旬のマツタケを韓国では地元名産のブランド牛と一緒に焼いて味わう!
韓国でマツタケの名産地と知られる慶尚北道の奉化(ポンファ)郡。9月下旬から10月上旬にかけてがシーズンで、地元では「韓薬牛」という薬草を食べさせて飼育したブランド牛と一緒に焼いて味わう。マツタケの香りとジューシーな焼肉のコラボはまさしく贅沢の極み。
旬のマツタケを同じく地元名産であるブランド牛の焼肉と味わう
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韓国中東部の奉化は韓国を代表するマツタケの名産地
9月下旬から10月上旬のシーズンには大勢の人が訪れる
同じく地元名産のブランド牛と一緒に焼くのが定番
韓国のマツタケ料理とは
マツタケは韓国でも高級食材。韓国語ではソンイボソッ
山の中でにょっきり顔を出したマツタケ。日本人であれば興奮せざるを得ない姿でしょう。さっと炙ってよし、マツタケごはんやマツタケ鍋でもよし、あるいは土瓶蒸しという贅沢料理もあります。高価ではあってもひとシーズンに1度は食べてみたいところ……といってもなかなか手が出ないことのほうが多いですけどね。
とれたてのマツタケは生のまま裂いて味見。香りに陶然
ところでこの写真は韓国で撮ったもの。韓国においてもマツタケは高級食材であり、今年は食べる機会があるだろうかという憧れの存在です。主産地は韓国の中東部に位置する慶尚北道(キョンサンブクト)。中でも奉化(ポンファ)、蔚珍(ウルチン)、盈徳(ヨンドク)といった地域が有名で、本記事の写真も奉化の某マツタケ山で撮りました。案内をしてくれた名人によると、「採れたてならまずは生で食べてみるべし!」とのこと。その場で土を払って軽く裂き、そのまま口に入れてみると、なんとも瑞々しい食感と驚くほどに華やかな香りに目を見開きました。
生のマツタケを塩とゴマ油を混ぜたタレにつけて食べる
確かに飲食店においても、鮮度を自慢にするところはマツタケを刺身で食べさせたりします。韓国語では『ソンイフェ(マツタケの刺身)』といった言い方をしますが、スライスマツタケに塩を溶かしたゴマ油を添えます。強い香りがマツタケと喧嘩しそうなものですが、鮮度のよいものであれば決して負けないんですね。食べる側としてもまず刺身で鮮度を確かめ、納得のうえでさらなるマツタケ料理に臨むということです。
あっさり仕立てのマツタケ鍋『ソンイジョンゴル』
韓国における代表的なマツタケ料理というと、まずは写真のような『ソンイジョンゴル(マツタケ鍋)』。さまざまなキノコと組み合わせで食べることもありますし、薄切りにした牛肉とすき焼き風に煮込むこともあります。
釜炊きごはんにマツタケを載せて蒸らす『ソンイバプ』
こちらは『ソンイバプ(マツタケごはん)』。日本のように炊き込みごはんとして作ることもありますし、釜炊きのごはんに加えてさっと蒸らし、野菜のナムルなどと混ぜ合わせて贅沢なマツタケビビンバにすることもあります。
昌寧名物の『ソンイタックッ(マツタケと地鶏の鍋)』
個人的に好きなのは慶尚南道(キョンサンナムド)の昌寧(チャンニョン)という地域で食べられる『ソンイタックッ(マツタケと地鶏の鍋)』。マツタケの産地でありながら地鶏の飼育もさかんであるため、両者を一緒に煮込んで提供しています。マツタケも地鶏もそれぞれたいへん美味しいうえに、合わせて煮こむことでさらに素晴らしいダシが出ます。金色に輝くスープはそれこそ我を忘れるほどに美味しく、天にものぼるような至福の時間を過ごすことができます。
奉化名物の韓薬牛を食べられる【奉化韓薬牛プラザ】
さて、話は戻ってマツタケ山のある奉化では牛肉と合わせる食べ方が一般的。奉化の山はマツタケのみならずたくさんの薬草(漢方材)がとれるため、それらを牛に食べさせて飼育する「韓薬牛(ハニャグ)」というブランド牛を自慢としています。これも奉化ではぜひ味わいたいグルメのひとつであり、そこでおすすめしたいのが地元畜産協同組合の運営する【奉化畜協韓牛プラザ(ポンファチュキョプ ハヌプラジャ)】。地元の人たちは秋になるとここへ、市場などで購入したマツタケを持ち込むのです。
店の外にはマツタケを洗って下ごしらえできる場所も
店の前にはマツタケの土を落として、下ごしらえをするスペースも。おおよそ韓国は持ち込みに対して寛容な国なのですが、奉化やその周辺地域では、たいていの焼肉店でこうしたマツタケの持ち込みに慣れています。
精肉店のスペースで好みの牛肉を買って店内に持ち込む
こちらの【奉化畜協韓牛プラザ】は精肉店と焼肉店を兼ねたお店で、メニューからも注文できますが、入口すぐの精肉店スペースで好みの牛肉を購入し、店内に持ち込むこともできます。パッケージのラベルはハングルなので詳細な部位まではわからないかもしれませんが、肉の厚さや霜降り具合を参考に、これぞというものを見極めてみてください。ひとつコツとしてはラベルにある黄色いラインの下の等級表示を見ること。全部で5段階あり、1ランクにプラスをふたつつけた「1++」が最高です。これを目印にすれば、まず間違いない牛肉を味わうことができます。
マツタケとブランド牛を一緒に焼いて食べるという贅沢
自ら見極めたブランド牛と、持ち込んだマツタケを一緒に焼いて食べる贅沢。焼きマツタケの芳ばしい香りと、ジューシーな肉の脂を交互に楽しむのもいいですし、サンチュにマツタケと牛肉の両方を載せて包み、同時にがぶっとかぶりつくのもたまりません。なお、奉化における2017年のマツタケ祭りは9月28日から10月1日まで。今年ならずとも毎年9月下旬から10月上旬が旬になりますので、ぜひタイミングを合わせて訪ねてみてください。
【奉化韓薬牛プラザ(봉화한약우프라자)】
+82-54-674-3400
住所:慶尚北道奉化郡鳳城面農業人キル47
取材・文/八田靖史(フリーライター)
慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「食の日韓論 ボクらは同じものを食べている」(三五館)。WEBサイト「韓食生活」を運営。
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