生牡蠣から牡蠣ごはんまで、韓国の産地で味わう天然牡蠣至福のコース!
韓国の西海岸に位置する保寧(ポリョン)は、希少な天然の牡蠣を名産とする港町。この町の専門店では生牡蠣から牡蠣ごはんまで、全6品の牡蠣料理をコース仕立てで味わうことができる。牡蠣のチヂミや、ムルフェ(牡蠣の冷や汁風)など韓国ならではの料理も新鮮だ。
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韓国でも冬になると旬を迎えた牡蠣が市場に出回る
韓国の西海岸にある保寧は岩肌で育つ天然牡蠣の名産地
生牡蠣、牡蠣チヂミ、牡蠣ごはんなどの料理が美味しい
天然牡蠣をたらふく食べに
天然の牡蠣を使った6品の料理を提供する牡蠣定食
牡蠣の美味しい季節です。ぷっくりと肉厚な牡蠣を噛み締めて海のエキスを堪能するとき、今年もいい冬がやってきたなと思います。お隣の国、韓国でも旬の感覚は日本とほぼ同じ。気温のぐっと下がった11月から2月までが牡蠣の最盛期であり、この時期は市場に新鮮な牡蠣がどっさりと出回ります。主産地は南部の統営(トンヨン)という町が韓国ではよく知られていますが、通好みするエリアとして西海岸の保寧(ポリョン)も負けてはいません。小ぶりながらも岩肌に貼り付いて育つ、希少な天然の牡蠣が名産となっています。
地元産の天然牡蠣料理を専門とする【トガーデン】
そんな保寧にて、天然の牡蠣を味わうのであれば、こちらの【トガーデン】をおすすめします。大勢の常連客が目当てとするのは、6品の料理をコース仕立てにした『クルジョンシク(牡蠣定食、1人前W2万5000=約2500円、2016年11月取材当時)』。いずれの料理にも地元産(または隣接する洪城産)の天然牡蠣がふんだんに使われています。せっかくなので1品ずつ、コースの料理を紹介していきましょう。
産地ならではの鮮度を楽しむ『センクル(生牡蠣)』
まず1品目は『センクル(生牡蠣)』。韓国においても鮮度のよい牡蠣は生で味わうのが最上とされます。天然だけに養殖の牡蠣に比べるとやや小ぶりで、大きさも不揃いですが、味のほうは思わず唸るほどに濃厚です。ほどよい塩気に加え、豊かな甘味と、美味なる苦味が重なり合って、舌ではとろりと艶めかしく、香りも華やかさにあふれ、サイズに対する味と香りの凝縮具合に衝撃を受けます。
ゆがいて甘味を強調した『クルスッケ(茹で牡蠣)』
2品目は『クルスッケ(茹で牡蠣)』。シンプルにさっと茹でただけのものですが、熱が加わることによって生牡蠣とは印象がガラッと変わります。素材の塩気がマイルドになり、うま味が活性化するとともに、甘味もぐんと増します。意外に効いていたのがたっぷりと振られたゴマの香ばしさ。下に敷いてある細みの生ニラを一緒に食べてもいいアクセントになりますし、「チョジャン」と呼ばれる唐辛子酢味噌にちょんとつけても美味しいです。
看板メニューの『クルムルフェ(牡蠣の冷や汁風)』
3品目のクルムルフェ『(牡蠣の冷や汁風)』は店の看板メニューその1。先ほどから料理名についている「クル」が牡蠣を指し、「ムルフェ」は直訳で「水刺身」という意味です。この料理は『トンチミ』と呼ばれる水キムチの汁をスープとして、生牡蠣、千切りのナシ、生野菜などを加えて作ります。キンと冷たいスープは清涼感に富み、発酵による酸味をベースとしつつもナシの甘味がうまく溶け込んで、それを唐辛子の辛味がキリッと引き締めています。牡蠣の旬はもちろん冬なのですが、この店では独自の冷凍技術により夏場でも水準の高い牡蠣料理を提供。社長曰く「この料理だけは夏のほうが美味しい」とのことなので、機会があれば夏にも試して欲しい一品です。好きな人は通年でこれだけを食べに来るとか。
定番料理の『クルパジョン(牡蠣と葉ネギのチヂミ)』
4品目は『クルパジョン(牡蠣の葉ネギのチヂミ)』。韓国で牡蠣のチヂミというと、ピカタのように牡蠣にひとつずつ衣をつけて焼く方法と、こうしてお好み焼き状に焼く方法の2種類があります。お好み焼き状に作る場合は、牡蠣がちらほらということも多いのですが、こちらでは専門店だけあって気前よくゴロゴロ。どれだけの牡蠣を食べているのか、このあたりでもうわからなくなります。
カリッと揚がった『クルティギム(牡蠣の天ぷら)』
5品目は『クルティギム(牡蠣の天ぷら)』。韓国式の天ぷらは衣を厚めにつけるので、天ぷらというよりもフリッターのような感じ。ほんのり甘味をつけた衣はカリッと揚がってサクサクです。
食べ方をいろいろ楽しめる『クルバプ(牡蠣ごはん)』
6品目は『クルバプ(牡蠣ごはん)』。先ほどの『クルムルフェ』とともに店の看板メニューその2。フルコースを頼むほどでないときは、看板2品を頼むのがおすすめだそうです。釜で炊かれたごはんには、これまで以上に牡蠣がゴロゴロ。隠し味としてエゴマ油を加えているため、その風味がほんのり鼻をくすぐるのも粋な仕掛けです。そのまま食べても美味しいですが、ナムルを盛った器が別途用意されるので、『ビビンバ』のように混ぜて食べてもまたよし。
ノビルや生ニラを和えたもの。牡蠣ごはんに添えて
あるいは一緒にノビル(または細みの生ニラ)の和え物が用意されるので、これを『クルバプ』に載せて食べたり……。
牡蠣ごはんは海苔に包んで食べても香り高く美味
同じく地域の名産である海苔に包んで食べるのもたまらない味わいです。スープがわりに添えられる自家製の温かな『スンドゥブ(固める前の豆腐)』を箸休めにしつつ、ぜひいろいろな食べ方を楽しんでみてください。もっと言うなら、釜の底についたオコゲまで、バリバリ食べるのも格別です。
【トガーデン(터가든)】
電話:+82-41-641-4232
住所:忠清南道保寧市川北面洪保路666
住所:충청남도 보령시 천북면 홍보로 666
八田靖史(フリーライター)
慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「食の日韓論 ボクらは同じものを食べている」(三五館)。WEBサイト「韓食生活」を運営。
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