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更新日:2017.10.19旅グルメ

信州の紅葉狩りのあとに食べたい新名物「ガレット」<長野伊那谷の当地グルメ>

長野県でそば粉を使ったガレットの店が増えている。特に県南部の伊那谷(いなだに)では、昨年秋に25軒が連携した「信州伊那谷ガレット」が誕生。店ごとに工夫した個性あふれる味が魅力。爽やかな秋、信州の紅葉やドライブ、そしてガレットを楽しむ旅に出かけてみては?

信州の紅葉狩りのあとに食べたい新名物「ガレット」<長野伊那谷の当地グルメ>

「信州伊那谷ガレット」は味も雰囲気も個性的な25軒

 長野県の名物といえば信州そば。でも最近はそば粉を使ったガレットも人気になっている。
 
 ガレットは、フランスのブルターニュ地方の郷土料理の総称で、「薄くて丸い形をした」料理やお菓子を示す。それが伝わって、日本ではそば粉を使ったクレープを指すようになった。
 
 昨年秋に誕生した“信州伊那谷ガレット”は、25軒が協力して信州の新名物としてガレットを発信していこうというものだ。伊那谷産のそば粉と、もう一つ伊那谷の食材を使う決まりはあるが、それ以外は各店が趣向を凝らし、オリジナルの味を創り出している。

2つのアルプスに囲まれた伊那谷。秋の紅葉も美しい

    ダケカンバやナナカマドが色づく千畳敷カール(©長野県観光機構)

    ダケカンバやナナカマドが色づく千畳敷カール(©長野県観光機構)

 お店の紹介の前に、伊那谷はどんなところだろう?

 県南部を流れる天竜川に沿って南北に続く広大な盆地であり、東には南アルプス、西には中央アルプスがそびえる壮大な自然に囲まれている。
 見どころは数多いが、秋もおすすめなのが、伊那谷のほぼ中央に位置する駒ケ根市にある通称「千畳敷カール」だ。
 
 カールとは、約2万年前、氷河期の氷で削り取られたお椀型の地形のこと。千畳敷カールは、中央アルプス宝剣岳(標高2931m)の直下に広がる広大な窪地で、高山植物の宝庫として知られている。そして、例年9月下旬頃からは紅葉が見ごろを迎える。そそり立つ岩肌と、紅葉で黄金色に染まる山肌の対比は見事だ。

    空中散歩のようなロープウェイからの眺望(©長野県観光機構)

    空中散歩のようなロープウェイからの眺望(©長野県観光機構)

 千畳敷カールへは、バスと中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイを乗り継げば、標高2612mの千畳敷駅まで山歩きをしなくても一気に上れる。カール内には周遊約40分の遊歩道が整備されている。

中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイの詳細

☎0265-83-3107
住所:長野県駒ヶ根市赤穂759-489
運行時間:[4月中旬~11月上旬]8:00~17:00、[11月上旬~11月末]9:00~16:00、[12月~4月上旬]9:05~16:05 
*夏期ダイヤ期間は早朝運転・臨時運転あり
定休日:メンテナンスのための運休期間あり。強風時は運休あり

広い店内でくつろげる【カフェ&バル チェレステ】

    ハイセンスでしかも居心地の良い店内。奥には子ども連れにうれしい広々としたスペースもある

    ハイセンスでしかも居心地の良い店内。奥には子ども連れにうれしい広々としたスペースもある

 信州伊那谷ガレットの1軒は、駒ケ根市に隣接する宮田村の【カフェ&バル チェレステ】。西欧風創作料理の店で、カクテルメニューも豊富にそろう。

 日替わりランチなどで登場するそば粉のガレットでは、生地にリンゴで作った発泡酒のシードルを加えている。生地を寝かせている間に発酵の度合いが進み、酸味が増して味がマイルドになるなど、風味の変化が楽しめるそうだ。

    『そば粉のガレット』。半熟卵をとろりと具にからめて、香ばしい生地とともに

    『そば粉のガレット』。半熟卵をとろりと具にからめて、香ばしい生地とともに

 この日は、こんがり焼いたガレット生地で、卵や炒めたベーコン、チーズ、上伊那産のキノコが包まれていた。香ばしい生地と、半熟卵がからんでまろやかになった具がよく合う。具だくさんで食べごたえがあるのに、そば粉の効果なのか後味がすっきりとしていた。

    地元産のリンゴで造ったシードルも置いている

    地元産のリンゴで造ったシードルも置いている

 ガレットの本場ブルターニュでは、ガレットとシードルを合わせるのが定番だが、この店でも地元のリンゴで作ったシードルを置いている。ぜひ一緒に味わってみたい。

【カフェ&バル チェレステ】

☎0265-85-5108
住所:長野県上伊那郡宮田村3378-1
アクセス:アクセス:JR宮田駅から徒歩約5分。駒ヶ根ICから約11分
営業時間:[日~木]9:00~22:00、[金・土]9:00~24:00
定休日:火曜(年末年始)

週末の大人の隠れ家的な【蔵カフェ 飯島茶寮(いいじまさりょう)】

    蔵を改装した店内は静かで落ち着いた照明もくつろげる

    蔵を改装した店内は静かで落ち着いた照明もくつろげる

 駒ケ根市の南に接する飯島町の【蔵カフェ 飯島茶寮】は、のどかな田園風景の中に立つ築140年になる蔵をリノベーションしたお店だ。Iターンしたオーナーご夫妻が、平日は畑仕事、週末はカフェを営んでいる。

    生ハムやキノコなどとの相性も抜群

    生ハムやキノコなどとの相性も抜群

 ガレットは、オーナーのこだわりで卵を使わず、そば粉と水と塩のみのシンプルな生地。それだけにそば粉の風味が際立つ。不定期でJazzのライブ演奏なども行われる大人の空間だ。

【蔵カフェ 飯島茶寮】

☎090-1869-1136
住所:長野県上伊那郡飯島町田切2317-1
アクセス:JR飯島駅から車で約15分。駒ケ根ICから約20分
営業:土日祝の11時~17時。食事は14時まで
定休日:月~金曜日

フラワーショップが営む【カフェ・クッカ】

    おとぎ話に登場しそうな白壁のかわいらしい建物

    おとぎ話に登場しそうな白壁のかわいらしい建物

 伊那市の【カフェ クッカ】は、「南信花園」という花屋の一角にあり、店内には季節の花が活けられている。ランチの食事ガレットのほか、デザートガレットもあり、アイスクリームや季節のフルーツと花が添えられている。

    季節の花をあしらった【カフェ クッカ】のデザートガレット

    季節の花をあしらった【カフェ クッカ】のデザートガレット

「ガレットの生地はシードルを加えて発酵させています。味に深みとコクが出ますね」と店長さん。美しい花とともに手作りのガレットを楽しみたい。

【カフェ・クッカ】

☎0265-98-6339
住所:長野県伊那市西町6296-12
アクセス:JR伊那市駅から車で約6分。駒ヶ根ICから約11分
営業時間:11:00~18:00
定休日:火曜

「信州伊那谷ガレット」では、各店とも季節の食材を使い、お皿の上にも信州の自然が舞い降りたかのようだ。本場ヨーロッパのような信州の美しい山岳風景に囲まれて、ガレットを味わおう。

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この記事を作った人

取材・文/中元千恵子(フリーライター)

旅行ライターとして25年、日本各地を取材。郷土料理や伝統工芸品など風土が育んだ文化の記事を得意とし、旅行雑誌や新聞に寄稿している。各地の特産品を販売する自治体アンテナショップの取材歴も長く、“アンテナショップの達人”としてTVやラジオにも出演。

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