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更新日:2018.05.10健康美食 旅グルメ

韓国の5月は西海岸へ、旬のワタリガニは身も心もトロけるほど甘い!

韓国は春から初夏にかけてがワタリガニの旬。主産地である西海岸沿いの各漁港には、産卵期を控えて卵を持ったメスのワタリガニが水揚げされます。生のまま醤油漬けにした『カンジャンケジャン』と、鍋料理の『コッケタン』が代表的な調理法。どちらも抜群のうまさです。

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日本人観光客からも絶大な人気を誇る韓国のワタリガニ料理

韓国の西海岸でワタリガニ

    ワタリガニを醤油漬けにした『カンジャンケジャン』

 ワタリガニを生のまま醤油漬けにした料理を、韓国では『カンジャンケジャン』と呼びます。この料理を食べるときに上品であってはなりません。多くの店では甲羅をはがして、身はぶつ切りで出てきますので、まずは足の部分を手に持って、つけ根のあたりにガブッとかじりつくのが正しい作法です。噛むというより、歯を使って身を押し出す感じ。口の中へと流れ込んだ身は、それはもう身悶えするほどに甘くってトロトロで。韓国料理の中でも熱狂的なファンの多い料理です。

    鮮度のよい内子は甲羅の中でオレンジ色が映える

 専門店では必ず春にとれたメスのワタリガニのみを使用します。この時期のメスは内子(未成熟卵)を抱えており、この濃厚なコクと甘味を味わってこその料理です。甲羅の中はスプーンですくって食べますが、スミからスミまでこそげるようにして食べるのがコツ。カニミソと絡めながら余すことなく味わってください。途中からはごはんを入れて混ぜて食べるのも定番。両者の愛称は抜群で、韓国では『カンジャンケジャン』のことを、「パプトドゥク(ごはん泥棒)」とも呼ぶぐらいです。

    地元での評価も抜群に高い群山の【ユソンガーデン】

『カンジャンケジャン』の専門店は全国各地にありますが、より大きな感動を求めるなら、主産地である西海岸沿いの港町に繰り出すことをおすすめします。鮮度はもちろん、サイズが大きく、内子のたっぷり入ったワタリガニに出合えます。中でもおすすめしたいのが全羅北道(チョルラブクト)の群山(クンサン)という町にある【ユソンガーデン】。ワタリガニの品質はもちろん、竹塩(竹筒に詰めて焼成を繰り返した特別な塩)、各種野菜、韓方材を加えた漬け込み用の薬味醤油が格別です。

    ワタリガニの専門店にパリッと焼いた海苔は欠かせない

『カンジャンケジャン』(2人前W5万2,000、W100は約10円)を注文すると一緒に出てくるのがこちらの海苔。群山は海苔の養殖も盛んな地域であり、これで釜炊きのごはんを包んで食べるだけでも幸せですが、先ほどのパプトドゥク。甲羅の中でカニミソや内子と混ぜたごはんを海苔で包めば、これほど至福という表現が似合う味もそうありません。

    ワタリガニを鍋料理で味わう『コッケタン』も必食の品

 人数に余裕があるなら、鍋仕立てにした『コッケタン』(2人前W5万4000)も一緒にシェアしてみてください。使用するワタリガニは『カンジャンケジャン』と同じく内子を持ったメス。テンジャンと呼ばれる韓国味噌をベースに、ニンニク、ショウガ、粉唐辛子などを加えてピリ辛に仕立てます。ワタリガニ以外のダシは一切使わず、シンプルに水から煮込むのが肝要とか。それでもうっとりするほどのうま味、甘味を楽しめます。

    江華島の外浦里にはワタリガニ料理の専門店が集まる

 そしてもうひとつ。韓国の西海岸でワタリガニを食べるなら、仁川(インチョン)の江華島(カンファド)という島もたいへん有名です。この江華島沖こそがワタリガニの名漁場であり、ここから西海岸の各港へと水揚げされます。島の外浦里(ウェポリ)という地域にはワタリガニの専門店が集まっていて、鮮度抜群の『カンジャンケジャン』や『コッケタン』を味わえます。

    ワタリガニの鍋料理を看板料理とする【忠南瑞山チプ】

 外浦里の中でも古株として知られるのが、こちらの【忠南瑞山チプ】(チュンナムソサンチプ)。店名の由来となった忠清南道(チュンチョンナムド)の瑞山(ソサン)という地域もまた、西海岸沿いにあってワタリガニで有名な港町です。

    地元名産の高麗人参を加えた『カンジャンケジャン』

 この店の『カンジャンケジャン』(1人前W2万5,000)は、薬味醤油に高麗人参やナツメといった韓方材を加えているのが特徴。江華島は高麗人参の名産地であり、島の玄関口である市外バスターミナル近くには、「高麗人参センター」という専門の卸売市場もあります。韓方材の使用は薬効への期待もあるのでしょうが、むしろ薬味醤油に加わる独特の風味が面白い部分。ほんのりとした大地の香りが、ワタリガニの甘味とマッチします。

    カボチャを加えて味噌仕立てにした『コッケタン』

 鍋料理の『コッケタン』(小2人前W5万~)は、店名に掲げた瑞山式の調理法で作ります。ワタリガニと一緒にカボチャを入れるのが特徴で、味噌仕立てのスープにカボチャの甘味を加わることで、なんとも深みのある味に仕上げています。

    江華島では5月にとれたメスのワタリガニを最上とする

 もちろんこちらも内子を持ったメスを使用。熱を加えることでホクホクとした食感へと変わり、トロトロとはまた異なる濃厚さを楽しむことができます。お店の方曰く「いちばん卵がみっちり詰まっているのは5月」とのこと。シーズンとしては4~6月までがとれる時期ではありますが、そのド真ん中を目指してくるのがもっともおすすめとのことでした。春から初夏にかけての韓国を訪れる際は、ぜひ思い出してください。

【ユソンガーデン(유성가든)】
電話:+82-63-453-6670
住所:全羅北道群山市聖山面チョルセ路6-1
住所:전라북도 군산시 성산면 철새로 6-1

【忠南瑞山チプ(충남서산집)】
電話:+82-32-933-8403
住所:仁川市江華郡内可面中央路1200
住所:인천시 강화군 내가면 중앙로 1200

この記事を作った人

八田靖史(フリーライター)

慶尚北道広報大使、慶尚北道栄州市広報大使。コリアン・フード・コラムニスト。2001年より雑誌、新聞、WEBで執筆開始。トークイベントや講演、韓国グルメツアーのプロデュース。近著に「食の日韓論 ボクらは同じものを食べている」(三五館)。WEBサイト「韓食生活」を運営。

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