いよいよ開幕目前! 平昌五輪とともに味わいたい現地の冬グルメ!
2月9日の開会式がいよいよ間近に迫った韓国・平昌(ピョンチャン)の冬季オリンピック・パラリンピック。日本でも人気のスケート競技を実施する江陵(カンヌン)は、一帯の中心都市で個性的な地元グルメも満載。いまこの時期に食べたい現地ならではの冬グルメをご紹介します。
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平昌五輪でスケート競技を開催する江陵は東海岸の港町
冬の寒い時期には、ハタハタの辛い鍋料理がおいしい
ジャガイモ団子のスープ、牛頭肉のスープも江陵の名物
寒い時期にこそ本領発揮、江陵の海鮮料理
江陵の注文津市場。鮮魚店、乾物店、刺身店が集まる
韓国・平昌(ピョンチャン)での冬季オリンピック・パラリンピックがいよいよ開幕します。それに合わせて現地のグルメを紹介する企画の第3弾。今回は平昌に隣接してスケート競技が開催される江陵(カンヌン)から、寒い季節、まさしくいまこの時期に食べておいしい料理を紹介します。
注文津港はスルメイカの名産地。巨大オブジェが出迎え
東海岸に面した江陵は魚介の美味しい港町。海沿いにたくさんの刺身店、海鮮料理店がありますが、中でも有名なのが、市街地から車で北へ30分ほど行った注文津(チュムンジン)港です。注文津とは「品物の注文を受けて運搬をする港」という意味で、古くから物流の要衝として栄えました。写真の通り、この港が誇るいちばんの名産はスルメイカ。毎年秋には「注文津スルメイカ祭り」が開催されており、初夏から秋にかけて注文津を訪れるのであれば、とれたてのスルメイカを刺身で楽しむのがいちばんです。
五輪観戦で凍えた体を、辛いハタハタ鍋で暖めよう
江陵の冬はハタハタ。鍋料理のほか焼き魚でも味わう
今回のテーマである冬の味覚としてはハタハタがあげられます。韓国語ではトルムクと呼びますが、その名前についてちょっとした逸話がひとつ。かつてはムクという名前だったのですが、その昔、東海岸までやってきた王様がハタハタを召し上がって感激し、新たに銀魚(ウノ)という名前を与えました。ところが都に戻ってもう1度ハタハタを食べたいと取り寄せてみると、今度は産地と違っておいしくない。怒った王様は、名前を「トロ(もとの)」「ムク」に戻せと命じ、これがなまってトルムクになったのだそうです。
ハタハタをピリ辛の鍋仕立てにした『トルムクチゲ』
定番の食べ方は『トルムクチゲ(ハタハタの鍋)』。港近くであればどこの飲食店でも食べられますが、【クイ本部25時】という店をおすすめします。早朝から開いているので、朝の市場を見学しながら立ち寄るのにもぴったり。
メスのハタハタは卵を持つ。流通の時期は短いので注意
料理自体は冬の間ずっと食べられますが、最盛期は11月から12月上旬。というのも、その時期のハタハタはメスが卵を持っているんですね。日本でもハタハタの卵はブリコと呼ばれるように、ブリブリとした食感が魅力。韓国でもこの卵を食べてこそハタハタという人は多く、その時期を狙って注文津まで足を運ぶ人も少なくありません。その時期を過ぎると、卵が育って固くなってしまうので、そこからは身のしっかりしたオスのハタハタが主役となります。
熱々の『ジャガイモ団子スープ』と『牛頭肉スープ』で心も体もほっこり
名産のジャガイモを団子にした『カムジャオンシミ』
ところ変わって江陵市内の柄山洞(ピョンサンドン)と呼ばれる地域。ここには『カムジャオンシミ(ジャガイモの団子汁)』という、あったかスープの店が集まっています。韓国でジャガイモというと、オリンピックの開かれる平昌、江陵がもっとも代表的な産地です。
すりおろしたジャガイモを団子状にまとめスープで煮る
見た目はただの白いスープですが、中をさぐるとジャガイモ団子が沈んでいます。表面はつるんとしていますが、中は少しの芯があってザックリもちもち。昆布と煮干しをベースに、ニンニクとエゴマの粉をたっぷり入れた、コクのあるスープとよく合います。スープにジャガイモのでんぷんが溶け出て、口当たりがとろっとするのも魅力ですね。
ジャガイモチヂミの『カムジャジョン』も江陵の名物
せっかく行くならスープだけでなく、もちもち食感の『カムジャジョン(ジャガイモのチヂミ)』も試してみてください。柄山洞の【マンソン食堂】によれば、『カムジャジョン』や、『タッパル(鶏の足焼き)』でまずマッコリを飲み、最後に『カムジャオンシミ』で仕上げるのが地元の流儀とか。先ほどの注文津で造られている地マッコリや、同じくオリンピック競技会場のある旌善(チョンソン)産のトウモロコシマッコリも用意されています。
江陵中央市場には『ソモリクッパプ』の専門店街がある
最後は江陵中央市場名物の『ソモリクッパプ(牛頭肉のスープ)』。江陵およびその周辺地域における最大の総合市場として連日大勢の人で賑わいます。その一画にあるのが1950年創業の老舗【クァンドク食堂】。店頭に写真のような大釜を構え、牛の頭部を煮込んで濃厚なスープを作っています。冬場はあたり一面にもうもうと湯気が立ちこめて雰囲気も抜群。
じっくり煮込んだスープは濃厚で元気の出る味わい
スープには味がついていないので、卓上にある塩、コショウ、タデギ(唐辛子ペースト)で各自が好みに調えます。具には頬肉などの部位がひと口大になって入っており、しっかりとした赤身部位があるかと思えば、クニッとしたゼラチン質の部位もあって食感多彩。これらをひとつひとつ楽しんでもいいですし、市場式に味わうのなら、ごはんをスープの中にぶち込んでザバザバといただくのも悪くありません。
オリンピックを間近に控えた江陵における冬のおすすめ料理3品。いずれも身体を芯から温めてくれる逸品揃いです。
【クイ本部25時(구이본부25시)】
電話:+82-33-662-8044
住所:江原道江陵市注文津邑海岸路1723
住所:강원도 강릉시 주문진읍 해안로 1723
【マンソン食堂(만선식당)】
電話:+82-33-653-1851
住所:江原道江陵市空港キル46
住所:강원도 강릉시 공항길 46
【クァンドク食堂(광덕식당)】
電話:+82-33-642-6851
住所:江原道江陵市中央市場キル22-3
住所:강원도 강릉시 중앙시장길 22-3
八田靖史(フリーライター)
慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「食の日韓論 ボクらは同じものを食べている」(三五館)。WEBサイト「韓食生活」を運営。
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