です。かつて納屋だった建物をリノベーションし、梁はそのまま、農具なども残されています。農家の息遣いが感じられる空間で、豊かな土壌で育まれた固有種の野菜や、発酵を通して微生物の力をいただく食体験は、より土や作物への理解を深めてくれるでしょう。
『月替わり季節のお昼ごはん』2,800円
現在はランチとティータイムを楽しむことができ、お昼のメニューは月替わり。二十四節気を感じる献立を組み立て、自社農園と地元農家さんの野菜をたっぷり使用したうえで、すべての料理に発酵を取り入れています。また、近々ディナー営業がスタート予定で、発酵を軸に地元の食材を使ったコース料理と、地元の選りすぐりのお酒が楽しめるようになるそう。
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ご飯は発酵玄米を使用
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ティータイムでは、無農薬で育てたハーブをその季節に合わせてブレンドした野草茶のほか、地元のお茶屋さんのお茶、紅茶とブレンドした特製ティーなど幅広く用意。気にいったブレンドは購入することもできます。
左から狭山茶、どくだみ、よもぎ
“Zero Waste Design”からはじまった土への意識。食を通して体験することで、普段から口にする食べ物が、土からはじまる循環であると体感できる場所。食を愛するすべての人に、一度訪れてほしいと願わずにはいられません。
【納屋茶寮 MEGURU】
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電話:049-257-4433
住所:所沢市下富157-1
店舗詳細はこちら >
取材・文/宿坊 アカリ
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