韓国・釜山郊外の極上グルメ。2色ウニ丼の意外な調味料と食べ方とは!?
韓国でも高級食材として扱われるウニ。釜山郊外にある港町の機張(キジャン)では、2種類のウニを使ったどんぶり料理が人気を集めています。いわゆる韓国式のウニ丼ですが、日本と異なるのが味付けと食べ方。地元客からの支持も厚い【ミチョン食堂】の流儀を紹介します。
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釜山郊外の港町、機張(キジャン)はウニが名産品
地元客の支持が厚い【ミチョン食堂】の二色ウニ丼が絶品
日本とは異なる韓国ならではの味付けと食べ方に驚く
釜山から足を伸ばして
機張を代表する観光地のひとつ龍宮寺(ヨングンサ)
韓国でもウニを食べます。韓国においても高級食材です。好き嫌いは別として、日本人がウニの軍艦巻きにときめく感じと、だいたい似たような高級感でウニを見ていると思ってください。今回、紹介するのは韓国式のウニ丼ですが、韓国人にとっても、「これは産地じゃないと食べられないなぁ」という一品。旬の時期を見定めつつ、海沿いの地方都市まで足を運ぶ価値がある料理と、まずは冒頭から強調させてください。
大辺港(テビョナン)。春にカタクチイワシ祭りも開催
その時間をかけてでも食べに行きたいウニ丼は、韓国第2の都市、釜山(プサン)の郊外にあります。韓国にあまり馴染みのない方であれば、「釜山のウニ丼」として覚えていただいてもいいですし、もう少し接点のある方なら、機張(キジャン)という地名をぜひ覚えて欲しいですね。正確に書くと釜山市機張郡。韓国人であれば機張と聞けば、ワカメや、コンブ、煮干しといった海産物をまず連想するような町……と書けば、グルメな方はピンと来るかもしれません。
北海道などでもそうですが、おいしいウニの産地は、ワカメやコンブの名産地でもあることが多いです。それはウニがワカメ、コンブをエサとするため。美味しいワカメ、コンブを食べて育つのなら、そのウニがおいしいのも道理ですよね。日本と同じ理屈が、この機張でも成立しています。
大辺港の乾物店で販売される乾燥ワカメや、乾燥コンブ
その機張には大辺港(テビョナン)という漁港があり、コの字型に湾を囲んで、乾燥ワカメ、乾燥コンブを扱う乾物店がずらり並んでいます。あとは塩辛店も多いですね。少し脱線しますが、この漁港で春と秋にとれるカタクチイワシは、キムチを漬けるときの副材料として欠かせないものです。大量のカタクチイワシを塩漬けにして寝かせることで、うま味の凝縮した塩辛、または上澄みを取って魚醤となります。
韓国には11~12月にかけて大量のキムチを漬ける、キムジャンという習慣があるため、それに備えてシーズンのうちに買い込む人が大勢やってくるんですね。また、そのついでとして、ワカメを買い、コンブを買い、さらには旬のカタクチイワシを刺身や、焼き魚として味わうところまでが定番です。
ミチョン食堂。タチウオやカレイのチゲも提供する
白いムラサキウニとオレンジのバフンウニをかき混ぜていただく!?
さて、話を戻して本題のウニ丼。これを自慢とする有名店に【ミチョン食堂】があります。その噂を聞きつけて観光客もやってきますが、平日のランチタイムには周辺の会社員らでごった返す、むしろ地元客に人気のお店です。
注文すべきメニューは『アンジャングバプ』1人前W1万5000(約1500円、価格は2017年2月取材当時)。韓国語でウニのことはソンゲと言いますが、この地域では方言の「アンジャング」を使うことが多いです。それも特にバフンウニのことを指してアンジャング。料理名の「バプ」はごはんを指すので、メニュー名としては、バフンウニ丼ということです。
5月のアンジャングバプ。ムラサキウニの比率が多い
ただし、入っているのは、バフンウニのみにあらず。写真をよく見ていただくと、色の濃いオレンジ色のウニと、若干白っぽいウニの、2種類が混ざっているのがわかるかと思います。オレンジ色がバフンウニで、白っぽいのがムラサキウニ。「バフンウニだけだと苦みが出て、ムラサキウニだけだとしつこくなる」というのがお店の方の弁。2種類のウニを混ぜることで、求める味に仕上がるというこだわりなのです。
ビビンバのようにスプーンでよくかき混ぜてから味わう
従って、食べるときにも両方のウニを一緒に味わうのが理想的。日本的な感覚ではたいへんもったいないように思えますが、食べる前に「全体をよくかき混ぜる!」というのが、この店における鉄の掟です。いわゆるビビンバの食べ方を想像してください。遠慮がちにさっくり混ぜるとかではダメで、念入りにしっかりきっちり混ぜます。すると、器の底にタレが仕込まれているので、醤油をかけることもなく、塩梅のほうもちょうどよく仕上がるという仕掛けです。
11月のアンジャングバプ。バフンウニの比率が多い
日本人としてさらに驚くのは、そのタレにゴマ油が少なからず入っているという部分でしょうか。これが本当に不思議なことで、あの香ばしくも力強い風味が、ウニの繊細な味わいを決して損ねないんですよね。むしろ、食べ進むにつれて、このゴマ油こそが味を引き立てているのではとも思えてきます。少なくともこのウニ丼を日本とはまったく異なる、韓国料理たらしめている要因に、ゴマ油のタレがあげられます。
信じられない人はぜひ機張まで。なお、機張におけるムラサキウニの旬が5~8月、バフンウニの旬が11~2月(ただし2月に入ると苦みが強まる)。どちらかの旬に合わせて行くことを強くおすすめします。
【ミチョン食堂(미청식당)】
電話:+82-51-721-7050
住所:釜山市機張郡日光面日光路77-43
(부산시 기장군 일광면 일광로 77-43)
※2017年9月に下記住所へ移転の予定です。
新住所:釜山市機張郡日光面機張海岸路1303
(부산시 기장군 일광면 기장해안로 1303)
この記事を作った人
取材・文/八田靖史(フリーライター)
慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「食の日韓論 ボクらは同じものを食べている」(三五館)。WEBサイト「韓食生活」を運営。
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