ソウル【RYUNIQUE】のハイブリッドキュイジーヌを堪能せよ
今、韓国で最も勢いのあるレストランと言っても過言ではない【RYUNIQUE】。ソウルのグルマンたちは”なぜここがミシュランで星を取らなかったのか”と不思議がるほど、国内ではすでに確固たる地位を築いています。
CHEF’S EYE
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生産者と一緒に食材を開発
韓国の食材は使うがコリアンキュイジーヌではない
日本で学んだ職人精神を大切にしている
2015年「アジアのベスト50レストラン」No.27に登場
ソウルきってのトレンドストリート・カロスギルの路地裏にひっそりと佇む【RYUNIQUE】。
この店を率いるシェフのリュ・テファン氏は、日本の服部栄養専門学校を卒業後、日本の高級寿司店やシドニーの【Rockpool Bar & Grill】、ロンドンの【Gordon Ramsay】、【THE FAT DUCK】など名だたるレストランでの修行を経て、2011年に自身の名を冠したレストラン【RYUNIQUE】をオープンさせました。
開店からわずか数年後の2015年に「アジアのベスト50レストラン」のNo.27に登場、2016年には「ソウルミシュランガイド」にも選定されています。
自然から受けたインスピレーションを降臨させる
リュ氏が料理を作る上で一番大切にしているのは、自然との調和。特に食材選びには並ならぬ時間をつぎ込み、週に1度の定休日にも必ず産地に足を運んでいます。旬の食材のチェックはもちろんのこと、生産者と新しい食材の開発を一緒に手がけるなど、素材に対する姿勢はとても情熱的。現場で体感した自然の力がインスピレーションとなり、料理に反映されるため、産地探訪は欠かせないライフワークだそうです。
日仏✕韓国食材の化学反応
もう1つ、アイデンティティの根幹となるのが修行先で培った日本料理とフレンチのエッセンス。日本では長年かけて技術を磨く職人気質を学び、フレンチでは料理の芸術性を深く学んだそう。
さらに韓国の食材を使うことで、3つの文化が絶妙なバランスで調和しあい、リュ氏ならではの独特の世界が繰り広げられるます。
メニューは基本的にランチ(120,000ウォン)とディナー(230,000ウォン)の2種のみ。今回は13皿あるランチのうちの8皿をご紹介します。
アミューズは2品。トンボをイメージした『キムチのピュレ』は、キムチの汁を寒天でピュレにしたものを胴体に、乾燥させたキムチを羽に、ジャガイモを尻尾に見立てたもの。洗練された辛さを感じるも、後に雑味が残らないのは、旨味が際立っているからでしょうか。キムチを食べているのに、舌が覚えているキムチの味ではない、なんとも不思議な味を体験をしました。
揚げたジャガイモをクルミの皮に見立て、クルミのヌガーで実を再現したアミューズは、どこからどうみてもクルミそのもの。
芸術的なプレゼンテーションも全てリュ氏のアイディアで、器は専属のデザイナーと一緒にセレクトしているそう。
アーティーな料理が続々と登場
続いては トリュフ、シイタケ、ヒラタケ、ポルチーニ茸など数種のキノコのカプチーノ仕立て『Variation』。
忠清南道礼山産のアップルフェドポークを使った『礼山インスピレーション』は、ハンジョンサル(首筋の部分)を焼いたものに、マッシュルームソースとアップルソースをかけていただきます。
慶尚北道奉化の鮎と全羅南道潭陽の竹を使用した『Being』。竹塩と竹抽出エキスから作られたソースは竹の風味がほんのり漂い、鮎とのマリアージュも抜群。竹筒にはスイカのガスパチョが入っています。
液体窒素で急速冷凍したKAGUAビールの泡が添えられた『Fresh Green』は、済州島産テナガエビのカルパチョにキューカンバージュースとオリーブオイル仕立てのソースがかけられています。
メインの魚料理『Fermentation』。韓国では貴重な済州島産のノドクロを使用。獲れたてをその場でさばき、塩麹につけた後、42度の低温調理を施しているため、身はマシュマロのように柔らかいのが特徴。その上に江原道鉄原産のワサビと山椒味噌、タケノコ、ワサビの茎、ワサビパウダーをかけたトーチした皮が重なっているため、素材の旨味が何層も楽しめます。
最後は鉄原のオーガニックパプリカとマッコリで有名な草家ウリサルマッコリの酒粕を使用したムースでフィニッシュです。
韓国発ファインダイニングは戦国時代に
今まで、世界に知られる有名レストランといえば、NEWコリアン(もしくはコリアン・キュイジーヌ)と呼ばれる、韓国料理を新解釈したものが主流でした。
しかし1980年生まれのリュ氏を筆頭に、現在20代後半から30代の若手シェフたちは特にコリアンを意識せず、海外で学んだ知識と技術をそのまま持ち帰り、独自のセンスで料理を展開しています。
もしかしたら韓国のレストラン界は今、大きな過渡期に差し掛かっているのかもしれません。
そして【RYUNIQUE】はまさにムーブメントの最前線にいるレストラン。今後も挑戦し続けるリュ氏の料理から目が離せません。
【RYUNIQUE】
住所:ソウル市江南区江南大路162キル40
(서울시 강남구 강남대로162길 40)
電話:+82-2-546-9279
営業時間:12時〜L.O.14時、18時〜L.O.20時
休み:月曜
予約はHPからも可能:http://www.ryunique.co.kr/
取材・文/韓麻木(おいしいしごと)
韓国ライター、編集者、おいしいしごと主宰。韓国文化情報誌「スッカラ」編集部を経て、2008年より編集デュオ「おいしいしごと」として活動開始。慶尚北道広報大使。女性誌や旅行情報誌、WEBにて韓国特集の執筆・編集を中心に活動している。
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