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更新日:2017.06.19健康美食 旅グルメ

高麗人参は生薬としてだけでなく、食材としておいしいことを教えてくれる韓国・栄州の【薬膳堂】。地元のブランド牛とも融合させた高麗人参定食に刮目!

 韓国の中東部に位置する栄州(ヨンジュ)は高麗人参の名産地。高麗人参茶やエキスの生産も盛んですが、それとともに食材としての利用も発達しています。同じく地元名産であるブランド牛の栄州韓牛との組み合わせで、豪華なコース料理に仕立てる【薬膳堂】を紹介します。

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素材を知り尽くした産地だからこその高麗人参料理を本場で味わう

高麗人参の産地へ

  • 新羅時代の676年に創建された浮石寺(プソクサ)

  • 伝統家屋の家並みが残るムソム村への一本橋

 韓国を代表する特産品のひとつに高麗人参があります。滋養強壮成分のサポニンを豊富に含むことから、生薬として多く利用されますが、韓国では食べておいしい食材のひとつとしても定着しています。そのもっとも有名な例が、『サムゲタン』。ひな鶏の腹にもち米を詰め、高麗人参、ナツメ、ニンニク、銀杏などを加えて煮込んだ料理ですが、ひな鶏1羽を丸ごと味わうボリューム感に加え、高麗人参の薬効も期待でき、韓国では夏場に食べるスタミナ料理としてすっかり定着しています。

    豊基高麗人参市場で販売されている栄州産の高麗人参

 とはいえ、それ以外の高麗人参料理となると、日本ではまだほとんど知られていないのではないでしょうか。高麗人参エキスや、高麗人参茶など、薬用、または健康食品としての利用が多いからか、「食べておいしい食材」というイメージがないのかもしれません。確かに『サムゲタン』の場合でも、特有のほろ苦さがあるため、ちょっと苦手だという人も少なくないようですね。個人的にはそれがなんとも残念。韓国には『サムゲタン』以外にも高麗人参を使った料理はたくさんあり、明らかに食材としておいしいはずなのです。

  • 栄州で10月に開かれる高麗人参祭りの様子

  • 祭りでは高麗人参の天ぷらを揚げたてで楽しめる

 そんな食材としての優秀さを語らせていただくため、ぜひお伝えしたいのが韓国の中東部に位置する栄州(ヨンジュ)という町。内陸部にあって農業、畜産業の盛んな地域ですが、ここ栄州の特産品こそがまさに高麗人参なのです。市内の豊基(プンギ)地区では駅前に高麗人参市場が広がっており、10月の収穫時期には高麗人参祭りも開かれて全国からたくさんの人が訪れます。

  • 薬膳堂。高麗人参定食を含む4種類のコースを用意

  • 店内はくつろげる個室のほか、椅子席もある

 さて、その栄州でおすすめしたい店がこちらの【薬膳堂(ヤクソンダン)】。店主のパプ・スヌァさんはお店を切り盛りする傍ら、大学で薬膳の研究もしており、食べておいしく、健康によい料理を追求していらっしゃいます。といっても薬っぽい料理ではなく、むしろ地元食材をふんだんに使った郷土料理店という感じ。「地元の食材同士は合わないはずがない」というのがパプ・スヌァさんの考えで、高麗人参と、同じく名産である韓牛(日本の和牛に相当する韓国のブランド牛)、リンゴ、山菜などを組み合わせた料理を得意としています。

    インサムジョンシク(高麗人参定食)。写真は3人前

 初めてこの店を訪れるなら、ひと通りの名物が入った『インサムジョンシク(高麗人参定食)』1人前W3万2,000(約3,200円)を注文してみてください(価格は2016年10月取材当時)。まず強調したいのが、写真中央右に位置する『インサムティギム(高麗人参の天ぷら)』。衣をつけてさっくり揚げることで、高麗人参のほろ苦さが消え、ほくほくとした甘味が出てきます。高麗人参の風味が苦手という方は、ぜひこれから試してみていただきたいですね。高麗人参の美味しさとはこういうものであったかと、目からウロコが落ちるはずです。

    インサムカルビチム(高麗人参と牛カルビの蒸し煮)

 真鍮の器に入った料理は『インサムカルビチム』といって、高麗人参を加えた牛カルビの蒸し煮。醤油、砂糖、ゴマ油を効かせ、甘こってりと仕上げてあります。これぞまさに栄州名物同士の融合ですが、まず素晴らしいのが柔らかく煮込まれた牛カルビのとろけ具合ですね。骨まわりについた肉は、いとも簡単にほろりとはがれ、ジューシーな脂の甘味がわっと口の中に広がります。そこでほんのり鼻をくすぐるのが高麗人参の力強い大地の風味。濃厚な味わいを単調にさせない、粋な仕掛けに唸らされます。そして、さらに特筆すべきが大根。牛カルビのうま味と、高麗人参の風味をパンパンに吸い込んで、これまたのけぞるほどにうまいのです。

    インサムトッカルビ(高麗人参載せ焼肉ハンバーグ)

 もうひとつ牛肉料理から『インサムトッカルビ』。言うなれば韓国式のハンバーグですが、ただの牛ひき肉ではなく、牛カルビを叩いて作るのが大きなポイントです。味付けも焼肉と同様ですので、見た目はハンバーグでも、食べると上等なカルビ焼きの味がするんですよね。わざわざ叩いてまとめるのは、食べやすさ、食感の柔らかさを優先したひと工夫。料理名のトッカルビは直訳すると「餅カルビ」であり、餅のように形作り、餅のように柔らかいことから名付けられました。これもまた先ほどのカルビチム同様、高麗人参の風味でよりふくらみのある味わいに仕上がります。

 といった感じで、ほかにも栄州の特産品を使ったさまざまな料理が出てきますので、ひと通り味わえば、栄州という地域がぐっと身近になり、高麗人参にもまた愛着が出てくるはず。高麗人参の食材としての真価を知りたい方は、ぜひ栄州の【薬膳堂】を訪れてみてください。

【薬膳堂(약선당)】
住所:慶尚北道栄州市鳳峴面愼齋路887-14
(경상북도 영주시 봉현면 신재로 887-14)
電話:+82-54-638-2728

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この記事を作った人

取材・文/八田靖史(フリーライター)

慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「食の日韓論 ボクらは同じものを食べている」(三五館)。WEBサイト「韓食生活」を運営。

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